第80回/2007年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

           

 

助演女優賞

 

主演女優賞や助演男優賞も年齢差のある面々だが、

ここでは演技部門の最年長と最年少が揃いました。

上が83歳、下が13歳と、

何と年齢差70!

 

 

 

 

Cate Blanchett : I'M NOT THERE / 『アイム・ノット・ゼア』

 

 ここ最近、オスカーでのダブルノミニーの頻度が随分上がっている。 2002年のジュリアン・ムーア、2004年のジェイミー・フォックスに続いて、今年はケイト・ブランシェットが主演助演で同時ノミネートだ。 これで初ノミネートから10年の間に5回のノミネートを受けたことになる。一方では英国女王、もう一方では男装してボブ・ディランを演じて候補入りと、 全く異なるタイプの役柄でノミネートされているが、どちらも絶賛を欲しいままにし、今まさに現役実力ナンバー1の女優として認められたと言っても過言ではなかろう。 ブランシェットほどの女優なら助演オスカーが2個あっても足りないくらいなので、 もう1個あげるなら是非主演で、と思うのだが、前哨戦では助演部門の方での活躍が目立っており、受賞するならこっちになりそう。

 

【ゴールデングローブ賞、全米批評家協会賞、シカゴ批評家協会賞受賞】

 

# オスカーノミネート歴    '98 『エリザベス』 (主演)

'04 『アビエイター』 (助演)

'06 『あるスキャンダルの覚え書き』 (助演)

 

 

 

Ruby Dee : AMERICAN GANGSTER / 『アメリカン・ギャングスター』

 

 助演男優賞のハル・ホルブルックに負けてられないわとばかりに、こっちでは御年84歳となるルビー・ディーがノミネート。 公開当時からオスカーの呼び声が高かったリドリー・スコット監督の 『アメリカン・ギャングスター』 だが、今年は良作揃いなのか、 結局ノミネートはこの部門と美術賞のみにとどまった。ディーが演じるのは、デンゼル・ワシントン演じる暗黒街のカリスマ、フランク・ルーカスの母親役。 ちなみにホルブルックは1925年2月17日生まれ、ディーは1924年10月生まれなので、授賞式では2人とも84歳。 どちらにしろ、受賞したら史上最高齢の演技部門受賞者の誕生だ。

 

【全米俳優組合賞受賞】

 

 

 

Saoirse Ronan : ATONEMENT / 『つぐない』

 

 キーラ・ナイトレイやジェームズ・マカヴォイ、ヴァネッサ・レッドグレイヴなどの面々のノミネートが期待されていた 『つぐない』 だが、 ノミネーション発表で名前を呼ばれたのは13歳のセルシャ・ローナン。 物語の展開において重要な役である、ナイトレイ演じるヒロインの妹の幼い頃を演じ(成長してからはロモーラ・ガライが、晩年はレッドグレイヴが演じる)、 公開当時からその演技には注目が集まっていたのでノミネートも納得だ。これまでの映画出演作は2作品ほどだが、 この後はピーター・ジャクソン監督作品に出演していて、今回の候補入りで更にオファーが来るだろうし、なかなか順風満帆なキャリアになりそう。 まぁまぁ子役に優しい部門だし、アカデミー会員の 『つぐない』 派が投票してもおかしくないので、 受賞の可能性がないとは言い切れないところだ。何せ今年の助演女優賞は一番の混戦模様だし、『ピアノ・レッスン』 でアンナ・パキンが受賞した時だってパキンは本命じゃなかったんだから。

 

 

 

 

Amy Ryan : GONE BABY GONE / 『ゴーン・ベイビー・ゴーン』

 

 オスカーレース前半をほぼ独走してきたエイミー・ライアン。これまでのキャリアはあまりパッとしないが、 ベン・アフレックが監督デビューした 『GONE BABY GONE』 で娘を誘拐された母親役を演じて突然絶賛を勝ち取っている。 酒やクスリ浸りの生活を送り、娘が誘拐されても自分の言い分を通そうとする我がままな母親役ということで、 なかなか共感を呼ばなさそうな役ではあるが、それだけに演技力が要求される役でもある。 気になるのはオスカーレース後半の失速だ。ゴールデングローブ賞と全米俳優組合賞をどちらも逃していて、 3年前の 『サイドウェイ』 で同じような状況でオスカーを逃したヴァージニア・マドセンを思わせる展開に(しかもその時の受賞者はケイト・ブランシェット)。 ハリウッドのお祭りであるアカデミー賞ではやはりブランシェットやディーの受賞の方が盛り上がるしなぁ。

 

【ロサンゼルス批評家協会賞、ニューヨーク批評家協会賞、オンライン批評家協会賞、

ワシントンDC批評家協会賞、サンフランシスコ批評家協会賞、ボストン批評家協会賞、

ブロードキャスト批評家協会賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー受賞】

 

 

 

Tilda Swinton : MICHAEL CLAYTON / 『フィクサー』

 

 今回のノミネーションで候補者たちの経歴を調べていたら、ティルダ・スウィントンが47歳と知って驚いた。 てっきり30代後半くらいかと思っていたのだ。注目され始めたのは2000年のディカプリオ主演作 『ザ・ビーチ』 あたりからだったと思うので、 かなり遅咲きの女優だったわけか。それからは変わった母親役から天使役だの魔女役だの、 バリエーションに富んだ役で楽しませてくれてきたが、 『フィクサー』 では主要キャラクター3人のうちの1人を演じ、ジョジクル、ウィルキンソンと並んで見事に初のオスカー候補だ。 前哨戦では候補入り止まりで、ブランシェットやディーほどの貫禄はなく、かと言ってローナンほどのフレッシュさもないということで、 よくある中途半端なノミニーではあるのだが。ちなみにブランシェットとはデヴィッド・フィンチャーの次回作で共演、そして次はコーエン兄弟の映画にも出演と、引く手数多のようです。

 

 

 

 

期待 : ケイト・ブランシェット

予想 : ルビー・ディー

 

一番予想が難しくなった助演女優賞。

前哨戦前半を突っ走ったエイミー・ライアンか、

GGを受賞したケイト・ブランシェットが2度目のオスカーをゲットするか、

それとも功労賞的にルビー・ディーが受賞するか・・・・