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THE LORD OF THE RINGS : the Return of the King
/ 『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』
遂に世紀の3部作が完結! 3作ともオスカー作品賞候補になった 『ロード・オブ・ザ・リング』 だが、
話題の1作目は(なぜか)『ビューティフル・マインド』 に持っていかれて4部門のみの受賞、
2作目は1作目でも完結編でもないということでたったの2部門と、影が薄くなっていた。
けれども今度は違う! なんたって、合計9時間20分の壮大な物語にとうとう終わりが訪れるのだ。
3作続けてクォリティを保ち続け(むしろ次第にアップ)、
足掛け2年もの間、観る者を夢中にさせた罪は重い。
スケール、話題性、観客動員数、映像、見事なストーリーテリング、映画館で座ってなければいけない時間、
どれを取ってもオスカー文句ナシだ。
1作目と同じく本年度最多ノミネーションとなり、前哨戦の評価もダントツ。
これに投票しないでどれにする状態だ。
今年獲らない理由がどこにあろうかLOTR!
今年こそ巻き起これLOTR旋風!
作品、監督、脚色、編集、美術、作曲、衣装デザイン、メイクアップ、
音響、視覚効果、主題歌賞、計11部門ノミネート
【ゴールデングローブ賞、ニューヨーク批評家協会賞、ブロードキャスト批評家協会賞、オンライン批評家協会賞受賞】
LOST IN TRANSLATION / 『ロスト・イン・トランスレーション』
ソフィア・コッポラ監督長編2作目の 『ロスト・イン・トランスレーション』 が順当にノミネートだ。
CMの撮影で日本へ来ていて、時差ボケと孤独感で疲れきったアメリカ人俳優ハリス(ビル・マーレイ)が、
夫に相手にされない若い女性(スカーレット・ヨハンソン)と出会い、
仲間のような友人のような恋人のような不思議な感覚で夜の街を彷徨っていく。
派手な演技やドラマティックな展開はなく、
他の4作品とは明らかに毛色が違って小粒感たっぷりだが、
監督の独特のセンスで描くきめ細かい感情や映像で作品の評価高し。
というか、ストーリーそのものに監督のセンスが光る。
だが、最近この手の小粒な映画の受賞はなく、
この手の映画で獲るとすれば主演男優賞か脚本賞あたり。
そもそも、絶好調のスカーレット・ヨハンソンが主演女優賞候補から漏れたのがとても意外。
作品、監督、主演男優、脚本賞、計4部門ノミネート
【ゴールデングローブ賞受賞】
MASTER AND COMMANDER : the Far Side of the World
/ 『マスター・アンド・コマンダー』
『トゥルーマン・ショー』 のピーター・ウィアー監督の新作は、パトリック・オブライアンの壮大な冒険小説の映画化。
1805年、ヨーロッパ征服を狙うナポレオン軍の武装船を捕らえる役を担った大英帝国の軍艦に乗り込んでいたのは、
伝説の艦長に率いられ、まだ闘い方も知らない幼い少年達だった。
ズバリ見せ場は大海原で繰り広げられる大砲ドカーン合戦だが、
ウィアー監督の作風からして、ただの海洋アクション感動巨編にするとは思えない。
今回も、じわじわと、わざとらしくなく心に染み入る作品になってるはず。
となればアクション映画として楽しめて、
さらに節度あるドラマも見せてくれることになるんだから評価も高いというもの(推測)。
そして主演は 『グラディエーター』、『ビューティフル・マインド』 と、
主演すれば作品賞をもたらすラッセル・クロウだ(今年はノミネートならず)。
ノミネート数ではLOTRに続く9部門だが、前哨戦では何にもカスらず、
同じアクション系統なら明らかにLOTRが有利。むしろ候補作の数合わせでは?
ちなみに、LOTRのピピンことビリー・ボイドも出演。
作品、監督、編集、撮影、美術、衣装デザイン、音響、音響効果、視覚効果賞、
計9部門ノミネート
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MYSTIC RIVER / 『ミスティック・リバー』
大本命の 『ロード・オブ・ザ・リング』 に対抗できるとしたらコレか。
幼い頃の遊び友達であった3人の少年が、大人になってからある事件をきっかけに再び関係が生まれる。
殺されたのは一人の娘。その晩、もう一人が手を血で染めて家に帰ってきたのをその妻は知っている。
そして、3人目の男は事件を捜査する刑事。
息苦しくなるような心理的演技が続く 『ミスティック・リバー』 は、
候補5作品の中では最も暗いが、人間に対する洞察力が最も鋭い映画でもある。
なんせ、監督がクリント・イーストウッドで、
キャストがショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローラ・リニーだ(うち、3人ノミネート)。
脚色も、『L.A.コンフィデンシャル』 のブライアン・ヘルゲランド。
そこそこの人物描写で終わるはずはない。
ドラマとしては素晴らしい出来だが、
やーっぱオスカーには暗すぎるんじゃないだろーか。
演技部門で誰か獲れそうだしさ。
作品、監督、主演男優、助演男優、助演女優、脚色賞、計6部門ノミネート
【ナショナル・ボード・オブ・レビュー受賞】
SEABISCUIT / 『シービスケット』
1930年代アメリカの実在の競争馬、シービスケット。その馬で結びついた3人の男達を描いた 『シービスケット』 が見事作品賞ノミネート。
前哨戦では成績ゼロだが、『ミスティック・リバー』 に負けないわよとばかりに、ジェフ・ブリッジス、トビー・マグワイア、クリス・クーパー、
ウィリアム・H・メイシーなど味のある俳優が揃っていて、彼らによるドラマと迫力大のレースシーンで、
純粋に素晴らしい映画になっている。
他の作品のように一ヒネリしてあるワケではないが、
この御時世、一頭の馬にアメリカ全土が希望を寄せたというドラマに共感する人が多くてもおかしくない。
しかし、なぜか演技部門候補者が一人もおらず(本当になぜ・・・)、
脚色を手がけたゲイリー・ロスは監督賞候補に挙がらずじまい。
派手でもなく、個性的でもなくと、やはり強烈なパンチがないので、作品賞のみならず他部門でも受賞はちとツライ?
それとも、本物のシービスケットのように、映画も最後でトップに躍り出るか。
どちらにしろレースシーンの編集は見事だと思うんだけど。
作品、脚色、編集、撮影、音響、衣装デザイン賞、計6部門ノミネート
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