第78回/2005年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

           

 

監督賞

 

今年は監督賞候補が5人とも作品賞候補と一致。

結構珍しいです。

そして作品賞と同じく、ここの本命もアン・リー。

迎え撃つ2度の受賞のベテランと新人監督達に望みはあるのか!

 

 

 

 

George Clooney : GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.

/ 『グッドナイト&グッドラック』

 

  最近ではコーエン兄弟に気に入られたり、 ソダーバーグにも気に入られたりして、人気実力共に上昇し続けるジョージ・クルーニー。 監督第1作の 『コンフェッション』 にも比較的高い評価が集まったが、 監督2作目で早くもオスカーにノミネートされた。 今回は脚本にも参加し、当然自分も出演し、マルチなタレントを披露。 更には別の映画で助演男優賞にノミネートされちゃったりして、 今年のオスカーは’クルーニー祭り’だ。 『ER』 でブレイクしてからかれこれ10年だが、 ロス先生がここまでアカデミーでフィーチャーされるとはね。 全く予想しませんでした。 ケヴィン・コスナー、メル・ギブソン、ロバート・レッドフォード、クリント・イーストウッドと、 俳優出身の監督には寛容なアカデミーなので、 本命アン・リーの対抗馬になりうるのはクルーニーのみ。 ハリウッドでの人気も加味すれば、結構票が集まるかも。

 

 

 

Paul Haggis : CRASH / 『クラッシュ』

 

 去年のオスカーを賑わせた 『ミリオンダラー・ベイビー』 の脚本家ポール・ハギスが、 脚本も書いた監督デビュー作で絶賛され、 結果的に2年連続で賞レースを沸かせてくれている。 ベネット・ミラーといいハギスといい、 新人監督が2人もノミネートされるとは、アカデミー賞にしてはかなり珍しい。 確かに、映画の好き嫌いはあったとしても、 ハギスの演出と脚本に疑いを持つ人はいないだろう。 元々はTVの脚本家なので、TV出身に冷たいアカデミー賞ではちと苦しいが、 去年逃した脚本部門では本命の感アリだ。 ということで、監督賞で何ちゃらということはなさそう。

 

# オスカーノミネート歴    '04 『ミリオンダラー・ベイビー』 (脚色)

 

 

 

Ang Lee : BROKEBACK MOUNTAIN

/ 『ブロークバック・マウンテン』

 

 5年前、オスカー直結度95%の確率を誇る全米監督組合協会賞を 『グリーン・デスティニー』 で受賞しながらも、 本番ではスティーブン・ソダーバーグにオスカーを持っていかれたアン・リー。 今年はそんな事態は避けたいところだが、 作品賞も監督賞も混戦だった5年前と違って、今年は作品賞も監督賞も大本命だ。 ゲイのラブ・ストーリーという難しい題材が広く受け入れられたのは、 それを普遍的な愛の物語へと昇華した監督の手腕に依るところが大きい。 受賞すればアジア人監督として初の受賞になるが、 アジア人というハンデはほぼないに等しいくらい、ハリウッドでの評価は確立されているし、 残りの4人は、監督としては新人と、2度もオスカーを受賞しているベテラン。 このメンツなら受賞は安泰だろう。 敢えて不安要素を挙げるなら、『ハルク』 を覚えてる会員がいるかもしれないことくらいか?

 

【ゴールデングローブ賞、全米監督組合協会賞、ロサンゼルス批評家協会賞、

ニューヨーク批評家協会賞、ブロードキャスト批評家協会賞、

ナショナル・ボード・オブ・レビュー受賞】

 

# オスカーノミネート歴    '00 『グリーン・デスティニー』 (作品、監督)

 

 

 

Bennett Miller  : CAPOTE / 『カポーティ』

 

  監督としてはほぼ無名に近かったベネット・ミラー39歳。 長編初監督作の 『カポーティ』 は、どちらかというとフィリップ・シーモア・ホフマンの演技に賛辞が集まっていたが、 その流れに乗って作品賞、そして監督賞にもノミネートだ。 これできっと次回作のオファーはたっぷり来るだろうから、 今回はもう監督第1作でノミネートされただけで十分としよう。 あぁ。もうこれ以上書くことが思いつかない。

 

 

 

Steven Spielberg : MUNICH / 『ミュンヘン』

 

 初めてオスカーにノミネートされてから、かれこれ18年。 『カラー・パープル』 では作品賞にノミネートされながらも監督賞では候補落ちになったり、 オスカーには嫌われていた時代もあったが、 『シンドラーのリスト』 で受賞してからは既にお気に入り監督の一人となった映画の神様、スピルバーグ。 『ミュンヘン』 は、そんな彼のベストワークとも称されるほどで、 GG賞ではまさかの候補落ちだったが、 スピルバーグの知名度(というかブランドというか)でオスカーにはバッチリノミネート。 ただし、『シンドラー〜』 や 『プライベート・ライアン』 の時ほどオスカーで盛り上がってるわけでもなく、 アン・リーを押し退けてまでして3度目のオスカーをもらうには、ちょっと物足りない。 立場としては、インディ系が台頭する中でのメジャー系代表といったところだろうか。

 

# オスカーノミネート歴    '77 『未知との遭遇』 (監督)

'81 『レイダース 失われた聖櫃』 (監督)

'82 『E.T.』 (作品、監督)

'85 『カラー・パープル』(作品)

'93 『シンドラーのリスト』 (作品、監督)

'98 『プライベート・ライアン』 (作品、監督

 

 

 

期待 : アン・リー

予想 : アン・リー

 

別にアン・リーが好きというわけではないが、

キャリア的にも実力的にも、

オスカーに相応しい候補者であることは疑いがないので。