75回/2002年度  アカデミー賞ノミネーション

■ 作品賞   ■ 監督賞   ■ 主演男優賞   ■ 主演女優賞   ■ 助演男優賞   ■ 助演女優賞

           

助演女優賞

前哨戦の結果が散り散りになって、最も混戦模様の助演女優賞。
誰が獲ってもおかしくないが、イマイチ決め手にかける助演女優賞。
作品の勢いの強さと、主演並みの出番でキャサリン・ゼタ・ジョーンズがちょっと有利か?




Kathy Bates : ABOUT SCHMIDT / 『アバウト・シュミット』

 キャシー・ベイツと言えば 『ミザリー』 。あれは怖かった。 あの巨大な体に乗っかった無愛想な顔で見せる、ファンの作家を監禁する狂気の沙汰。 しかしそんな役とは打って変わって、様々な映画で芸達者なところを見せるベイツ。 『タイタニック』 で人のいい金持ちおばさんを軽妙に演じたし、最近では 『ラット・レース』 のリス売りおばちゃんが最高。 今回の 『アバウト・シュミット』 ではニコルソン扮するシュミットの娘の婚約者の自由奔放な母親を演じるが、 何と全裸シーンをこなしているとか(ちなみに54歳。ストリープより年上である)。 他の候補者に比べると地味であることは確かだが、 アカデミー会員好みの俳優であることも確か。『ミザリー』 1作でベテランに躍り出たベイツの、そのしみじみした上手さは十分評価に値する (その前から上手かったんだけど)。 でもやっぱり地味・・・・・・・


【ナショナル・ボード・オブ・レビュー受賞】

# オスカーノミネート歴    '90 『ミザリー』 (主演・受賞)
                    '98 『パーフェクト・カップル』 (助演)





Julianne Moore : THE HOURS / 『めぐりあう時間たち』

 93年のホリー・ハンターとエマ・トンプソン以来のダブル・ノミニーとなったジュリアン・ムーア(この年は二人もダブル・ノミニーが)。 『めぐりあう時間たち』 では、夫と可愛い息子がいながら、隣家の女性に抱く感情から自分のセクシャリティに気づく40年代の主婦を演じる。 『エデンより彼方に』 の役と若干かぶるような気もしないではない。(以下、主演のコメントと同じ)  ゼタ・ジョーンズに続き助演部門にしては主演並みの役なので、理論的には受賞してもおかしくない。 まさかのダブル受賞になったりして。しかし主演でムーアに投票した人は助演では投票しないか? ちなみにムーアが一番尊敬する女優はメリル・ストリープ。 無名の頃にたまたま本屋で遭遇した時は感激したらしい。 99年も同時に主演でノミネートされているが、 そんな相手と2度も同時にノミネートされるのはやっぱり嬉しいんじゃないだろうか。


【ロサンゼルス批評家協会賞受賞】

# オスカーノミネート歴    '97 『ブギーナイツ』 (助演)
                    '99 『ことの終わり』 (主演)





Queen Latifah : CHICAGO / 『シカゴ』

 ラップ界のクィーン、クイーン・ラティファがアカデミー賞にノミネート! 映画デビューは91年、スパイク・リーの 『ジャングル・フィーバー』で(ハル・ベリーと同じ)、 その後、『マイ・ライフ』 や、『奴らに深き眠りを』、『セット・イット・オフ』、『スフィア』、『ボーン・コレクター』 などに出演。 女優としてのキャリアも着実に歩んでいる。 そんな彼女がミュージカル映画で歌って踊るなんて、これぞラティファの見せ場。 本作ではゼルウィガー扮する主人公を助ける刑務所の女看守に扮し、 体型もプラスして存在感バッチリ。32歳にして既に大御所感タップリ! しかし同部門でキャサリン・ゼタ・ジョーンズが候補になっていて、 ほぼ主役の彼女と賞を争うのはちょっとツライものがある。 作品の勢いで受賞する可能性もあるだけに、なぜキャサリンが助演なの! と怒っていても無理はない。 (怒ってるかどうかは知らないが)





Meryl Streep : ADAPTATION / 『アダプテーション』

 このノミネートでキャサリン・ヘップバーンの12回ノミネーションを抜き、最多ノミネーションに躍り出たメリル・ストリープ。 オスカーノミネートだけが全てではないが、このことからもストリープがどれだけアメリカで尊敬され、愛されている女優なのかがわかる(好き嫌いは別として)。 そして、54歳となった今でも彼女が主演を張れるのは、一つに演じてきた役柄の多彩さがあるだろう。 落ちぶれた我侭女優や、思わず訪れた純愛不倫に顔を赤らめる主婦(こっちが恥ずかしくなる)、 スラムの学校でヴァイオリンを教える音楽教師、 母であることの素晴らしさを娘に説く、癌で余命幾ばくもない母親(娘役にゼルウィガー)。 そして今年も 『めぐりあう時間たち』では女性のパートナーと暮らす現代女性を演じている。 が、ノミネートされたのは 『アダプテーション』 で、 自らの著書と自分の生き方の関係に悩んでいるベストセラー作家、スーザン・オーリアン役。 予告編で見られる、草花に囲まれて白いドレスで庭(?)に横たわるストリープの姿は失笑一歩手前だが、 『マルコヴィッチの穴』 に惚れ込んでスパイク・ジョーンズの監督作品に喜んで出演をOKしたという彼女。 大女優になっても冒険心を失わないのだ。 オスカーを初めて受賞した 『クレイマー、クレイマー』 以来20年以上ぶりの助演ノミネートだが、 やっぱり彼女には主演でまた受賞して欲しいところ。 だって、それだけ素晴らしい女優なんだから。 ちなみに本人は、「もうウンザリ。受賞のためのキャンペーンがまるで選挙運動みたいになっていることに危機感を感じるわ。私は演じることにしか興味がないの」 と発言。 エライ!

【ゴールデングローブ賞受賞】

# オスカーノミネート歴    '78 『ディア・ハンター』 (助演)
                    '79 『クレイマー、クレイマー』 (助演・受賞)
                    '81 『フランス軍中尉の女』 (主演)
                    '82 『ソフィーの選択』 (主演・受賞)
                    '83 『シルクウッド』 (主演)
                    '85 『愛と哀しみの果て』 (主演)
                    '87 『黄昏に燃えて』 (主演)
                    '88 『クライ・イン・ザ・ダーク』 (主演)
                    '90 『ハリウッドにくちづけ』 (主演)
                    '95 『マディソン郡の橋』 (主演)
                    '98 『母の眠り』 (主演)
                    '99 『ミュージック・オブ・ハート』 (主演)





Catherine Zeta-Jones : CHICAGO / 『シカゴ』

 『ホーンティング』 のゼタ・ジョーンズから考えると、彼女がオスカー候補になるまでになったのに驚きだが、 どう考えても40直前の貫禄マダムっぷりを常に披露してきた彼女が、まだ34歳だったことにもっと驚き。 ゼルウィガーと同い年? 年齢ごまかしてないか? 彼女が演じるのは、ゼルウィガー扮するロキシーの登場でスターの名声を奪われる歌姫、ヴェルマ。 殺人というスキャンダルまで名声の武器にするスターの役は、 ゼルウィガーの意表を付いた悪女のキャスティングに対してゼタ・ジョーンズにドンピシャだ。 ミュージカル経験もあって、見事な歌と踊りを疲労するボブカットのジョーンズ(写真、ちょっとコワイ)。 助演にしては出番も多く、GGでは主演にノミネートされるほど (助演の方が受賞しやすいと考えた映画会社の戦略で、オスカーでは助演に登録されている)。 作品の勢いもあって、華やかさでは他の候補者を寄せつけない。 ザッツ・ハリウッドな助演女優賞の誕生? 受賞すれば夫のマイケル・ダグラスと共にオスカー夫婦。


【ブロードキャスト批評家協会賞、全米俳優組合賞受賞】


■ 希望 : メリル〜
■ 予想 : 勢いでキャサリン。まぁそれもアリかな。