幸せになるための27のドレス 27 DRESSES

 

directed by Anne Fletcher

cast : Katherine Heigl  James Marsden

Edward Burns  Judy Greer

Malin Akerman  Brian Kerwin

David Castro  Maulik Pancholy

('08 06 07)

 

 

注 : ネタバレしまくりです

 

 

 ストーリーも演技もファッションも、なーんの見所もないロマコメなのだが、それでもごく一部のマニア(?)には必見の映画だ。さー、「ハリウッドのヒロインの当て馬王子」 ことジェームス・マースデンの全世界のファンの皆さま。とうとう当て馬王子がヒロインと結ばれる日が来ましたよ!

 

 思えば、出世作となった 『X−メン』 でジェームス王子は既に当て馬役の匂いをプンプンさせていた。王子はファムケ・ヤンセン演じるジーンの恋人役なのだが、ジーンはヒュー・ジャックマン演じるワイルドなウルヴァリンに心を奪われているのだ。その後もシリーズを続けて当て馬役であり続け、最終作となった3作目では生まれ変わったジーンの手で殺されてしまうという始末。当て馬人生もここまで徹すると立派というお手本である。また、近年の純愛映画ではベスト3に入る 『きみに読む物語』 や、『X−メン』 シリーズのブライアン・シンガー監督のよしみで出演した 『スーパーマン リターンズ』 といった王子の代表作でも、ヒロインの相手役として申し分ない好青年なのにヒロインの本命は別の男で、しかもその現実をやけに物分かり良く受け入れるという、これまた見事な当て馬役を演じているのだ。昨年出演した 『ヘアスプレー』 ではそういう色恋沙汰とは無縁の役で見事な歌声を披露し、とうとう当て馬からも卒業かと思われたが、次に出演した 『魔法にかけられて』 では、おとぎの国の王子様でお姫様と婚約までしたというのに、またまた最後にはお姫様を別の男に取られてしまうという、もう当て馬王子でしかありえないような展開に軽く驚いた。あぁ、もうこれで一生ヒロインと結ばれることはないんだろうなと、半ば諦めの境地に達していたところで、この 『幸せになるための27のドレス』 である。

 

 王子が演じるのは、27回も友達のブライドメイトを務めたことがあるのに自分には幸せが全然訪れないヒロインのジェーンを取材する、新聞記者のケヴィン。ジェーンは職場の上司(エドワード・バーンズ、あまりにモサッとし過ぎてて識別できませんでした)に想いをずっと寄せ続けているのに、こともあろうに上司はジェーンのバカでイケイケな妹に一目惚れ。そのままジェーンは妹の結婚式のブライドメイトまでやることになってしまいそうになるという展開なのだが、ケヴィンを演じるのが当て馬王子なんだから、当然ケヴィンはジェーンの恋を応援する役で、最後にジェーンは上司とめでたく結ばれると思うじゃない。ところがどっこい、何とジェーンはケヴィンと結ばれちゃうのよ。これにはびっくり。ジェームス王子の当て馬なイメージを逆手に取った、見事に予想外の展開でした。ある意味、衝撃のラストだね。最後の結婚式のシーンに至っては、『X−メン』 から8年間当て馬役に徹し続けた王子の晴れ姿を観ることができて、話の筋とは全く関係ない感動と感慨を覚えてしまったもの。いやー、見逃さないでよかったなー

 

 ヒロインを演じるキャサリン・ハイグルは初めて観たのだが、庶民的なルックスながらもスクリーンで輝ける女優だ。今回の役はイイ人っぽいのに土壇場で底意地の悪さを見せるという、相当イケてないヒロインだが、それもカバーしちゃえそうなチャームがある。うるさくないサンドラ・ブロック的なステイタスを築けそう。後、休日の昼間にこの映画を観に行ったら女性同士の客があまりに多くて驚いた。カップルですら数えるほどしかおらず、半径2メートル以内全員女性。ちょっと怖かった。幸せになるためのカギをこの映画で探そうとしたんでしょうか。あまり参考にしない方がいいと思うけど。