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Sofia Coppola : LOST IN TRANSLATION
/ 『ロスト・イン・トランスレーション』
いわずと知れたフランシス・フォード・コッポラの愛娘。
76年のリナ・ベルトミューラー(『セブン・ビューティーズ』)、93年のジェーン・カンピオン(『ピアノ・レッスン』)に続いて、
オスカー史上3人目の女性監督ノミニーだ(アメリカ人女性としては初)。
さすが血筋。父親とは違ってユニークな視線で寂しさや切なさを描くのを得意とし、
『ヴァージン・スーサイズ』 に続いて監督も脚本も手がけて両部門でノミネート。
若干29歳と若いが、父親が 『ゴッドファーザー』 を作ったのが33歳の時なので、
親子そろって早熟の監督である。
父親のように監督人生尻すぼみにならなければよいのだが。
批評家ウケはいいが、オスカー的には4番手5番手。
その分(?)、コッポラ一族の一人として授賞式に華を副えてくれそうだ。
【ニューヨーク批評家協会賞受賞】
Clint Eastwood : MYSTIC RIVER / 『ミスティック・リバー』
『許されざる者』 から11年の間、パンチはないが小粒で良質の真面目な映画を作ってきたイーストウッド。
『ミスティック・リバー』 は、その集大成とも、イーストウッドの最高傑作とも評されている。
確かに、サスペンスとしての緊張感を、登場人物の感情を残酷なまでにえぐり出すことで演出し、
その結果、恐ろしい人間ドラマにしているイーストウッドの手腕は見事。
齢72歳にして、まだまだ衰えない人間への観察力に感服だ。
ハリウッドでの功績やベテラン度的にはナンバー1で、
ピーター・ジャクソンに対抗できるとすれば彼。
けどもうオスカーもらってるし、
残酷な結末に共感を持てない会員もいそう。
ジャクソンの一人勝ちが面白くない人の票に期待。
【全米批評家協会賞受賞】
# オスカーノミネート歴 '92 『許されざる者』 (作品、監督受賞、主演)
Peter Jackson : THE LORD OF THE RINGS : the Return of the King
/ 『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』
ご覧の通り、前哨戦の大多数を制覇したピーター・ジャクソン。
むしろ作品賞よりも一人勝ちの雰囲気が強い。
そりゃぁ、3作分まとめて評価したらダントツだ。
結局LOTRの成功は、LOTRの世界を完璧に作り上げた彼によるものがほとんどなんだから。
もはや映画界で伝説化するに決まっている、この偉業を成し遂げた功績に対してアカデミー賞も最大の賛辞を捧げるべきだ。
キャリアという点でイーストウッドとウィアーに一目置く以外は、
他の候補者を全く寄せ付けない勢い。
全米監督組合賞(オスカー直結率95%以上、けど去年はハズレ)も受賞したことだし、
彼に投票しないで誰にする?
これで獲れなかったら世界中からアカデミー賞にブーイングが来てもおかしくないくらいの大本命だ。
獲らなかったら余りにかわいそう。
【ゴールデングローブ賞、ロサンゼルス批評家協会賞、
ブロードキャスト批評家協会賞、オンライン批評家協会賞、全米監督組合協会賞受賞】
# オスカーノミネート歴 '94 『乙女の祈り』 (脚本)
'01 『ロード・オブ・ザ・リング』 (作品、監督、脚色)
'02 『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』 (作品)
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Fernando Meirelles : CIDADE DE DEUS / 『シティ・オブ・ゴッド』
完全ノーマーク! 去年のペドロ・アルモドヴァルに続いて、今年も外国語映画で監督賞ノミネートである。
そもそも外国語映画部門のブラジル代表になってないにもかかわらず、監督・脚本・編集・撮影と、主要部門系で4つもノミネートだ。
その分 『シービスケット』 のゲイリー・ロスが候補から漏れたのが(とっても)残念だが、
銃も麻薬もすぐそこにある60年代から80年代のブラジルのスラム街ファベーラこと”シティ・オブ・ゴッド”での少年達の過酷なサバイバルを、
小気味よいリズムにのってスタイリッシュに描いた演出力は(以上、公式HPよりパクリ)見事。
この新しい演出の波を保守的なアカデミー会員が評価したのは驚きだ。
まぁ作品賞にも出てきてないし、全米監督組合協会賞ノミネートもなし。
それで監督賞受賞はキツイ、というか、ノミネートだけで今後売れっ子になれるだろうから、
これでよしとしよう。うん。てゆか観てないよ 『シティ・オブ・ゴッド』。観とけばよかったよ 『シティ・オブ・ゴッド』。
Peter Weir
: MASTER AND COMMANDER : the Far Side of the World
/ 『マスター・アンド・コマンダー』
毎回、一風変わったテーマとストーリーを安定した上手さと独特の視線で描き、
そこそこのヒットと評価を常に受けてきたピーター・ウィァーが、
今回は海洋アクションに兆戦。
『パーフェクトストーム』 みたいな映画にならないことを祈るばかりであったが、
見事にアクションもこなせることを証明し、
またもやそこそこのヒットと評価で、気づけば5作目のオスカーノミネーション。
監督としても4作目となる候補で、いつかはあげたい監督の一人には違いない。
だが独特の視点が邪魔して決め手に欠けるために、いつもあげられない監督の一人にも違いない。
初の大作を手がけた今回はチャンスと言えなくもないが、
今回が彼の最高傑作とは言えなさそう。
大本命のピーター・ジャクソンと名前が一緒なので、発表の時に 「もしや」 と思って緊張しないか?
# オスカーノミネート歴 '85 『刑事ジョン・ブック 目撃者』 (監督)
'89 『いまを生きる』 (監督)
'90 『グリーン・カード』 (脚本)
'98 『トゥルーマン・ショー』(監督)
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