第85回/2012年度アカデミー賞ノミネーション
■ 作品賞 ■ 監督賞 ■ 主演男優賞 ■ 主演女優賞 ■ 助演男優賞 ■ 助演女優賞
助演女優賞
今年は主演・助演男優賞が渋めのベテランの手に渡りそうなので、
女優部門は華のある受賞者になってほしいところだが、
こうやって5人並べて見てみると、受賞した時に華があるのはダントツでアン・ハサウェイ。
下馬評2番手はサリー・フィールドだが、それじゃぁ授賞式に華がなさ過ぎるよねぇ。
全米批評家協会賞 ロサンゼルス批評家協会賞 シカゴ批評家協会賞
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ニューヨーク批評家協会賞 ボストン批評家協会賞 ダラス−フォートワース協会賞
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全米俳優組合賞 ゴールデングローブ賞 ブロードキャスト批評家協会賞 ワシントンDC批評家協会賞 デトロイト批評家協会賞 ラスベガス批評家協会賞 サウスイースタン批評家協会賞 |
サンフランシスコ批評家協会賞
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Amy Adams : THE MASTER / 『ザ・マスター』
まだ無名だった頃に初めてオスカーにノミネートされたのも含めて、この8年間で4回目のノミネートとなったエイミー・アダムス。演技力に定評があるだけに、いい加減受賞してもいい頃なのだが、派手な上手さではないからか、なかなか本命にならないのがもどかしい。今年もハサウェイ、フィールドに次ぐ3番手なので、受賞は次回以降に持ち越し。ここまで来たら、無冠の常連としてノミネート回数を増やし、ケイト・ウィンスレットみたいに6回目あたりで受賞するパターンだろうか。
# オスカーノミネート歴 '05 『JUNEBUG』 (助演) '08 『ダウト あるカトリック学校で』 (助演) '10 『ザ・ファイター』 (助演)
Sally Field : LINCOLN / 『リンカーン』
「2回のノミネートで2回とも受賞」 という、これまでの打率は100%のサリー・フィールドが28年ぶりにノミネート。演じるのはリンカーンの妻、メアリー。監督のスピルバーグは当初、フィールドがメアリーより20歳年上のため、メアリー役には適さないと思っていたと言う。確かに、ただでさオバちゃん顔のフィールドとデイ=ルイスが並ぶと親子に見えてしまうが、なんせオスカー主演女優賞を2度受賞している名女優だ。その見た目のハンデをはねのける程の演技なのだろう。作品の高評価もあって下馬評では2番目だが、たとえ名女優だとしても、前哨戦後半を制覇したアン・ハサウェイを退けるのは難しそう。ちなみに、もし今年受賞したら、主演2回+助演1回受賞というメリル・ストリープやイングリッド・バーグマンに並ぶ演技部門歴代2番目の記録。
# オスカーノミネート歴 '79 『ノーマ・レイ』 (主演) '84 『プレイス・イン・ザ・ハート』 (主演)
Anne Hathaway : LES MISÉRABLES / 『レ・ミゼラブル』
4年前に初めてオスカーにノミネートされた時、ヒュー・ジャックマンと共に授賞式で華麗な歌声をサプライズで聞かせてくれたアン・ハサウェイだが、その初ノミネート以降、グングン自信と実力をつけ、スターとしての美しさとオーラも放つようになり、キャリアは急上昇。そして今年は満を辞してオスカーの本命に躍り出た。しかも、ミュージカル映画で素晴らしい歌声を聞かせてノミネートと、まるで4年前の授賞式が今年の布石であったかのようなシナリオだ。2時間半の上映時間の中でハサウェイの出演シーンは30分にも満たないのだが、そうとは思えない印象的な存在感で、特に "Dreamed of a Dream" をクローズアップで歌うシーンは圧巻。全米公開前のアーリーレビューでは、そのシーンをして 「今年の助演女優賞はハサウェイで決まり」 と多数の人に言わしめたというが、3大前哨戦を制覇した今、ハサウェイの受賞はほぼ間違いない! 『シカゴ』 のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、『ドリームガールズ』 のジェニファー・ハドソンと、近年のミュージカル映画では助演女優賞の受賞が多いのも有利なデータ。
# オスカーノミネート歴 '08 『レイチェルの結婚』 (主演)
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Helen Hunt : THE SESSIONS /
昨年のサンダンス映画祭で本作が公開された時から、ヘレン・ハントのオスカー候補は確実と言われていたらしいが、その前評判通りに15年ぶりのオスカーノミネート。演じるのは、幼少時代に患ったポリオのために首から下を動かすことができず、人工呼吸器を着けて生きている36歳の主人公(ジョン・ホークス)が童貞を捨てるために雇ったセックス・セラピスト。『恋愛小説家』 でオスカーを受賞した時は 「テレビ出身の女優がまぐれでオスカー女優になった」 という印象が拭えなかったが、歳を重ねるに連れて味わいのある女優になってきていたので、久々のノミネートも納得。今回は49歳にして初のフルヌードを披露しており、この役への思い入れが感じられる。受賞争い的には4番手5番手。
# オスカーノミネート歴 '97 『恋愛小説家』 (主演)
Jacki Weaver : SILVER LININGS PLAYBOOK / 『世界にひとつのプレイブック』
今年の演技部門で最大のサプライズとなったのが、オーストラリアのベテラン女優、ジャッキ・ウィーバーのノミネート。2年前にノミネートされて以降、ハリウッドでの出演作が増えてきたのは確かだが、まさかこの短期間で 再びノミネートされるとは。もしかしてアカデミー会員の贔屓女優になりつつあるのだろうか。今回は、前回ノミネートされた 『アニマル・キングダム』 での犯罪ファミリーを仕切る強烈なグランマ役からはガラッと変わって、主人公(ブラッドリー・クーパー)の風変わりな両親をロバート・デニーロと共に、軽妙ながらも味のある演技を見せてくれている。まぁ受賞まで行くことはないだろうが、オスカーデータ的に面白いのは、前哨戦で全く名前が出てこなかったウィーバーのノミネートによって、『世界にひとつのプレイブック』 が全ての演技部門にノミニーを出した久々の作品となったこと。これは1981年の 『レッズ』 以来で、85回のアカデミー賞の歴史の中では15本目の快挙。これまでの14本のうち、一人も受賞しなかったのは 『サンセット大通り』(1950年)と『襤褸と宝石』(1936年)の2本のみなので、『世界にひとつのプレイブック』 が演技部門受賞者を出す確率はかなり高いということになるか?
# オスカーノミネート歴 '10 『アニマル・キングダム』 (助演)
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期待 : アン・ハサウェイ 予想 : アン・ハサウェイ |
ダニエル・デイ=ルイスほど鉄壁の予想ではないが、
前哨戦後半の好成績や、ここ数年の絶好調なキャリアから、
アン・ハサウェイが受賞する確率はかなり高い。