第88回/2015年度アカデミー賞ノミネーション
■ 作品賞 ■ 監督賞 ■ 主演男優賞 ■ 主演女優賞 ■ 助演男優賞 ■ 助演女優賞
作品賞
前哨戦で強さを見せた 『キャロル』 がノミネートされなかったかと思えば、
GGは 『レヴェナント』、ブロードキャストは 『スポットライト』、そしてPGAは 『マネー・ショート』 という、
近年稀に見る混戦の様相を呈してきた作品賞。
もちろん 『マッドマックス』 も忘れちゃいけません。
全米製作者組合賞
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シカゴ批評家協会賞 オンライン批評家協会賞 |
ゴールデングローブ賞 NBOR
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ゴールデングローブ賞 英国アカデミー賞
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全米俳優組合賞 ブロードキャスト批評家協会賞 ロサンゼルス批評家協会賞 ワシントンDC批評家協会賞 ボストン批評家協会賞 サンフランシスコ批評家協会賞 ラスベガス批評家協会賞 デトロイト批評家協会賞 ダラス−フォートワース批評家協会賞 サウスイースタン批評家協会賞 全米批評家協会賞 |
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THE BIG SHORT / 『マネー・ショート 華麗なる大逆転』 作品、監督、助演男優、脚色、編集賞、計5部門ノミネート リーマン・ショックの裏側で巨額の利益を上げた男たちを描いたノンフィクションを、クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、そしてブラッド・ピットというオールキャストで描いた本作。前哨戦では大きな実績を残していなかったが、まさかのPGA受賞で、オスカー争いに割り込んできた。2007年以降、PGAのオスカー直結率は100%なので(タイ受賞となった一昨年は除く)、作品賞受賞も十分あり得る展開。そうなれば邦題通り、まさに 「華麗なる大逆転」 だ。ノミネートは5部門と少ないが、全て主要部門でのノミネートというのも有利かも(編集賞は作品賞直結率が高いので主要部門にカウント)。他には脚色賞も可能性が高そう。
BRIDGE FO SPIES / 『ブリッジ・オブ・スパイ』 作品、助演男優、脚本、作曲、美術、音響効果賞、計6部門ノミネート これで3作連続で作品賞候補となったスピルバーグ監督作。個人的には、作品賞や監督賞受賞が大きく期待されていた前作 『リンカーン』 よりも本作の方が完成度が遥かに高く、エンターテインメントとドラマの融合が完璧だったと思うのだが、残念ながら今回は監督賞にノミネートされず、自然と作品賞受賞も実質ナシとういことに。マーク・ライランスの助演男優賞、そしてコーエン兄弟の脚本賞は受賞もありそう。どちらも手強いライバルがいるので(助演男優賞はスタローン、脚本賞は 『スポットライト』)安心はできないが。
BROOKLYN / 『ブルックリン』 作品、主演女優、脚色賞、計3部門ノミネート 今年の作品賞候補の中で最も地味な印象なのが、1950年代のブルックリンにアイルランドから移住してきた一人の女性を描いた本作。主人公を演じるシアーシャ・ローナンが絶賛されて前哨戦で成績を残したことに引っ張られた作品賞候補な気がしないでもない。というわけで主演女優賞は受賞の可能性がないわけではないが、残念ながらブリー・ラーソンが3大前哨戦を制覇してしまったので、ほぼ勝ち目はなくなってしまった。脚色賞も強豪相手が揃っているので、順当に行くと一つもオスカー像をもらわずに終わってしまうことになりそう。
MAD MAX: Fury Road / 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 作品、監督、編集、撮影、美術、衣装デザイン、メイクアップ・スタイリング、音響編集、音響効果、視覚効果賞、計10部門ノミネート 全米公開時には批評家もファンも納得させるだけの出来と絶賛されていたものの、まさかオスカー候補になるまでのものとは! 確かに、砂漠をひたすら突き進むというワンシチュエーションにもかかわらず、加速度的に面白くなっていく勢いは特筆に値する。ノミネート数では 『レヴェナント』 に次いで2位だが、作品賞的には3番手4番手の感が否めない。『レヴェナント』 と同じく脚本賞にノミネートされていないのもネックだし、アカデミー老会員たちが投票するかどうかも微妙なところ。期待されるのは監督賞と技術部門か。
THE MARTIAN / 『オデッセイ』 作品、主演男優、脚色、美術、音響編集、音響効果、視覚効果賞、計7部門ノミネート アクシデントで火星に一人取り残された男のサバイバルを描いた近未来SFというプロットだけ聞くと、オスカー候補とはあまり縁がなさそうに思えるが、そのプロットだけでは想像できないような面白さで見事作品賞候補に名乗りを挙げた。・・・・までは良かったが、まさかのリドリー・スコット落選という、今年のオスカーで最大のサプライズ。その同情票が作品賞に流れれば、ここで受賞してもおかしくない?(ちょっと厳しいか・・・) 個人的にはマット・デイモンはオスカーに値する演技を見せてくれたと思うが、今年はディカプリオの年なので涙を飲むしかなかろう。特殊技術部門の受賞は十分あり得るが、こちらでもライバルが 『レヴェナント』 と 『マッドマックス』 という最多ノミネート組なので、ちょっと厳しい戦いになるか・・・
REVENANT / 『レヴェナント 蘇えりし者』 作品、監督、主演男優、助演男優、編集、撮影、美術、衣装デザイン、メイクアップ・スタイリング、 音響編集、音響効果、視覚効果賞、計12部門ノミネート 前哨戦前半での作品賞受賞はほとんどなかったにもかかわらず、ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞したかと思えば、オスカーでは最多ノミネートとなり、いきなり本命に躍り出た本作。公開5週目にして全米興行収入1位と、国内での話題性も抜群だ。もし作品賞を受賞すれば、2年連続で同じ監督の作品にオスカーが渡るという前代未聞の記録が達成されるが、ほとんどセリフのないサバイバル・アドヴェンチャーというのもあってか、脚本賞に名前がないのがイタイ。まぁでも、ディカプリオが悲願の主演男優賞を受賞するためのお膳立てと思えば、作品賞を受賞しなくてもOKなのでは。
ROOM / 『ルーム』 作品、監督、主演女優、脚色賞、計4部門ノミネート 近年、トロント国際映画祭で観客賞を受賞した作品はかなりの高確率でアカデミー賞作品賞にノミネートされているが(過去7年で6作品)、本作もその例に漏れず、小品ながらも見事ノミネート。しかも、前哨戦では完全ノーマークだった監督賞にまでサプライズでノミネートされ、どんだけトロント映画祭すごいんだって感じである。作品賞と監督賞の受賞はまずないが、主演女優賞は固そう。
SPOTLIGHT / 『スポットライト 世紀のスクープ』 作品、監督、助演男優、助演女優、脚本、編集賞、計6部門ノミネート カトリック教会が組織ぐるみで隠蔽していた少年たちへの性的虐待をボストンの新聞記者たちが暴いていくという実話を基にした社会派ドラマ。ノミネート数こそ 『レヴェナント』 『マッドマックス』 『オデッセイ』 に次ぐ4番目だが、『マネー・ショート』 と同じく全て主要部門のノミネート、そして前哨戦では圧倒的な強さを見せていることから、作品賞本命と言っていいであろう。ただし、オスカーを受賞するには若干地味な気がするのと、GGとPGAを逃がしたために 「ほぼ当確」 とは言えないのとで、雲行きが微妙に怪しい。もしかすると脚本賞と編集賞のみの受賞で終わってしまう可能性があるが、果たして…
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期待 : 『オデッセイ』 予想 : 『スポットライト 世紀のスクープ』 |
妥当な予想を立てるとするなら 『スポットライト』 か 『レヴェナント』 で、
3番手4番手に 『マッドマックス』 『マネー・ショート』 となるのだが、
正直全く読めませーん。とりあえず 『オデッセイ』 は傑作だったよっていう話です。