第92回/2019年度アカデミー賞ノミネーション
■ 作品賞 ■ 監督賞 ■ 主演男優賞 ■ 主演女優賞 ■ 助演男優賞 ■ 助演女優賞
助演男優賞
『パラサイト』 のソン・ガンホがノミネートされなかったのは残念だが、
それも仕方ないくらい、名実ともにベテランが揃った今年の助演男優賞。
なんせ平均年齢71歳、5人の演技部門受賞数5、ノミネート総数22である。
56歳のブラピがひよっ子に見えるくらいだが、そのブラピが壇上でオスカー像を受け取る日がとうとう来るか!
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ニューヨーク批評家協会賞 デトロイト批評家協会賞 フロリダ批評家協会賞
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英国アカデミー賞 全米俳優組合賞 ゴールデングローブ賞
NBOR ボストン批評家協会賞 ワシントンDC批評家協会賞 サンフランシスコ批評家協会賞 シカゴ批評家協会賞 ダラス=フォートワース協会賞 アトランタ批評家協会賞 全米批評家協会賞 |
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Tom Hanks : A BEAUTIFUL DAY IN THE NEIGHBORHOOD / 『幸せへのまわり道』
最近はオスカー候補から遠ざかっていたトム・ハンクス。ここ10年ほどは 『キャプテン・フィリップス』 や 『ウォルト・ディズニーの約束』、『ハドソン川の奇跡』など、ノミネートされても不思議ではない年もあったのだが、なかなか名前が挙がることがなく、もうベテラン感が強過ぎて今更オスカーにノミネートなんかされないのかなと思っていたら、19年ぶりのオスカー候補ある。今回演じるのは、アメリカ人なら誰もが知っているという国民的司会者、フレッド・ロジャース。やはり著明な実在の人物を演じるとなるとアカデミー賞に強いということか。ハンクスほどの名優であれば3度目のオスカー像があってもいいとは思うが、まだまだこれからも良作に出演してノミネートされるチャンスはあるだろうし、今年は無冠のスターに譲るということで。ちなみに63歳のハンクスが、今年の助演男優賞ノミニーの中では2番目に若い。
Anthony Hopkins : THE TWO POPES / 『2人のローマ教皇』
90年代のオスカーレース常連だったものの、ここ20年以上ノミネーションから遠ざかっていたアンソニー・ホプキンス。近年は 『マイティ・ソー』 のオーディーン役でMCUに仲間入りしたり、『トランスフォーマー』 最新作に出演したりと、ベテランならではの余裕で楽しませてくれていたが、22年ぶりにオスカー候補となった本作で見せる、軽妙洒脱な中にもしっかりと魂を宿している演技は実に素晴らしい。「上手くて当然」レベルの俳優は数多くいるが、それでもここまでの演技はなかなか見せてくれないのではないだろうか。助演部門にカテゴライズされているものの実質的には主演と言っていいほど出ずっぱりなのを考えると、ブラッド・ピットが本命じゃなかったら2度目の受賞があってもおかしくないというのが正直な感想だ。そういえば、ブラッド・ピットとは 『ジョー・ブラックをよろしく』 で共演してたっけ。あれももう20年以上前になるのねぇ…
Al Pacino : THE IRISHMAN / 『アイリッシュマン』
『セント・オブ・ウーマン』 で悲願のオスカー受賞を果たしてから、オスカー候補から長らく遠ざかっていたアル・パチーノ。確かに近年は作品選びに力が抜けていて、本人も賞レースなんか気にしていないかもしれないが、それでも79歳にして実に27年ぶりのオスカー候補とは、さすがである。今年は 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 にも出ているので、オスカー的にはちょっとした再ブレイクといったところ。今回は初のスコセッシ組参加でジミー・ホッファを演じているが、物語の中盤以降は主役のデ・ニーロにも負けない存在感を放っており、パチーノ独特のダイナミックな演技から、老境を感じさせる演技まで幅広く見せてくれて、ノミネートも納得だ。これで9度目のオスカー候補だが、これは男優ではポール・ニューマンとスペンサー・トレイシーと並び、ジャック・ニコルソンの12回、ローレンル・オリヴィエの10回に続く記録。さすがに10度目のノミネートはないか?
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Joe Pesci : THE IRISHMAN / 『アイリッシュマン』
『グッドフェローズ』 で受賞して以降、オスカー候補から長らく遠ざかっていたジョー・ペシ。というより、映画界から長らく遠ざかっていたと言った方が正確だろうか。なにせ、98年の 『リーサル・ウェポン4』 以降の出演作は 『グッド・シェパード』 と 『ラブ・ランチ』 のみである。事実上、映画界を引退していたと言っていいだろう。そんなペシをスコセッシとデ・ニーロが数年かけて説得し、9年ぶりに銀幕に引っ張り出してきたら、これがもうさすがというか、ブランクを全く感じさせない演技で、見事に29年ぶりのオスカー候補である。スコセッシ映画のペシと言えば異常なまでのキレっぷりが見ものだが、今回はそんなペシを封印し、大声を上げなくとも感じさせる凄みを放っていて、かと思えばラストは同一人物とは思えないほどのおじいちゃんっぷりを見せたりと、もう自由自在。ブラピがいなければ、名脇役の復活として受賞しても不思議ではないが、もうブラピの勢いは止まらないし、受賞してもまた "Thank you" のみでステージから下がっちゃうかもしれないし。
Brad Pitt : ONCE UPON A TIME... IN HOLLYWOOD / 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
さぁ、ハリウッドが誇る世界的スター、ブラッド・ピット56歳が演技部門でオスカー像を手にする日がやってまいりました。近年はプロデューサーとして良作を世に送り出しており、『それでも夜は明ける』 ではプロデューサーとしてオスカー像を手にしているが、俳優としてはいまだ無冠のブラピ。正直、若い頃はカッコいいだけで俳優としての面白みや上手さを感じることは殆どなかったが、『マネーボール』 あたりからイイ味を出すようになってきて、だんだん味のある役者になってきたなぁ、でもオスカー受賞は難しいかなぁと思っていたのだが、今年は、今回受賞しないでいつする! くらいの勢いである。助演部門にカテゴライズされているものの、実質的にはディカプリオとダブル主演で見せ場が多いし(『ジャンゴ 繋がれざる者』のクリストフ・ヴォルツと同じパターン)、『アド・アストラ』の抑えた演技は素晴らしかったし、3大前哨戦も制覇してるし、本人の人柄やハリウッドでの人気がよく分かるGGやSAGでの受賞スピーチは大盛り上がりだったし、もう非の打ち所ナシ。さぁ、ハリウッドの祭典を楽しもう!
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期待 : ブラッド・ピット 予想 : ブラッド・ピット |
ここまで来たら、もうブラピの受賞しかありえない展開。
本作の演技が上手いとかいうことではなく(いや、もちろん良かったんですが)、
色々ひっくるめての受賞ということで誰も文句ナシ。