第91回/2018年度アカデミー賞ノミネーション

 

■ 作品賞     ■ 監督賞     ■ 主演男優賞     ■ 主演女優賞     ■ 助演男優賞     ■ 助演女優賞

 

 

助演女優賞

 

今年の演技部門で予想が最も難しいと個人的に感じているのがこちら。

批評家的にはレジーナ・キングだが、SAGとBAFTAの候補に挙がってないことを考えると・・・(詳細は以下)という感じで、

更にSAGを受賞したのはオスカー候補になってないエミリー・ブラント!

二転三転して何が何だかという感じだが、果たして初志貫徹(?)でキングが受賞なるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴールデングローブ賞

ブロードキャスト批評家協会賞

NBOR

ニューヨーク批評家協会賞

ロサンゼルス批評家協会賞

ワシントンDC批評家協会賞

デトロイト批評家協会賞

サンフランシスコ批評家協会賞

ラスヴェガス批評家協会賞

ボストン批評家協会賞

ダラス−フォートワース協会賞

全米批評家協会賞

アトランタ批評家協会賞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英国アカデミー賞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Amy Adams : VICE / 『バイス』

 

 これで6度目のオスカー候補となり、今年受賞しなかったら、そしてグレン・クローズが受賞したら、テルマ・リッターと並んで「オスカー無冠の最多ノミネート女優」となってしまうエイミー・アダムス。ちなみに男優だとピーター・オトゥールのノミネート8回が最多で、次いで7回のリチャード・バートンになるが、アダムスはまだ44歳でこのノミネート数なので、今回受賞しないとピーター・オトゥールも超えてしまいそうと危惧してやまない限り。後述の理由でレジーナ・キングが受賞しない可能性もあるとすると、その時はとうとうアダムスか!?と個人的には期待していたが、SAGがエミリー・ブラント、BAFTAがレイチェル・ワイズの手に渡った今となっては、その期待が実現することもなさそうか・・・

 

# オスカーノミネート歴

'05 『JUNEBUG』 (助演)

'08 『ダウト あるカトリック学校で』 (助演)

'10 『ザ・ファイター』 (助演)

'12 『ザ・マスター』 (助演)

'13 『アメリカン・ハッスル』 (主演)

 

 

 

Marina de Tavira : ROMA / 『ROMA ローマ』

 

 今年の 『ROMA ローマ』 旋風の影響を最も大きく受け、最もサプライズだったのがこの人、マリーナ・デ・タヴィラ。主演のヤリッツァ・アパリシオは前哨戦で何回か名前を見かけたので、ノミネーション発表で名前が挙がった時も「あー、そう来たのね」程度だったのだが、こちらの方は正直「誰?誰なの?」という感じであった(ノミネーション発表の時点では映画を未見だったので)。どうやらメキシコでは20年ほどの女優経験があるようで、演技経験のない素人が出演者の殆どを占める本作では異色の存在と言える。出演時間はそこまで長くないものの、物語のテーマを象徴するようなキーパーソンとして強く印象を残しているのは確か。実質的に受賞争いに絡むことはないので、このノミネートで女優としてのキャリアがどう変わっていくかに注目である。

 

 

Regina King : IF BEALE STREET COULD TALK

/ 『ビール・ストリートの恋人たち』

 

 一昨年の 『ムーンライト』 でのマハーシャラ・アリに続き、バリー・ジェンキンス監督作が再び演技部門に最強コンテンダーを送り込んできた。ナショナル・ボード・オブ・レビューを皮切りに、ほぼ全ての批評家協会賞を受賞してきたレジーナ・キングである。最近は映画出演作は多くなく、TVシリーズでの活躍が目立っていたが、2018年にはエミー賞を受賞、そして本作でオスカーノミネートと、キャリア絶好調である。これだけ前哨戦を制覇していたらオスカー受賞も鉄板、と言いたいところだが、99.99%受賞確実とまで言い切れないのが難しい。というのも、これだけの前哨戦戦績にもかかわらずSAGにノミネートされないという異例の事態になったため。更に、英国アカデミー賞にも名前が挙がらず、もしかして批評家的に評価がいいだけで同業者からはそうでもなかった?という疑惑が出ているのだ。とはいえ、いまや黒人に優しくないと叩かれるのがアメリカ民主主義社会なので、ここでキングを無視するのはマズいのでは・・・という心情が投票者に働いても不思議ではない。でも、助演男優賞はマハーシャラ・アリで決定なので、別にこちらはキングじゃなくてもいいか・・・という心情が働くかどうかは微妙なところ。

 

 

 

Emma Stone : THE FAVOURITE / 『女王陛下のお気に入り』

 

 この5年でオスカーに3度ノミネートされ、そのうち1回で受賞という、気が付けばアカデミー賞のお気に入りとなっているエマ・ストーン。実際、『バードマン』 でノミネートされて以降、オスカーが気に入るのも納得の演技を見せてくれていて、本作でも然り。上流階級から身を落とし、再び這い上がるために宮廷での女王の寵愛をモノにしようとする強かさを、絶妙なユーモアとコミカルさと哀しさの匙加減で演じ、ベテランの貫禄すら漂わせており、もしかすると2度目の受賞も遠くないかもしれないと思わせるくらいだ。助演部門にカテゴライズされているものの、実質的にはオリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズと並ぶトリプル主演の1人なので、理論的には受賞してもおかしくないが、2年前に主演女優賞を受賞したばかりで、30歳にして2個目のオスカーはちょっと早過ぎる?(ちなみにジョディ・フォスターは30歳で、ヒラリー・スワンクは31歳で2度目の主演女優賞を受賞)

 

# オスカーノミネート歴

'14 『バードマン あるいは

(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 (助演)

'16 『ラ・ラ・ランド』 (主演)

 

 

 

Rachel Weisz : THE FAVOURITE / 『女王陛下のお気に入り』

 

 個人的には、数年前まで 「どうしてアカデミー賞を受賞したのか不思議でしょうがない女優」 の1人だったレイチェル・ワイズだが、近年の 『ロブスター』 や 『グランドフィナーレ』 で、これまでとは一味違うオーラを出してるなぁと思っていたところで、本作の快演である。いやー、あっぱれ。英国女王の寵愛を受けつつ、同時に彼女を支配した悪女のようでもあり、親友以上の存在として女王を愛してたようでもある複雑なキャラクターを見事に演じていて、オスカー女優の面目躍如。特に、エマ・ストーン演じるアビゲイルが女王とベッドを共にしているのを見た後のシーンは圧巻で、2度目のオスカーがあっても不思議ではない。とは言え、BAFTA以外の前哨戦はノミネート止まりだし、BAFTAの受賞も英国出身だから有利に働いたと考えるのが妥当なところだろう。ところで、今年の助演女優賞ノミニーはエマ・ストーンを除く4人が40代という珍しい事態だが、なんとレイチェル・ワイズが最年長。もう48歳だったとは思えない美しさのキープはさすがだが、BAFTA授賞式でのドレスに48歳で挑戦したとは、果敢というか何というか・・・

 

# オスカーノミネート歴

'05 『ナイロビの蜂』 (助演)

 

 

 

 

期待 : エイミー・アダムス

予想 : エイミー・アダムス・・・?

 

なんだかんだ言ってレジーナ・キングが強いと思うが、

心情的にはエイミー・アダムスも捨て難く、

ここは希望的観測も含めて。