第90回/2017年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

 

助演男優賞

 

前哨戦で名前が挙がっていたアーミー・ハマーとマイケル・スタールバーグがノミネートされなかったのは残念だが、

その分、誰が受賞しても納得の名脇役達が揃っているのは嬉しい。

実質的にはデフォー様とサム・ロックウェルの一騎打ちで、

ここは前哨戦後半を制したロックウェルの方に分がありそう。

 

NBOR

ニューヨーク批評家協会賞

ロサンゼルス批評家協会賞

ボストン批評家協会賞

デトロイト批評家協会賞

サンフランシスコ批評家協会賞

アトランタ批評家協会賞

シカゴ批評家協会賞

全米批評家協会賞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全米俳優組合賞

ゴールデングローブ賞

ブロードキャスト批評家協会賞

英国アカデミー賞

ワシントンDC批評家協会賞

ダラス−フォートワース協会賞

ラスヴェガス批評家協会賞

フロリダ批評家協会賞

 

 

 

 

Willem Dafoe : THE FLORIDA PROJECT

/ 『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』

 

 実際のトランスジェンダー達を主人公に描いた物語を全編iPhoneで撮影した『タンジェリン』で話題をさらったショーン・ベイカー監督が、今度は6才の女の子を主人公にアメリカの貧困層を色彩豊かな映像と共に描き、前作以上の絶賛を集めている。その中でもウィレム・デフォーの演技はキャリア最高との呼び声も高く、前哨戦前半は独走に近かったので、とうとうデフォー様の手にオスカー像が! と期待していたのだが、三大前哨戦をサム・ロックウェルに持っていかれてしまい、受賞の可能性は相当下がってしまった。デフォー様ももう62歳なので、そろそろ受賞してほしいところなのだが・・・ 関係ないが、本作に出演しているケイレブ・ランドリー・ジョーンズは 『ゲット・アウト』 と 『スリー・ビルボード』 にも重要な役で出ていて、今年のオスカーノミニー20人のうち、なんと5人と対象作で共演していることに。だからどうしたっていう話ですが。

 
# オスカーノミネート歴

'87 『プラトーン』 (助演)

'01 『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』 (助演)

 

 

 

Woody Harrelson : 

 THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURRI

/ 『スリー・ビルボード』

 

 若い頃は家の庭でマリファナを栽培したり、ゴールンゲートブリッジンに登って逮捕されたりと暴れていたが、気が付けば大作から小品系まで満遍なく出演する、今のハリウッドに欠かせないベテラン的な存在となっているウディ・ハレルソン。昨年日本で公開された 『スウィート17モンスター』 と 『猿の惑星 聖戦記』 ではガラッと異なるキャラクターを演じていて、改めて芸達者な俳優だと感じたが、『スリー・ビルボード』では「物語の良心」的な警察署長のキャラクターを嘘くさくなく演じていて、この演技がなければ本作は成り立たなかったのではと思わせてくれた。前哨戦の結果からは共演者のロックウェルの方に軍配が上がるので今回の受賞は見送りになるだろうが、90年代、2000年代、2010年代とコンスタントにオスカー候補になっているので、どこかで受賞してほしいところ。あー、なんでこんなにオスカーを受賞してほしいベテランが増えていくんだ。

 

# オスカーノミネート歴

'95 『ラリー・フリント』 (主演)

'09 『メッセンジャー』 (助演)

 

 

 

Richard Jenkins : THE SHAPE OF WATER

/ 『シェイプ・オブ・ウォーター』

 

 マイケル・シャノンにマイケル・スタールバーグと、助演男優賞ノミネートの可能性がある俳優がひしめいていた 『シェイプ・オブ・ウォーター』 だが、実際にノミネートされたのは70歳のベテラン。予告編を観る限り、シャノンやスタールバーグの方が派手な見せ場が多そうではあるが、ジェンキンスの渋い存在感の方が評価されたということか、もしくは前述の2人に勝るとも劣らない見せ場があるのか。これを書いている時点では本編未見なので分からないが、まぁ受賞争いに絡むことはなさそう。それにしても、ジェンキンスの初オスカーノミネートはつい最近だと思っていたのだが、もう10年も前だったのねぇ。

(2018/3/3 追記 : 『シェイプ・オブ・ウォーター』観てきたら、勝るとも劣らないどころか見せ場だらけの名演!)

 

# オスカーノミネート歴

'07 『扉をたたく人』 (主演)

 

 

 

 

 

Christopher Plummer : ALL THE MONEY IN THE WORLD

/ 『ゲティ家の身代金』

 

 今年のアカデミー賞はセクハラ問題が一つのテーマになりそうだが、その大きなきっかけとなったのがハーヴェイ・ワインスタインとケヴィン・スペイシーの件。スぺイシーは過去と現在に行った数々のセクハラ行動への告発によって実質的にハリウッドから追放された状態となったが、その数ヶ月後に公開予定だったリドリー・スコット監督の本作ではスペイシーの出演シーンを代役を立てて全て撮り直し、当初の公開日に間に合わせるという荒業を成功させた。それだけでも凄いと思うが、加えて代役のクリストファー・プラマーがオスカー候補という前代未聞の事態に。恐らく、キャスティグされてからオスカー候補になるまでが数ヶ月というのは最短じゃなかろうか。個人的には、既にオスカーを手にしているベテランよりも、アーミー・ハマーやマイケル・スタールバーグがノミネートされてよかったんじゃないかとも思うが、『ALL THE MONEY〜』 も 『君の名前で僕を読んで』も未見なので何とも言えないところ。ちなみに、88歳でのノミネートは文句なしの演技部門最高齢候補で(これまではエマニュエル・リヴァの85歳が最年長)、これによりプラマーは 「演技部門の最高齢受賞者」+「演技部門の最高齢ノミニー」 の記録を持つことになった。

 

# オスカーノミネート歴

'09 『終着駅 トルストイ最後の旅』 (助演)

'11 『人生はビギナーズ』 (助演)

 

 

 

Sam Rockwell : 

 THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURRI

/ 『スリー・ビルボード』

 

 『ギャラクシー・クエスト』 のガイ役で好きになったサム・ロックウェルがオスカー候補、それも本命になる日が来ようととは、正直全く予想していなかったというか、もう感無量というか。確かに 『スリー・ビルボード』 でロックウェルが見せた演技は、善悪が綯交ぜになった人間の愚かさと脆さの中に希望を見出す本作を象徴するようで、オスカー受賞に十分値する。作品の高評価も後押ししてるし、三大前哨戦を制覇した今となってはオスカー像を受け取るのはほぼ間違いなかろう。ライバルが「いつかはオスカーを手にしてほしい」デフォー様というのが映画ファンとしては複雑な心境だが、まぁこればっかりは仕方ないです。ちなみに今年の助演男優賞ノミニーの中で最年少なのが49歳のロックウェル。助演女優賞も最年少が45歳のオクタヴィア・スペンサーで、ベテラン俳優万歳!

 

 

 

 

期待 : ウィレム・デフォー

予想 : サム・ロックウェル

 

ハリウッドの大作から小品系まで幅広く支えてきた長年の功績を讃えてデフォー様というのが個人的にはベストなのだが、

『スリー・ビルボード』 旋風の前ではやはり弱い。

まぁ、ロックウェルが受賞しても嬉しいのでヨシとします。