第90回/2017年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

 

主演女優賞

 

女性の権利や活躍がテーマとなった今年のオスカーに相応しく、

ノミネートされた5人中4人が作品賞候補作での主演という、

主演女優賞としてはかなり珍しい事態。

年齢層も23歳から68歳と幅広いが、本命が還暦のベテランっていうのもいいじゃないですか。

 

ロサンゼルス批評家協会賞

ボストン批評家協会賞

アトランタ批評家協会賞

ダラス−フォートワース協会賞

全米批評家協会賞

 

 

全米俳優組合賞

ゴールデングローブ賞

ブロードキャスト評家協会賞

英国アカデミー賞

ワシントンDC批評家協会賞

デトロイト批評家協会賞

ラスヴェガス批評家協会賞

サンフランシスコ批評家協会賞

フロリダ批評家協会賞

 

 

 

 

 

ゴールデングローブ賞

ニューヨーク批評家協会賞

シカゴ批評家協会賞

 

 

 

 

NBOR

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sally Hawkins : THE SHAPE OF WATER

/ 『シェイプ・オブ・ウォーター』

 

 昨年日本で公開された 『僕と世界の方程式』 で主人公の母親役を好演し、先日観た 『パディントン』 でもイイ味を出していて、やっぱりいい女優だなぁと思っていた矢先にオスカーノミネートとなったサリー・ホーキンス。しかも本命の一人というのが嬉しい。ギレルモ・デル・トロがホーキンスを念頭に置いて当て書きしたというヒロインは口を利くことができない設定で、これぞ女優としての腕の見せ所的なキャラクターだが、予告編を観るだけでも「おぉっ」と思わせる演技を見せていて非常に楽しみだ。受賞争い的にはマクドーマンドに次ぐ2番手なうえに、三大前哨戦を持っていかれているのでオスカー像を手にするのは厳しいのが実状だが、またそのうちチャンスは来るのでは。と言いながら、次回作に 『ゴジラ』 の続編しか名前が挙がっていないのが不安だが。

 

# オスカーノミネート歴

'13 『ブルー ジャスミン』 (助演)

 

 

 

Frances McDormand :

 THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURRI

/ 『スリー・ビルボード』

 

 ここ数年は寡作だったものの、一昨年は4年ぶりの実写映画 『ヘイル、シーザー!』 でコメディセンスを発揮し、やっぱり上手くて面白い女優だよなと思っていたフランシス・マクドーマンドが、今年の主演女優賞の大本命だ。還暦を迎えたベテラン女優がアカデミー賞主演女優賞の本命という事態だけでも嬉しくなってくるが、それがマクドーマンドとなれば尚更というもの。最大のライバルはサリー・ホーキンスで、個人的にはホーキンスにも獲ってほしいところだが、三大前哨戦を制覇した今となってはマクドーマンドの受賞でもほぼ決まりと言ってよさそう。実際、下手すると全く共感が持てなくなってもおかしくないキャラクターの主人公を、時にシリアスに、時にコミカルな空気を漂わせながら絶妙な匙加減で人間臭く演じたマクドーマンドの功績はかなり大きく、21年ぶり2度目のオスカー受賞となっても文句ナシだ。どーでもいいことだが、自分がアカデミー賞授賞式をLIVEで観始めた年に主演女優賞を受賞したのがマクドーマンドで、あれから20年以上も経ってるのねと、なんだか時の流れを感じさせる展開。

 

# オスカーノミネート歴

'88 『ミシシッピー・バーニング』 (助演)

'96 『ファーゴ』 (主演)

'00 『あの頃ペニー・レインと』 (助演)

'05 『スタンドアップ』 (助演)

 

 

 

Margot Robbie : I, TONYA

/ 『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

 

 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 で頭角を現し、『スーサイド・スクワッド』 のハーレイ・クイン役でブレイクしたマーゴット・ロビー。その派手な顔や、肌を露出する役柄が多いことからセクシー路線女優と思われかねないところだが(自分もそう思ってました)、いろんな意味で伝説のフィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングを演じた本作ではそのイメージを覆す演技を見せ、27歳にして初オスカーノミネートという超順調なキャリアを邁進中である。受賞争い的には4番手だが、今後のキャリア的に今回のオスカー候補はかなり大きいので、ノミネートだけでも十分だろう。

 

 

 

Saiorse Ronan : LADY BIRD / 『レディ・バード』

 

 2年前に『ブルックリン』でノミネートされた際は「史上2番目の若さでオスカーに2度ノミネートされた女優」だったのが(当時21歳、ちなみに最年少はアンジェラ・ランズベリーの20歳)、今回のノミネートで「史上2番目の若さでオスカーに3度ノミネートされた女優」となったシアーシャ・ローナン(ノミネーション発表時23歳9ヶ月、ちなみに最年少はジェニファー・ローレンスの23歳5ヶ月)。『つぐない』 で初めてオスカー候補になった頃から、演じるキャラクターを本能で掴んで演じる天性の女優だったが、ここまでの評価を20代前半にして得るようになるとは想像以上である。『レディ・バード』 は未見だが、都会に憧れながら田舎生活に不満を持ってエキセントリックな行動に出ちゃう進学直前の高校生というキャラクターは、『ブルックリン』 に続いてシアーシャにピッタリそうで期待大だ。残念ながら今年はマクドーマンド、ホーキンスに次ぐ3番手ということになるのだが、近い将来に是非!

 

# オスカーノミネート歴

'07 『つぐない』 (助演)

'15 『ブルックリン』 (主演)

 

 

 

Meryl Streep : THE POST

/ 『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』

 

 これで21度目のオスカー候補となったメリル・ストリープ。初めてノミネートされてから今年でちょうど40年目になるので、実に2年に1回以上の割合でノミネートされていることになり、なんかもう別次元過ぎてどうコメントすればよいのやら。好きな女優であることに変わりはないが、今年は代わりにジェシカ・チャステインやアネット・ベニングがノミネートされても良かったんじゃないかというのが正直なところ。ただし、ハリウッド的には 「本作のメリル・ストリープをオスカー候補にする」 ということで 「ハリウッドがトランプ政権に対してNOという意思表示をしている」 こととなり、そういう意味では重要なノミネートと言えよう。ちなみに2018年は 『メリー・ポピンズ』 の続編に出演するので、もしかすると25年ぶりの3年連続オスカー候補になるかも。

 

# オスカーノミネート歴

'78 『ディア・ハンター』 (助演)

'79 『クレイマー、クレイマー』 (助演)

'81 『フランス軍中尉の女』 (主演)

'82 『ソフィーの選択』 (主演)

'83 『シルクウッド』 (主演)

'85 『愛と哀しみの果て』 (主演)

'87 『黄昏に燃えて』 (主演)

'88 『クライ・イン・ザ・ダーク』 (主演)

'90 『ハリウッドにくちづけ』 (主演)

'95 『マディソン郡の橋』 (主演)

'98 『母の眠り』 (主演)

'99 『ミュージック・オブ・ハート』 (主演)

'02 『アダプテーション』 (助演)

'06 『プラダを着た悪魔』 (主演)

'08 『ダウト あるカトリック学校で』 (主演)

'09 『ジュリー&ジュリア』 (主演)

'11 『マーガレット・サッチャー

鉄の女の涙』 (主演)

'13 『8月の家族たち』 (主演)

'14 『イントゥ・ザ・ウッズ』 (助演)

'16 『マダム・フローレンス!

夢見るふたり』 (主演)

 

 

 

 

期待 : シアーシャ・ローナン、サリー・ホーキンス

予想 : フランシス・マクドーマンド

 

マクドーマンドが受賞しても嬉しいし、受賞に値する演技だったけど、

やっぱりここは受賞歴のない女優に獲ってほしいというのが本音。

楽しみなのは、BAFTAで赤いドレスを選んだマクドーマンドが、今度はどんなドレスを着て登場するか!