第85回/2012年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

 

助演男優賞

 

ノミニー5人全員がオスカー受賞済みという、実力派揃いとなった助演男優賞。

オスカー的にはなんとも新鮮味の欠ける部門になってしまったが、

その分、誰が受賞してもおかしくない(=予想のつかない)部門でもある。

3大前哨戦の結果はバラバラだし、デニーロとアーキンが作品の勢いに乗って受賞してもおかしくないし。

 

 

 

 

 

デトロイト批評家協会賞

 

 

 

ブロードキャスト批評家協会賞

ワシントンDC批評家協会賞

シカゴ批評家協会賞

サウスイースタン批評家協会賞

全米俳優組合賞

サンフランシスコ批評家協会賞

ラスベガス批評家協会賞

ダラス−フォートワース協会賞

ゴールデングローブ賞

 

 

 

 

 

 

Alan Arkin : ARGO / 『アルゴ』

 

 作品賞本命の 『アルゴ』 からただ一人の演技部門ノミネートとなったアラン・アーキン。アーキンのみならず、他のキャストみんながいい演技をしていたし、個人的にはアーキンよりもブライアン・クランストンがノミネートされて然るべきだと思うのだが、まぁそれはこの際置いておこう。とにかくこれで、ゴーン・ベイビー・ゴーン』 のエイミー・ライアン、『ザ・タウン』 のジェレミー・レナーに続き、ベン・アフレック監督作品から3作連続で演技部門ノミニーが誕生したことになるのだから。今年の助演男優賞は混戦模様なので、作品賞本命の勢いに乗ってアーキンが受賞しても不思議ではないし、アーキンが受賞して喜ぶアフレックの顔も見てみたい。まぁ、そこまでアーキンの演技が良かったとは思わないが・・・

 

# オスカーノミネート歴    '66 『アメリカ上陸作戦』 (主演)

'68 『愛すれど心さびしく』 (主演)

'06 『リトル・ミス・サンシャイン』 (助演)

 

 

 

Robert De Niro : SILVER LININGS PLAYBOOK

/ 『世界にひとつのプレイブック』

 

 誰もが認めるハリウッドの名優であるものの、近年は出演作の数ばかり増えて、決して良作への出演は多くなかった名優ロバート・デニーロが、久々のオスカーノミネート。実に21年ぶりだ。演じるのはブラッドリー・クーパー演じる主人公を不器用ながらも愛する父親役で、ベテランならではの独特の存在感と演技が絶賛されている。3度目のオスカーを受賞しても誰も文句は言わないであろう実力派のベテラン俳優であることを考えれば、受賞してもおかしくない。主演男優賞のデイ=ルイスと共に、3度目のオスカー受賞者誕生なるか?

 

# オスカーノミネート歴    '74 『ゴッドファーザー PART II』 (助演)

'76 『タクシードライバー』 (主演)

'78 『ディア・ハンター』 (主演)

'80 『レイジング・ブル』 (主演)

'90 『レナードの朝』 (主演)

'91 『ケープ・フィアー』 (主演)

 

 

 

Philip Seymour Hoffman : THE MASTER / 『ザ・マスター』

 

 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 以外の全てのポール・トーマス・アンダーソン監督作品に出演し、まさにPTA作品には 「欠かせない存在」 と言えるフィリップ・シーモア・ホフマンが、とうとう古巣のPTA作品でアカデミー賞にノミネートだ。演じるのは、ホアキン・フェニックス演じる主人公がのめり込んでいく新興宗教の教祖、"ザ・マスター"。助演部門でのノミネートとは言え、役柄がタイトルになっているくらいなので出番は主役級の多さであり、そういう点では受賞に最も近いと言える。ただし、ベテラン揃いの今年の助演男優賞候補の中では最年少ということで、例年になく功労賞的な匂いがプンプンする中で受賞する可能性は低め? ちなみに本作で共演しているエイミー・アダムスとは、2005年に初めてノミネートされてから8年間で4度のオスカーノミネートという共通点が。しかも、そのうち2回は共演作で揃ってノミネートという不思議な所縁。

 

# オスカーノミネート歴    '05 『カポーティ』 (主演)

'07 『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 (助演)

'08 『ダウト あるカトリック学校で』 (助演)

 

 

 

Tommy Lee Jones : LINCOLN / 『リンカーン』

 

 今年の助演男優賞ノミニーの中ではアラン・アーキン(78歳)、ロバート・デニーロ(69歳)に次いで3番目のおじいちゃんとなるトミー・リー・ジョーンズ(66歳)。ジョーンズくらいの名優でも3番目とは、相変わらずベテラン好きの助演男優賞だ。今回ジョーンズが演じるのは、奴隷制度廃止を訴えるリンカーン大統領を支えた下院議員、タデウス・スティーブンス。今年のオスカーでは最多ノミネートとなった作品での候補、前哨戦の好成績、全米俳優組合賞受賞、2度目のオスカーを受賞しても文句を言う人は誰もいないベテランであることなど、データとしては最もオスカーに近いような気がするが、他の4人のノミニーと違って、演じる役柄にアクがないのが物足りない気もする。そのアクのなさが、真っ直ぐなテーマを持った映画の強みになっているとも言えるので、吉と出るかもしれないが。

 

# オスカーノミネート歴    '91 『JFK』 (助演)

'93 『逃亡者』 (助演)

'07 『告発のとき』 (主演)

 

 

 

Christoph Waltz : DJANGO UNCHAINED

/ 『ジャンゴ 繋がれざる者』

 

 その名を一躍世界に知らしめた 『イングロリアス・バスターズ』 から3年、再びタランティーノから声がかかって出演してみたら、またもやオスカーノミネートのクリストフ・ヴァルツ。全米俳優組合賞ではノミネートされていないのにアカデミー賞でノミネートされたり、本作で共演しているサミュエル・L・ジャクソンやレオナルド・ディカプリオを差し置いてのノミネートということで、アカデミー賞はヴァルツのことが大好きなのかもしれない。もちろん受賞してもおかしくないが、ハリウッドでのキャリアはまだまだ浅いヴァルツが前回の受賞からたった3年の間隔で2度目の受賞というのは、ちょっとやり過ぎな気もする。

 

# オスカーノミネート歴    '09 『イングロリアス・バスターズ』 (助演)

 

 

 

 

期待 : フィリップ・シーモア・ホフマン、ロバート・デニーロ

予想 : フィリップ・シーモア・ホフマン

 

個性派でも実力派でもあるホフマンは2度目のオスカーに値する俳優だし、

デニーロが受賞して、同じ年に3度目のオスカー受賞者が2人誕生するのも面白い。

ここは主役級に見せ場が多いホフマンの受賞を予想。