第92回/2019年度アカデミー賞ノミネーション
■ 作品賞 ■ 監督賞 ■ 主演男優賞 ■ 主演女優賞 ■ 助演男優賞 ■ 助演女優賞
作品賞
今年も全部門の中で最も混戦模様となった作品賞。
全編ワンカットの衝撃か、タランティーノのハリウッド愛か、史上初の韓国語映画か。
どれが獲っても嬉しい展開なので、
今年は最後まで楽しめそう。
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NBOR ニューヨーク批評家協会賞 |
トロント映画祭観客賞
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ボストン批評家協会賞
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英国アカデミー賞 全米製作者組合賞 ゴールデングローブ賞 ダラス=フォートワース批評家協会賞
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ゴールデングローブ賞 ブロードキャスト批評家協会賞 サンフランシスコ批評家協会賞 ラスヴェガス批評家協会賞
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カンヌ映画祭パルム・ドール 全米俳優組合賞 ロサンゼルス批評家協会賞 ワシントン批評家協会賞 シカゴ批評家協会賞 デトロイト批評家協会賞 アトランタ批評家協会賞 全米批評家協会賞 |
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FORD V FERRARI / 『フォード vs フェラーリ』 作品、編集、音響編集、音響効果賞、計4部門ノミネート 作品賞候補が最大10本にまで増えてから、「5本だったらまずノミネートされなかっただろうなぁ」という作品が毎年あるものだが、今年度の前哨戦を振り返ってみたり、ノミネート数を見てみると、今年のそのパターンは本作ということになるだろうか。恐らく最後の一枠を 『ナイブズ・アウト』 と争ったのではないかと勝手に想像するのだが、この2本が最後の一枠って、今年のアカデミー賞、ホントにレベル高くないっすか。受賞争い的には、作品賞はもとより、残る技術部門も作品賞候補作がひしめいているので、残念ながら無冠のまま終わってしまいそうだが、それよりなにより、ジェームズ・マンゴールドはそろそろ監督賞にノミネートされてもいいと思うのです。
THE IRISHMAN / 『アイリッシュマン』 作品、監督、助演男優x2、脚色、編集、撮影、美術、衣装デザイン、視覚効果賞、計9部門10ノミネート Netflix映画で配信中の本作だが、スコセッシ監督作品は劇場で観てナンボでしょと、短期間の劇場公開を狙って観に行ってみたら、なるほど、これはNetflix映画として初のオスカー作品賞に輝いても不思議ではない面白さである。しかし、そんなスコセッシ映画ですら影が薄くなるほど今年は傑作揃いのため、下手すると10ノミネーションにかかわらず1個も受賞しない可能性すら出てきた。脚色賞は監督賞にノミネートされなかったグレタ・ガーウィグに追い風が吹いてるし、撮影賞はロジャー・ディーキンスの方が強そうだし・・・ 個人的には、デニーロやパチーノ、ジョー・ペシを自然に若返らせた視覚効果部門の受賞に期待したいところだが、果たして。
JOJO RABBIT / 『ジョジョ・ラビット』 作品、助演女優、脚色、編集、美術、衣装デザイン賞、計6部門ノミネート オスカー候補の免罪符と言ってもいいトロント映画祭観客賞を受賞し、順当に作品賞にノミネートされた本作。確かに、終戦間近のナチスドイツを背景に描きながらも、ヒトラーが空想上の友達というまさかのコメディ + ファンタジーな物語に仕上げ、それでいて現実とのバランスが絶妙で、観終わってみると不思議な感動を呼ぶこの味わいは唯一無二かもしれない。主役のジョジョを演じたロマン・グリフィス・デイヴィスの主演男優賞候補があってもよかったんじゃないかと思うが、オスカーの現実的にはありえない話だろう。受賞するとしたら美術賞か衣装デザイン賞あたり。
JOKER / 『ジョーカー』 作品、監督、主演男優、脚色、編集、撮影、作曲、衣装デザイン、メイクアップ・ヘアスタイリング、音響編集、音響効果賞、 計11部門ノミネート 今年のアカデミー賞で最多ノミネートを勝ち取るのは 『アイリッシュマン』 か 『1917』 だろうという下馬評を覆し、見事11部門ノミネートとなった本作。前評判も高かったのでスルーしがちだが、これってかなり凄い事態だ。なんせ、これまでアメコミを原作とする映画は一度もアカデミー賞作品賞候補になったことがないんである。もはや「アメコミ映画」という枠を軽々と超えてくる物語であるのは事実だが、それにしても最多ノミネートとは、ただごとではない。このまま行くと主演男優賞と作曲賞は受賞しそうで、脚色賞もアリ、残るは技術部門でどれだけ受賞数を伸ばすかに注目。なんだかんだで受賞は4部門くらいでは?
LITTLE WOMEN / 『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』 作品、主演女優、助演女優、脚色、作曲、衣装デザイン賞、計6部門ノミネート これまでに幾度となく映画化されてきた 『若草物語』 を、グレタ・ガーウィグ監督、シアーシャ・ローナン主演という 『レディ・バード』 のタッグで映像化した本作。まだ未見なので何ともコメントし難いが、なかなかの高評価を得ている模様。それだけに、ガーウィグが監督賞にノミネートされなかったことで女性監督云々という批判が出ており、その影響でガーウィグの脚色賞受賞というシナリオは有り得そう(ただし強敵は多い)。衣装デザイン賞も本作は投票されやすいジャンルなので、上手く行けば2部門受賞と爪痕を残せるかも。もし1個も受賞できなかったら、それはそれで女性映画云々という批判がまた出そうだが・・・
MARRIAGE STORY / 『マリッジ・ストーリー』 作品、主演男優、主演女優、助演女優、脚本、作曲賞、計6部門ノミネート ノミネーション数は多くないが、主要部門で数えるならば最多ノミネーションと言ってもいい本作。ノア・バウムバックが自信の離婚体験を基に脚本を書いただけあって、離婚の悲喜交々を描いた人間ドラマとしてウソ臭さのない物語となっており、それに応える主演2人はキャリアベストと言っていい演技を見せてくれるし、ローラ・ダーンは美味しい脇役で見せ場を持っていくし、ランディ・ニューマンはピッタリな曲を書いてくれたし、その結果としてノミネートされるべきところでしっかりノミネートされているのが素晴らしい。ローラ・ダーンの助演女優賞はほぼ確実として、残る望みは脚本賞だが、タランティーノに1917、パラサイトとライバルが手強過ぎるので、やはり1部門のみ受賞が妥当ではないでしょうか。
1917 / 『1917 命をかけた伝令』 作品、監督、脚本、撮影、作曲、美術、メイクアップ・ヘアスタイリング、音響編集、音響効果、視覚効果賞、計10部門ノミネート 本命不在と言われている今年の作品賞の中で、一歩抜きんでてるものがあるとすれば本作だろう。今現在も公開中で話題になっているし、興行成績的にも1位を獲得してるし、ほぼワンカットで撮影したという戦場でのシーンの没入感は半端ないという話だし、批評家協会賞ではあまり目立たなかったけどGGとPGAを受賞してオスカーまで一直線というのはよくあるパターンだし(ただしPGAとオスカーが一致する確率は決して高くない)。そんなわけで、例年であれば文句ナシの作品賞と言えるかもしれないが、とにかく今年は傑作揃いなので気が抜けない。本作を逆転するとしたら、タランティーノのハリウッドへの愛が溢れるワンハリか、衝撃度と面白さでは断トツの 『パラサイト』 か。今年の授賞式、最大のクライマックスです。
ONCE UPON A TIME... IN HOLLYWOOD / 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 作品、監督、主演男優、助演男優、脚本、撮影、美術、衣装デザイン、音響編集、音響効果賞、計10部門ノミネート ハリウッドが古き良き時代から斜陽の時代に差し掛かろうとしていた1970年代目前を舞台に、これまでのタランティーノ映画らしさを残しつつ、ラストではタランティーノの成熟度も伺える本作。恐らく、『パルプ・フィクション』以降のタランティーノ作品で最もオスカーに近づいているのではないだろうか。なんせ3大前哨戦のうち、ゴールデングローブ賞とブロードキャスト批評家協会賞の2つを制覇しているのだから、今年はワンハリの年になりそうだねぇと思っていたところ、PGAを 『1917』 が受賞し、雲行きが微妙になってきた。ブラピの助演男優賞はほぼ確実だが、他は不確定要素が強く、頼みの綱の脚本賞もライバルが強敵揃いのため、技術部門の数部門受賞にとどまる可能性も。
PARASITE / 『パラサイト 半地下の家族』 作品、監督、脚本、編集、美術、外国語映画賞、計6部門ノミネート 韓国映画として初のオスカー作品賞候補っていうだけでも十分なのかもしれないが(そもそも外国語映画賞ノミネートも韓国映画として初)、それにとどまることなく、『パラサイト』が作品賞受賞っていうシナリオが個人的には一番嬉しいというか、感極まるというか。それくらい文句ナシに本気で面白い作品だったけど、本当に面白い映画が作品賞を受賞することが少ないのがアカデミー賞なわけで、韓国映画がいきなり作品賞受賞というの展開はさすがに考えづらいかもしれない。とはいえ、韓国の社会問題を切り取った背景は現代アメリカ社会にも通じるものがあるし、SAGのアンサンブル演技賞受賞というサプライズで勢いはついてるし(ただしこの部門には最大のライバルである『1917』がノミネートされていない)、"Oscar too white"の余波が作品賞にまで及ぶとしたら相応しいのは本作ということになるし、受賞が絶対ないとは言えないあたり、期待が高まります。
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期待 : 『パラサイト 半地下の家族』 予想 : 『1917 命をかけた伝令』 |
『パラサイト』 がアカデミー賞に新風を巻き起こすのを期待したいところだが、
現実的には 『1917』 の受賞が一番ありうる展開。
ワンハリでも盛り上がると思うので、この3作のどれが受賞してもOK!