第83回/2010年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

 

主演男優賞

 

20代から60代まで、各年齢層が揃った今年の主演男優賞。

既にオスカー受賞済みの2人は高みの見物で、

コリン・ファース本命、対抗馬にアイゼンバーグ、3番手がフランコという構図だが、

今年の3番手は授賞式の司会というところも大きなポイントです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全米批評家協会賞

NBOR

ボストン批評家協会賞

ヒューストン批評家協会賞

トロント批評家協会賞

 

 

 

 

 

全米俳優組合賞

ゴールデングローブ賞

ブロードキャスト批評家協会賞

ニューヨーク批評家協会賞

ロサンゼルス批評家協会賞

シカゴ批評家協会賞

ワシントンDC批評家協会賞

サンフランシスコ批評家協会賞

サウスイースタン批評家協会賞

英国アカデミー賞

ラスベガス批評家協会賞

ダラス−フォートワース協会賞

インディアナ批評家協会賞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Javier Bardem : BIUTIFUL / 『BIUTIFUL ビューティフル』

 

 今年の主要部門で最大のサプライズノミニーとなったのが、この人、ハヴィエル・バルデム。ベテランのロバート・デュバルや、若手演技派筆頭格のライアン・ゴズリングら、前哨戦で名前が挙がった有力候補者たちを退けての候補入りで、ノミネート発表の瞬間は結構驚いた。とは言っても、既に二度のオスカー候補で受賞済みの実力派俳優が、『バベル』 のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の最新作での主演を演じ、カンヌでは主演男優賞を受賞と、実力も実績もあったノミニーでもあるので、候補入りに文句を言う人は多くないだろう。ちなみに、ペネロペ・クルスとの子供が生まれたその日がオスカー候補の発表日だったそうだが、この2人、2006年度以来、毎年どちらかが必ずオスカー候補になり、その間に2人とも受賞済みという最強のカップルです。

 

# オスカーノミネート歴    '00 『夜になる前に』 (主演)

'07 『ノーカントリー』 (助演)

 

 

 

Jeff Bridges : TRUE GRIT / 『トゥルー・グリット』

 

 昨年の授賞式の主役の一人だったジェフ・ブリッジスが二年連続のノミネートだ。対象作は、『ビッグ・リボウスキ』 で名タッグも組んだコーエン兄弟監督の西部劇。ブリッジスが演じるのは、父親を殺した犯人を探す少女を手助けする保安官のコグバーン。本作は1969年の 『勇気ある追跡』 のリメイクだが、オリジナルで同役を演じたジョン・ウェインは主演男優賞を受賞しており、もしもブリッジスが今年受賞したら、オリジナルとリメイクで同じ役を演じた俳優が両方ともアカデミー賞を受賞した初めての例になる。ついでに、2年連続で主演男優賞を受賞した3人目ということにもなるが、さすがに今年はコリン・ファースに譲ることになると思うので、どちらも叶わなさそうだけど。

 

# オスカーノミネート歴    '71 『ラスト・ショー』 (助演)

'74 『サンダーボルト』 (助演)

'84 『スターマン 愛・宇宙はるかに』 (主演)

'00 『ザ・コンテンダー』 (助演)

'09 『クレイジー・ハート』 (主演)

 

 

 

Jesse Eisenberg : THE SOCIAL NETWORK

/ 『ソーシャル・ネットワーク』

 

 冷静に考えると、ジェシー・アイゼンバーグのような個性派の若手俳優がオスカー主演男優賞候補になること自体、軽い驚きだが、『ソーシャル・ネットワーク』 を観てしまうと、全く不思議なことにも驚きにも思えなくなる。それくらい、アイゼンバーグの個性と役柄が一致したピッタリの配役だったということもあるし、アイゼンバーグの実力があってこそ成り立ったキャラクターでもある。一応、前哨戦的にはコリン・ファースの対抗馬で、個人的には受賞しても全然おかしくない思うのだが、20代で受賞することは滅多にないという、若手に厳しい主演男優賞であること、そして演じる役柄が決して人に好かれるタイプではないということを考慮すると、受賞にはかなり不利というのが現状。彼の個性を考えると、この先ノミネートされることはそうそうなさそうなので、今年がラストチャンスかもしれないのだが・・・

 

 

 

Colin Firth :  THE KING'S SPEECH / 『英国王のスピーチ』

 

 さぁ、とうとうコリン・ファースがオスカーの本命となる日がやってまいりました。去年の 『シングルマン』 での候補入りも相当嬉しかったが(実際、素晴らしい存在感と演技だった)、まさか2年連続候補入り、しかも本命になるとは、その時は考えもしなかった。演じるのは、国民への演説を行うために吃音症を克服しようとした英国の王、ジョージY世(現エリザベス女王の父親)。「ハンディキャップを負った」「実在の人物」 という、オスカー受賞にはもってこいの役柄だし、観る者に希望を与えるという作品そのものも絶賛の嵐で、今年の作品賞の本命という後押し、そして2年連続候補入りという勢いから、是非ともこのまま受賞までまっしぐらで行ってもらいたいと思います。今年のオスカー、万歳!

 

# オスカーノミネート歴    '09 『シングルマン』 (主演)

 

 

 

James Franco : 127 HOURS / 『127時間』

 

 ジェームス・ディーンを描いたテレビシリーズでディーンを演じ、その翌年に 『スパイダーマン』 のハリー役でブレイクしてから今年で10年目のジェームズ・フランコ。その後、個人的には 『スパイダーマン』 シリーズぐらいでしか姿を観ることがなく、たまたま観た主演作の 『フライボーイズ』 の演技が全然イマイチだったので、この人は生き残れるのかなぁと心配していたのだが、2008年に大きな転機を迎える(←勝手な個人的判断)。ヤク中でラリってる売人を演じた 『スモーキング・ハイ』 でのコメディ演技ではゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、それとは対照的なもう1本の出演作、『ミルク』 でショーン・ペン演じる主人公のハーヴェイ・ミルクの恋人役を繊細に演じて絶賛され、飛躍の年となったのだ。32歳にして初のオスカーノミネートとなった本作では、ロッククライミングの途中で岩に腕を挟まれ、誰とも連絡が取れず、全く身動きが取れないまま一人で5日間を過ごしたという実在の登山家アーロン・ラルストン。その物語の性質上、フランコは出ずっぱりの一人演技のようなので、コリン・ファースがいなかったら今年の主演男優賞の本命だったかもしれない。しかしそんなことはどうでもよくて、問題なのはフランコが今年の授賞式の司会者ということである。アン・ハサウェイとジェームズ・フランコを司会に抜擢って、アカデミーも思い切ったことをしたものだが、つまりは司会者が主演男優賞候補なのだ。本人も今年受賞するとは思ってないかもしれないが、司会のプレッシャーと候補者のプレッシャーで、当日はさぞかし大変なのでは・・・

 

 

 

 

 

期待 : コリン・ファース

予想 : コリン・ファース

 

もう、ファース以外ありえない展開です。

今年の主要部門の中で一番の鉄壁じゃないでしょうか。

アイゼンバーグとフランコは、また次の機会ということで。