102 102 DALMATIANS


directed by Kevin Lima

cast :  Glenn Close  Gerard Depardieu
Tim McInnerny  Ioan Gruffudd
Alice Evans  Eric Idle
Ben Crompton
('01 03 12)



 『102』は、「クルエラ・デ・ビルにさらわれた102匹のかわいいダルメシアン達を、ブチなしダルメシアンのオッドちゃんが仲間と一緒に助けるファミリー映画」・・・・では決してない。そういう観方もできなくはないが、ちょっとそれだと物足りない恐れがあるので、『102』は、「名女優グレン・クローズがクルエラ・デ・ビルをどれだけ喜々として演じて、どれだけヒドイ目に遭うのかを楽しむ映画」として観てみましょう。

 グレン・クローズは名女優だ。受賞こそしてないが、アカデミー賞には5度ノミネートされており、メリル・ストリープと並んで80年代オスカーレースの常連である。にもかかわらず、出世作が『危険な情事』のせいか、顔にすごみが出やすいからか、映画の中では散々な目に遭うことが多い。社交界からはじきものにされたり、中盤で病気で死んでいったり、中盤で凶弾に倒れたり、最後で凶弾に倒れたり、バーで発砲されて入院したり、インスリン投与で死んでいったり、刑務所で踊ってたり、火星人に殺されたり、二重人格者にぶっ殺されたりで、最近まともにラストを迎えたのは『エアフォース・ワン』の副大統領役ぐらいじゃなかろーか。

 そんなグレン・クローズ、今回は今までになくヒドイ目に遭うのであった。どれくらいヒドイかは自分の目で確かめて頂くとして、僕はこの最後の15分の、「ここまでやるか!グレン・クローズ」を観たいがために『102』を観に行きました。期待通り!基本的に彼女がスゴイのは、そこまでやられる必然性が全くないのに、ただ笑いを取るためだけにあそこまでやってくれるからだ。別にクローズ自身じゃなくてもバレないシーンもあったりするのだが、そこは怪優グレン・クローズ。自分から△※○♪×〜な目にしっかりと遭ってくれるのであった(ただし怪演具合は『クッキー・フォーチュン』の方が遥かに上回っているが)。

 映画の筋はどーってことないので別にどーでもいいんだけど、演出も脚本もユル過ぎの感ありありってとこ。ワンちゃんたちや、お決まり飼い主カップルをもっと魅力的におかしく描かかないとダメだろう。勿論微笑ましいシーンもたっぷりあるけど、それだけで映画全体の力になるとは限らない。ジェラール・ドパルデューなんて名優を使っておきながら、無駄使いもいいところだ。ちょっと嬉しかったのは、アニメ版『101匹わんちゃん』の主題歌、"ベラ・ノッテ"が流れてきた時。粋な演出に思わず、恥ずかしながらも酔ってしまった。

 余談だが、こういうファミリー向けのコメディーならクリス・コロンバス監督の右に出る人はいないと思う。『ホーム・アローン』シリーズ、『ミセス・ダウト』などを観ればわかるが、万人向けで、クドくない程よい笑いを上手く見せることができる監督なので、手堅く楽しめる感がある。『102』もホーム・アローンのブチ犬版みたいなもんだからさ。てなわけで、『103』が出来るのならばコロンバス×クローズでやってもらいましょう。そしてクルエラのライバルで実の妹役にメリル・ストリープなんでどうかな。喧嘩しながら二人してどんどんワンちゃん達にボロボロにされていくの。うわー、プロデュースしてみてー。ということで、オッドちゃんの可愛さとクローズの潔さにスマイル君2コおまけ。





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