第87回/2014年度アカデミー賞ノミネーション
■ 作品賞 ■ 監督賞 ■ 主演男優賞 ■ 主演女優賞 ■ 助演男優賞 ■ 助演女優賞
助演男優賞
40代が3人、60代と80代が1人ずつと、
相変わらずベテラン感が強い助演男優賞。
もしもノートンとラファロの一騎打ちになったら新旧ハルク対決で面白かったのだが、
J・K・シモンズが強過ぎて他の4人の立ち入る隙がありません。
|
|
NBOR サンフランシスコ批評家協会賞
|
|
ゴールデングローブ賞 全米俳優組合賞 ブロードキャスト批評家協会賞 ニューヨーク批評家協会賞 ロサンゼルス批評家協会賞 ワシントンDC批評家協会賞 シカゴ批評家協会賞 ボストン批評家協会賞 デトロイト批評家協会賞 ダラス−フォートワース協会賞 ラスベガス批評家協会賞 サウスイースタン批評家協会賞 |
|
|
Robert Duvall : THE JUDGE / 『ジャッジ 裁かれる判事』
今回のノミネートで、男優としてはオスカー史上最年長のノミニーとなった御年84歳のロバート・ドュヴォル(女優も含めるとグロリア・スチュアート、エマニュエル・リヴァ、ジューン・スキッブに次いで4番目)。近年は腋役として渋い存在感を放っており、ロバート・ダウニー・ジュニア扮する主人公と上手くいっていない頑固な父親を演じた本作でも、年齢を重ねただけある味わいと貫禄のある演技で作品のクォリティを上げていた。ドュヴォルの演技がなければ、ここまで父子の物語として響くものにならなかっただろう。とは言え、この部門は J・K・シモンズで決まりなので、これ以上コメントしてもしょうがない。もしも受賞したら、オスカー演技部門史上最年長の受賞者。
Ethan Hawke : BOYHOOD / 『6才のボクが、大人になるまで。』
『ビフォア〜』 シリーズや 『ウェイキング・ライフ』 などで幾度となくタッグを組んできた、盟友とも呼べる存在のリチャード・リンクレイター監督作でノミネートされたイーサン・ホーク。本人も嬉しいのではないだろうか。前哨戦ではノミネート止まりに終わっており、同じく 『6才のボク〜』 からノミネートされて受賞確実と目されているパトリシア・アークェットに比べると、ホークの扱いは大分低いと言わざるを得ず、ホークの演技なしではエラー・コルトレーン演じる主人公の成長を感じられなかったと思っている自分としては、その扱いに納得いかないのだが、それもJ・K・シモンズが強過ぎるからなので仕方あるまい。ちなみに、ホークは今年の助演男優賞の5人のノミニーの中で最年少となるが(現在44歳、ノートンが45歳、ラファロが47歳)、本作の出演は12年前からになるので、ノミネートの対象となる演技という意味ではズバ抜けて最年少?
Edward Norton : BIRDMAN or (the Unexpected Virtue of Ignorance) / 『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『真実の行方』 で鮮烈な映画デビューを飾り、いきなりオスカーにノミネートされて以降、演技派として活躍し続けているエドワード・ノートンだが、気が付けば今回のノミネートが15年ぶりとなり、その実力を考えると過小評価もいいところである。本作でノートンが演じるのは、マイケル・キートン演じる落ち目の俳優の立場を脅かす、身勝手な実力派舞台俳優。マイケル・キートンと共に、コミカルな匙加減が絶妙な演技が絶賛され、これはとうとうオスカー受賞なるか? と前哨戦序盤では思っていたのだが、後半になってJ・K・シモンズが独走状態となり、ノートンの受賞はなさそうになってしまった。今回のノミネートを機に、再びアカデミー会員に認識されて近々受賞というシナリオだと嬉しいのだが・・・ ちなみにノートンは 『グランド・ブダペスト・ホテル』 にも出演しており、作品賞候補の8作中、2作品に出演している唯一の演技部門ノミニー。
|
|
|
Mark Ruffalo : FOXCATCHER / 『フォックスキャッチャー』
スティーブ・カレルがイメージを覆る怪演を見せ、チャニング・テイタムが笑顔を封印してコンプレックスを抱えたアスリートを見事に演じた本作だが、カレルと共にノミネートされたのはテイタムではなく、テイタム演じるマーク・シュルツの兄デイヴを演じたマーク・ラファロの方だった。個人的にはテイタムもノミネートに値すると思っているのだが、ありふれた良心を持った普通の人間だからこそ、心の闇を抱えたデュポンとマークの内面に影を及ぼすことになる重要なキャラクターを(いい意味で)普通に演じたラファロの功績も見逃せないということだろうか。いい俳優なのだが、いかんせんナチュラルな演技が魅力なので、オスカー的にはノミネート止まりで終わってしまいそうな一人。
J. K. Simmons : WHIPLASH / 『セッション』
というわけで、大本命のJ・K・シモンズである。サム・ライミ版 『スパイダーマン』 シリーズの新聞社編集長役や、ジェイソン・ライトマン監督作品の常連として知られている還暦の名脇役が該当作で演じるのは、偉大なドラマーになることを夢見ている若き主人公に対し、理不尽な特訓を続ける執拗なまでに指揮者。その鬼気迫る迫力は予告編だけでも十分伝わるほどで、インパクトかなり大きい。近年、助演男優賞は個性の強いキャラクターが受賞しやすい傾向にあるし(ハヴィエル・バルデム、ヒース・レジャー、クリストフ・ヴォルツ、クリスチャン・ベイル、ジャレッド・レト)、そんな過去のデータを引っ張り出すのもナンセンスなくらい前哨戦をほぼ独り占めしているので、このままオスカー像まで手にすることになるだろう。対抗馬を強いて挙げるなら、作品の勢いもあるエドワード・ノートンだが、まぁ挙げても無意味。
|
|
期待 : エドワード・ノートン 予想 : J・K・シモンズ |
個人的にエドワード・ノートンには、いつかオスカー像を手にしてほしいところだが、
少なくとも今年は実現しなさそう。
それにしても最近の助演男優賞は前哨戦の時点でウィナーがほぼ決まっている事が多いような・・・