77回/2004年度  アカデミー賞ノミネーション

■ 作品賞   ■ 監督賞   ■ 主演男優賞   ■ 主演女優賞   ■ 助演男優賞   ■ 助演女優賞

           

助演男優賞

前哨戦ではチャーチがぶっちぎり。
今年一番受賞確実なノミニーはやっぱりチャーチ。
と思いきや、GGもSAGも外してしまったチャーチ。
意外にも混戦が予想される助演男優賞なのでした。





Alan Alda : THE AVIATOR / 『アビエイター』

 シリアスもコメディもこなす名優アラン・アルダが、 『アビエイター』 ではディカプリオ演じるハワード・ヒューズと対立する上院議員を演じ、 短い出番ながらもアカデミー賞にノミネートされた。 今年のサプライズ・ノミニーの一人だ。 今年の演技部門ノミニーの中ではイーストウッドに次ぐ最長老で、 当然キャリアも長い。 最近ではジェームス・コバーンが長年のキャリアの後のこの部門の初ノミネートで受賞したことを考えると(『白い刻印』)、 功労賞の意味で受賞してもおかしくない、 と言いたいところだが、今年はモーガン・フリーマンという同じような功労賞的立場の候補がもう一人いるのが痛い。 しかも向こうの方が注目度高いし。 作品の勢いでアルダの受賞も考えられなくはないけれど、やっぱり、相手はモーガン・フリーマンだからなぁ。






Thomas Haden Church : SIDEWAYS / 『サイドウェイ』

 80年代のTV俳優だったトーマス・へイデン・チャーチ。 長い低迷期を経てアレクサンダー・ペインの作品に出演してみたら、 何とまぁ、批評家大絶賛の演技。 ということで、同じく助演部門候補のヴァージニア・マドセン同様、 アカデミー会員好みのカムバック劇だ。 そして、これまたマドセン同様にSAGとGGを逃し、前哨戦後半になって突然勢いが止まってしまった。 何せ、敵はモーガン・フリーマンだ。 知名度やキャリアで既に大きく差がついていて、 これだけの前哨戦の戦果も、正直揺らぐというもの。 ただし、主演のポール・ジアマッティが落選したおかげで 『サイドウェイ』 票がチャーチとマドセンに集中する可能性もあり、 望みはまだまだ捨てきれないところ。


【ナショナル・ボード・オブ・レビュー、ロサンゼルス批評家協会賞、
ボストン批評家協会賞、シカゴ批評家協会賞、フロリダ批評家協会賞、
全米批評家協会賞、オンライン批評家協会賞、ブロードキャスト批評家協会賞受賞】





Jamie Foxx : COLLATERAL / 『コラテラル』

 『RAY/レイ』 の大絶賛演技効果か、助演部門でもノミネートされたフォックス。 確かに 『コラテラル』 は、 殺し屋トムクルに振り回されるタクシー運転手を、緊迫感が途切れることなく演じきったフォックスの実力で助けられた映画でもある。 と同時に、『RAY/レイ』 とは全く違った役柄を演じられることも証明し、 つまりは一発屋俳優ではなく、実力のある俳優として認められたわけだ。 GGにもSAGにもダブルノミネートだし、 もしかするとトムクル好きの会員が投票してくれるかもしれない。 でも、さすがに主演助演同時受賞はないだろうし、 なんだかんだ主演部門が手堅すぎるので、 オスカー史上初の黒人ダブルノミネートという記録だけで十分では?



Morgan Freeman : MILLION DOLLAR BABY
                       / 『ミリオンダラー・ベイビー』


 『許されざる者』 でもイーストウッドにお世話になったモーガン・フリーマン。 今年は黒人俳優が全部で5ノミネーションを獲得し、 ハル・ベリーとデンゼル・ワシントンがダブル受賞した3年前を彷彿とさせる強さで、 しかもSAGは主演・助演男優賞を黒人俳優が制覇し、 オスカーで再び同じことが起こってもおかしくない。 ということで、その勢いでフリーマンの受賞の可能性もぐんと上がった。 アラン・アルダと共に、これまでのキャリアは間違いなく同業者からリスペクトされるものだし、 最近こそ助演的役柄が多いが、元々は主演もこなせる数少ないベテラン黒人俳優だ。 むしろこれまで受賞していないのが不思議なくらい。 前哨戦ではチャーチに大きく譲ってはいるものの、 「批評家の評価=アカデミー賞」 ではないところも事実。 4度目のノミネートということで、そろそろ?


【俳優組合協会賞受賞】

# オスカーノミネート歴    '87 『N.Y.ストリート・スマート』 (助演)
                    '89 『ドライビング・ミス・デイジー』 (主演)
                    '94 『ショーシャンクの空に』 (主演)





Clive Owen : CLOSER / 『クローサー』

 元々は自分が出演していた同名の舞台の映画化で、 舞台で演じた役(映画ではジュード・ロウが演じる)とは違う役を演じたクライヴ・オーウェン。 『キング・アーサー』 も 『すべては愛のために』 もコケたが、 ようやくまともな出演作に恵まれ(『ゴスフォード・パーク』 も世間的にはまともだったけど)、 普通の人間を演じながら、四画関係の恋愛劇をただのメロドラマに終わらせない演技力が認められた。 ナタリー・ポートマンと仲良くゴールデン・グローブ賞受賞だ。 実力派英国俳優に弱いアカデミー会員だけに、オーウェンにもチャンスがあるが、 SAGでは、これまた仲良くポートマン共々ノミネートから外れてしまった。 でも、マーシャ・ゲイ・ハーデンだってSAGにノミネートされずに受賞してるので、 可能性は十分、と言ってもそんなのハーデンだけなので、そうとも言い難い。


【ゴールデングローブ賞、ニューヨーク批評家協会賞受賞】








期待 : アラン・アルダ
予想 : モーガン・フリーマン

正直、誰が受賞しても個人的には盛り上がんないんですけどね。
モーガン・フリーマンってあんまり好きな俳優じゃないし。
まぁサプライズついでにアルダが受賞したら面白いかな、と。