第86回/2013年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

 

助演女優賞

 

誰もが知っているハリウッドの大スターに、イギリス出身の個性派女優、

今年の演技部門ノミニーの中で最年長の名脇役と、バラエティに富んでいる今年の助演女優賞だが、

火花を散らすのはハリウッドでは無名の新星と、去年のオスカー・ウィナー。

演技部門の中で一番(というか唯一)結果が読めない部門なので発表が楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴールデングローブ賞

全米批評家協会賞

ニューヨーク批評家協会賞

 

 

 

 

 

 

全米俳優組合賞

ブロードキャスト批評家協会賞

ロサンゼルス批評家協会賞

ワシントンDC批評家協会賞

シカゴ批評家協会賞

サンフランシスコ批評家協会賞

ラスベガス批評家協会賞

ダラス−フォートワース協会賞

サウスイースタン批評家協会賞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボストン批評家協会賞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sally Hawkins : BLUE JASMINE / 『ブルージャスミン』

 

 マイク・リー監督の 『ハッピー・ゴー・ラッキー』 でオスカーノミネートが期待されていたものの落選したサリー・ホーキンスが、それから5年後、今度はウディ・アレン監督作品で晴れてノミネート。受賞までもあり得ると噂されていたオプラ・ウィンフリー(『大統領の執事の涙』)を差し置いてのノミネートなので大したものである。これも、ウディの女優を見る目の成せる業だろうか。残念ながら 『ブルージャスミン』 は未見だが、『17歳の肖像』 『わたしを離さないで』 『ジェーン・エア』 など、どれも脇役ながらスクリーンを引き締める存在感があり、ノミネートされても不思議ではない女優だ。今回は滑り込みノミネートなので受賞する確率は低いが、今後もジェイク・ジレンホール主演のスリラーや、ハリウッド版 『ゴジラ』 などの話題作が控えており、このノミネート以降は更に注目を集めそう。

 

 

 

Jennifer Lawrence : AMERICAN HUSTLE / 『アメリカン・ハッスル』

 

 ブラッドリー・クーパーと同じく、2年連続でオスカー候補となったジェニファー・ローレンス。しかもローレンスの場合、去年受賞したばかりにもかかわらず今年もノミネートされたので、この勢いは本物だ。実際、本作でのローレンスは出演シーンの全てでシーン・スティーラーとなっており、その上手さには舌を巻くばかり。更に、去年に続いて今年も 『ハンガー・ゲーム』 シリーズを大ヒットさせ、スター女優としても実力派女優としても今のハリウッドではピカイチ。各種前哨戦の大半や、全米俳優組合賞とブロードキャスト批評家協会賞をルピタ・ニョンゴに持っていかれ、下馬評では二番手となっているが、その実力と飾らない人柄は業界内外で人気が高く、それを考えると2年連続オスカー受賞があってもおかしくない。もしも受賞すれば、1993年と1994年のトム・ハンクス以来19年ぶり、オスカー史上5人目の2年連続受賞者の誕生。

 

# オスカーノミネート歴  '10 『ウィンターズ・ボーン』 (主演)

'12 『世界にひとつのプレイブック』 (主演)

 

 

 

Lupita Nyong'o : 12 YEARS A SALVE / 『それでも夜は明ける』

 

 長編映画初出演となる30歳の新星ルピタ・ニョンゴが、堂々のオスカー初ノミネートにして今年の助演女優賞の本命に躍り出た。ニョンゴが演じるのは、マイケル・ファスベンダー演じる冷酷な農園主に虐げられながら耐え続ける奴隷で、キウェイテル・イジョフォーやファスベンダーにも引けを取らない熱演を見せているという話。メキシコ生まれのケニア育ちで、アメリカで教育を受けたのちに舞台女優として活動を始め、映画界にはスタッフとして初参加、ドキュメンタリー映画の製作・監督を務めたこともあるという異色のキャリアの持ち主だ。この間までハリウッドでは無名だったとは言え、映画デビュー作でいきなりオスカー受賞というのはアカデミー賞が割に好きなパターンだし(バーカッド・アブディのコメント参照)、助演女優賞はアフリカン・アメリカン系が受賞しやすい部門でもあるし(過去7年で3人がアフリカン・アメリカン系)、出演作が作品賞本命というのも有利。イジョフォーとファスベンダーは大本命のマコノヒーとレトに譲ることになるので、ここは獲っておきたいところ。

 

 

 

 

Julia Roberts : AUGUST : Osage County / 『8月の家族たち』

 

 ハリウッドのスター中のスター、ジュリア・ロバーツが助演部門にノミネートされるって、何だか奇妙な感じがするが、本作でジュリアが演じるのはメリル・ストリープ演じる問題の多い母親の元に帰省した姉妹の一人で、実質的にはメリルとのダブル主演。どうやらメリルとの票割れを避けるために助演部門にカテゴライズされたっぽい。従って、助演女優賞の中では一番出番が多そうということになり、ひょっとすると他の4人より有利なのかもしれないが、本命ルピタ・ニョンゴのフレッシュさや、二番手ジェニファー・ローレンスの華やかさの前では 「古臭いスター」 感が否めず、前哨戦の結果を見ても今更の受賞はまずない。とは言え、13年ぶりのノミネートは同業者からの再評価の証でもあるわけで、ネームバリューを保ち続けるという意味でも今回のオスカーノミネートは重要。ひとまず授賞式ではメリルと一緒に会場に華を添えてくれるはず。

 

# オスカーノミネート歴  '89 『マグノリアの花たち』 (助演)

'90 『プリティ・ウーマン』 (主演)

'00 『エリン・ブロコビッチ』 (主演)

 

 

 

June Squibb : NEBRASKA / 『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』

 

 今年の演技部門ノミニーの中で最年長84歳のジューン・スキッブ。元々ブロードウェイ出身ということもあり、映画デビューは1990年(61歳)とかなり遅めだが、デビュー作の 『アリス』(ウディ・アレン監督)以降、『セント・オブ・ウーマン』、『エイジ・オブ・イノセンス』、『エデンより彼方に』 などの名作で脇役を務めてきたベテランでもある。『アバウト・シュミット』 でジャック・ニコルソン演じる主人公の奥さんを演じて以降、アクレサンダー・ペイン監督とは2度目のタッグとなる本作では、またまた主人公の奥さんを演じており、シーン・スティーラーとして絶妙の可笑しみを誘っていると専らの評判。ジェニファー・ローレンスとルピタ・ニョンゴの若手2強に割って入るとしたら、ベテランの貫録でスキッブとなるが、作品自体が地味でインパクトには欠けるのが難点。もしも受賞したら、2年前に受賞したクリストファー・プラマー(受賞当時82歳)を超える演技部門最高齢の受賞者となる。

 

 

 

 

 

期待 : ジェニファー・ローレンス

予想 : ジェニファー・ローレンス

 

三大前哨戦はルピタ・ニョンゴが2勝、ローレンスが1勝だが、

英国アカデミー賞がローレンスの手に渡り、ますます予想が困難に。

ローレンスの2年連続受賞は、自分だけでなくアカデミー会員も見てみたいのではと思うのだが・・・