北京短期集中観光記

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2012/01/28 (土)

 

 北京激安詰め込みツアー3日目の予定は、天安門広場と胡宮、そして天壇公園へ。今朝は昨日より15分遅くて7時15分ホテル発だが、そのためには6時には起きてないといけないので、十分早い。そして、それだけ早く起きて最初に向かうのが天安門広場でも胡宮でも天壇公園でもなく、ラテックス寝具店(お土産屋さん)という恐怖。こっちが寝ぼけている隙に売りつけようという魂胆か? そして、なぜに北京でラテックス寝具店? という感じだが、どうやら北京オリンピックの選手村でラテックス寝具のマットレスが使われたらしく、それをウリにしてる様子。

 

店の入り口にも北京オリンピックの写真が。

 

 まず店に入ると、奥の部屋に案内され、デキる雰囲気のオバちゃんが日本語でラテックス寝具の特徴を説明してくれる。最初は笑顔で穏やかな口調だったのだが、中国の南の方はゴムの産地なんですよ、ラテックス寝具はこんなにいいんですよ、他のマットレスに比べるとこんなにいいんですよ、などなど説明していくうちに、表情が険しくなっていき、口調も強くなり、なんだか新興宗教の洗脳みたいになってきて怖かった。甘い一言で声をかけておいて、一旦部屋に入ったら壺を買うまで出してもらえないみたいな、その手のオーラを感じます。

 

 そんな手口を使われても、わざわざ北京でマットレスなんか買う気になんかならないと思うのだが、そこは店の方も考えてるのか、ゴムのマットレスを圧縮して持ち帰れるサイズにしてくれるというサービス(?)を披露してくれる。更に、マットレスのみならず枕も売っていて、マットレスを買ってくれなくても枕は買わせてやるという作戦だ。まぁ、向こうからしてみれば旧正月の休みに朝早くからわざわざ出勤してきてるんだから、何でもいいから売りつけたくなるのも分からないでもない。そして、意外にも枕を買ってる人は結構いた。「ちょうど枕欲しいと思ってたのよー」 なんて言いながら買ってるオバちゃんとか。1つ9000円弱という、買ってもいいかと思わせる値段だからだろうか。もちろん自分は何も買わずに店員の攻撃をスルー。枕は買ったばかりだし。

 

実際にマットレスの上で寝ようもんなら、すぐに店員が近づいてきて猛烈にプッシュし始めます。

 

 

 寝具店を出た後は、天安門広場、そして故宮へ。今回北京に行くことが決まってから初めて知ったのだが、天安門広場は故宮の前にあるのね。っていうか、天安門って故宮(紫禁城)の入口の門なのね。

 

 Wikipediaによると、天安門広場は南北880m、東西500mにわたる世界最大の広場らしい。確かに広場を前にしての感想は、とにかく広い。何があるわけでもないのだが、広過ぎる。最大で50万人を収容できるって、どんだけ広いんだ。さすが世界最大の人口を有する国である。そして、天安門広場から車道を挟んだ歩道には、50万人を収容できる広場だからこその驚きの設計がなされていた。それがこちら。

 

広場も広ければ、歩道も広い。

そして注目すべきは、2列に並んでいる排水溝のフタのような鉄板。

 

ただの排水溝のように見えるが、そうではない。

 

 ガイドのCさんによると、大規模な集会の時は人数が多過ぎてトイレが足りなくなるので、この鉄板を外して臨時トイレとして使用するらしい。えーっ! って感じだ。もちろん、鉄板の下は排水溝のように水が流せるようになっているらしいし、みんな好き勝手にするよりかはマシかもしれないが、それにしても・・・・・

 

その歩道から車道を渡って天安門広場へ。

写真左は広場入口の検問。入る前に持ち物チェックがある。

 

そして、これが世界最大の広場。

この "だだっ広さ" は写真で伝えられないが、とにかく広い。

 

広場の石畳。最大収容時は1枚の石板に2人ずつ立つことになっているらしい。

かなりギュウギュウだ。

 

広場の最北端にある、言わずと知れた天安門。中国と言えばこの景色。

 

天安門の前に立っている警備員。

直立不動とはこのことかってくらい動かなかった。

 

 

 この天安門をくぐった向こうが明清朝時代の王宮、紫禁城(故宮)だ。その広さは南北に1km、東西に760mもあり、敷地内には百を超える建物、そして九千近くの部屋があるということで、全てを見て回ったら半日以上は確実にかかるのだが、今回は駆け足ツアーなので、2時間で回るというスケジュール。しかもその途中には恒例のお土産屋さんタイムがあって、故宮を観光しているのは実質1時間半くらいだろうか。しかし、終わってみれば1時間半で十分な感じであった。なぜかと言うと・・・・

 

天安門をくぐった向こうには、

 

端門があって(正確にはここはまだ紫禁城ではない)、更に端門をくぐった向こうに、

 

紫禁城の入口である午門。真南を向いてるから午門。

 

そして午門をくぐると今度は太和門があり、

 

太和門の向こうには太和殿がある。

 

 という感じに、門をくぐれどくぐれど似たような建物が出てくるのだ。さながらマトリョーショカの中を歩いてるようで、段々飽きてくる。まぁ、中国何千年かの歴史に興味がある人には見所満載なのかもしれないが、個人的には殆ど興味ないし。

 

 太和殿の向こうには中和殿と保和殿という建物がある。中和殿には清の最後の皇帝、ラストエンペラーが座っていた玉座が展示されていた。ガイドのCさん曰く、まだ幼い頃の溥儀が座っていた椅子なので、子供用で小さいんですとのこと。その中和殿と保和殿を見た後は、少しメインストリート(?)から外れたところにあるラストエンペラーの書斎だったという部屋へ連れて行ってくれた。ここでちょっとお茶でも飲んで休憩しましょう、とCさん。確かに、天安門広場前でバスを降りてから寒い中を1時間半以上歩いているので、ここらで休憩したくなる。

 

 と思ったら、この部屋がお土産屋さんトラップであった。部屋の壁には、いかにも中国の昔の絵っぽい掛け軸が所狭しと飾られていて、どうやらこの掛け軸が売り物らしい。まぁどうせ買わないし・・・と思いながら、出された温かいお茶を飲んでいたら、今度は 「中国国宝級の書家の先生」 と紹介されたおじさんが、皆の目の前で掛け軸用の書を実演してくれる。なんていう字を書いていたか忘れてしまったが、確か 「愛」 だとか何だとか・・・・ 書き終わると、「書いて欲しい字を書いてもらうこともできます」 「今なら格安の値段(*万円)で掛け軸売ります」 だとか。いやー、ラテックス寝具を買ってたおばちゃん達でも、さすがに万単位の掛け軸は買いませんでしたね。ものの見事に誰も何も買わず、温かいお茶で暖を取って掛け軸店の休憩が終了するのでした。

 

その掛け軸店の名前は清韻堂。

 

 今回、この旅行記を書くにあたって 「清韻堂」 でググってみたのだが、そしたら胡散臭い話が出てくる出てくる(こちら)。要は骨董品のコピーや何の値打もない掛け軸を高値で売ってる、詐欺紛いの店ですよということ。Wikipedia の紫禁城のページにもわざわざ書いてあるくらいだから、買ってしまって日本に帰った後に後悔することになった日本人が結構いるんだろうか。こうなってくると、ラストエンペラーの書斎だったっていうのも怪しい話である。よく考えたら、そんな部屋でお茶なんか飲ませてもらえないか。

 

言われてみれば、愛とか夢とか道とか、

中国の国宝級の書家の先生にしては日本人が好きそうな漢字ばかり書いている気が・・・

 

 掛け軸店を出た後は、鍾粹宮という玉器陳列室を見学し、故宮の一番北にある御花園を通って、故宮の北側の門、神武門から出ておしまい。結局、天安門広場から神武門を出るまで2時間半くらい歩いていたが、2時間半歩いた割に 「見てよかった」 と思えるものがあまりなかったのは、見たいところをじっくり見れないツアーだからだろうか。まぁ、天安門広場と故宮の広さを体感できたのは悪くなかったとは思う。さすが、土地が広大な国は違う。

 

御花園。真冬に通っても華も味も素気もない。

 

 

 故宮を出たのが午前11時頃。ここからまたバスに乗って、昼の四川料理を食べに行った。日本の中華料理屋で 「四川風」 と名のついたものを食べると、辛くて辛くてエライ目に遭うことが多かったので、食べられるかなぁと心配していたけれど、そこまで辛くなかった。唯一、麻婆豆腐に山椒味が効いてるのが結構辛かったけど、今までの四川料理のイメージとは違う辛さ。本来、四川料理とはこういうものなのか、それとも激安ツアーだからニセ四川料理なのか・・・・

 

故宮の前でバスを待っていたら、目の前の歩道に車が普通にあがってきた。怖ぇー

 

昼を食べたお店の向かいが北京大学医学部付属病院だった。古い・・・・

 

 

 次は北京首都博物館へ。今まで見てきたものは中国の歴史ある名所が殆どだったが、首都博物館は6, 7年前に建てられたばかりで、かなり近代的な建物。中では、北京の昔の風俗の様子が展示されていたり、古代の青銅器や磁器、仏像、宝飾品などが展示されていて、博物館としては質も量もなかなか見応えがある方ではないだろうか。ただし、ここでも駆け足観光のために自由時間が40分ほどしかなく、全てをじっくり見ることはできなかった。特別展とか面白そうだったんだけど、時間がなくて見に行けなくて残念。

 

首都博物館のロビー。外の北京の世界とのギャップが大き過ぎる。

 

この傾いている筒の中は青銅博物館。ちょっと不思議な空間である。

 

中国の昔の風俗を展示しているコーナー。結構精巧に作られてるんじゃないでしょうか。

 

ラクダの目がちょっと怖いけど。

 

シーザーに似てる。琉球と中国に密接な関係があるのが分かります。

 

麻雀牌の元祖?

 

こちらは一目で気に入ったキャラクタ―(?)。シェー!

 

豚バージョンを正面から。

 

怖いようなカワイイような・・・・

 

 

 首都博物館を出たら、今度はツアーの予定にはなかった 「100元ショップ」 的なところへ。これまで寄ってきた土産物屋さんが一般的なお土産をあまり売っていないところだったので、ツアー参加者の一人が 「小物みたいなお土産を買えるところはない?」 とCさんに聞いたらしく、Cさんが気を効かせてくれて100元ショップに寄ることになったのだ。へー、それはいいかも、と思ったのも束の間。激安ツアーでそんな上手い話ばかりのはずがなく、100元ショップの正体は、真珠クリームが売りの真珠屋さんであった。

 

 まず、お店そのものが北京中心部から離れた辺境の地みたいなところにあって、周りにあるのは砂埃が舞う廃屋ばかり。こんなところにちょっと立ち寄る一般客がいるわけもなく、当然お店の中は僕らツアーの客だけ。そしてお店に入ると、まず真珠がどうやって取れるのか、そして、いい真珠とはどういうものかという説明があり、それから奥へ連れられて行くと、真珠細工の装飾品や真珠クリームを売っているコーナーがある。何のことはない。今までのお土産屋さんと同じである。肝心の100元ショップは、一連の真珠コーナー部屋の更に奥にあるので、ここをスルーしないと辿り着けないのだ。幸い自分は男なので、そんなもん興味ありませんよーというオーラを出しながら100元ショップコーナーへ行ってみたら、ここは確かに小物系土産物が豊富にあって、これなら買ってもいいかもという物が並んでいた。実際買ってる人も何人かいて、確かに寄って悪いことはなかったと思う。

 

 もちろん、店員から見れば100元ショップよりも真珠クリームの方を買ってほしいので、セールスは全力。ちょっと座って休憩してたり、店内で立ち止まっているだけで 「真珠クリームは(買わない)? 本物、いいよ」 と声をかけてくるあたり、買わせてやるという執念がヒシヒシと伝わってきて怖い。可笑しかったのが、「真珠クリームは6個で1万円のところ、今なら同じ価格で4個おまけつき!」 という、もう何が何だか分からないセールス方法。そんなん誰が買うかい! もう無茶苦茶である。

 

 ちなみに、この真珠クリーム屋さんの滞在予定時間は1時間。さすがに、Cさんの口からそのことが告げられた時は 「そんなに!?」「長過ぎるでしょ・・・」 という声が続出したが、まぁ仕方ない。所詮、現地旅行会社と密接な関係がある店なのだ。ていうか、じゃなきゃ旧正月の真っただ中、突然 「今から寄ります」 と頼んで寄れたりしないし。100元ショップが併設されてるだけ、翡翠屋さんやラテックス寝具店よりはマシだしね。

 

 

 次は再び北京中心部へ戻り、天壇公園へ。天壇公園は紫禁城の南にある公園で、「天壇」 とは天を祀る祭壇のこと。紫禁城の北には地を祀る地壇、南には天を祀る天壇、東には太陽を祀る日壇、西には月を祀る月壇が造られ、その中で最も重要だったのが天壇の中にある祈年殿で行われた 「祭天」 だったらしい。そういう歴史的価値もあり、天壇は世界遺産にも登録されている。

 

紫禁城に並ぶ北京のシンボルとも言われているらしい、天壇の祈年殿。

北京オリンピックの前に塗り直しているので綺麗なのだが、綺麗過ぎて歴史が感じられない。

 

天壇の周りの段の部分についている排水口は龍のデザイン。

 

これは鳳凰。魚にしか見えませんが。

 

これは何の動物だろうと思っていたら雲だった。難易度高し。

 

 祈年殿は北京のシンボルの一つというだけあって、確かに見応えはある。祈年殿の近くにある建物の中は簡単な博物館になっていて、その歴史や内部の構造が展示されているのも興味深かった。ただ、これは見てよかった! というほどのものでもなく、せっかく北京に来たんだから行ってみてもいいかな、くらいの感想。寒くて早くバスに戻りたかったからかなぁ。

 

 

 最後は、天安門の南にある前門から更に南へと延びる前門大街という通りへ。ここは昔からの老舗の店が並ぶ通りだったのを、2009年にリニューアルして北京新名所として賑わっているところ。普通のお土産屋さんから、マクドナルドにユニクロ、ZARAなどが並んでいる一方、街並みはレトロな感じで、新たな観光地として話題になっているっぽい。そんな観光名所が旧正月で混んでないわけがなく、人、人、人。通りを南から北へ歩くだけで疲れてしまった。

 

観光客で賑わう前門大街。向こうに見える大きな門が前門。

 

星巴克珈琲=スタバもあります。

中国のスタバ、ちょっと興味あったけど混んでたので入らず。

 

 

 前門大街を夕方5時頃出て、夕食は北京ダックで有名な老舗料理店、全聚徳で。日本にも出店している有名チェーンの本家が出す北京ダックということで、そこそこ美味しいのではと期待していたら、これが期待通りだった。北京ダックの味はもちろんのこと、日本の全聚徳でこれくらい食べたら結構高くつくんじゃない? っていうくらい、量もしっかり。他の付け合わせも普通にちゃんとした味で、今回食べた中で一番満足の料理だった。ていうか、日本の北京ダックってバカみたいに高いんだねぇ・・・・

 

北京ダックは目の前でスライスしてくれます。

 

 

 ホテルに戻ったのが夜の7時半頃。明日の出発も早いので、最後の夜を惜しむことなく、どこにも出かけずに9時過ぎには寝た。もう花火の音にも慣れました。

 

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