13ウォーリアーズ THE 13TH WARRIOR


directed by John McTiernan

cast :  Antonio Banderas  Diane Venora
Dennis Storhl  Vladimir Kulich
Omar Sharif  Daryl Mitchell
('00 02 24)



 久々に理屈抜きで楽しめるアクション活劇である。ジョン・マクティアナン監督の復活に拍手。

 『13ウォーリアーズ』は、アメリカが世界に放つ3大映画小説家の一人、マイケル・クライトン(残りはジョン・グリシャムとスティーブン・キングあたり、と勝手に決めている)の『北人伝説(原題:EATERS OF THE DEAD)』の映画化だ。僕は彼の小説が原作となった映画は必ず見たいと思っている。それは、クライトンのストーリー展開が良くも悪くも映像向けであり、映像化したいという欲求、もしくは映像化されたのを見てみたいという欲求をかきたてるのだ。そんな作品の中、『ジュラシック・パーク』や『ディスクロージャー』の様に成功したものもあれば、同じ監督でも、『ロスト・ワールド』や『スフィア』の様に失敗した例もある。もともと、クライトンの小説には人間味溢れるストーリーなんてものはなく、プロットが命という感が大きくあるが、『13ウォーリアーズ』に至ってはプロットもありゃしない。それじゃぁ、失敗作かというと、そんなことはなく、評判はあまりよろしくないらしいが、僕には十分な成功作だったと思う。

 従ってストーリーは至って簡単。時は10世紀。バンデラス扮する、遠方の地に左遷になった一人のアラブ人の大使が、人を喰うと言われるヴェンドルという魔物退治に、あれよあれよと13番目の戦士として参加することになって村を救うというもの。『七人の侍』に似ているという指摘が飛び交ったが、模倣でも面白ければそれで一つの作品として成立する例もある。ヴェンドルの大群を相手に戦う13人の戦士の、何と凛々しいこと。男の美学が貫かれるさまは、フェミニズムが氾濫するこの現代では新鮮に思えるし、それに単純にカッコイイもの。

 アクションが命のこの映画で、骨太なアクション演出が得意なマクティアナン監督は、思う存分本領を発揮した。松明(たいまつ)の明かりを用いた暗闇の戦闘シーンの美しく、また激しいこと。スローモーションの使い方もさすがで、何でもかんでもスローという、誰でもやれそうな方法とは一線を画しており、闘いで生まれる個々の戦闘心、命を懸けた覚悟、そして英雄の偉大さを描いている。古典的な手法だが、ヒッチコックの手法が現代でも通用するように、古典的なものの素晴らしさを思い知らされる。

 主役は、ラテンの血が再び騒ぎ始めたか、アントニオ・バンデラス。魔物の正体が人だとわかった途端、ナイフに改造した剣を振りまわす振りまわす。ぶった切るぶった切る。お決まりの雄叫びも入ります。そんな役に野性味がウリの彼はぴったりだ。原題はそのバンデラス扮する『13番目の戦士』。しかし本当の主役は別にいる。その彼が英雄となっていくさまが、この映画の見所であり、必見。10世紀という時代設定を活かした、男たちの戦いをこれでもかと描いた快作である。





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