１作目のサプライズ・ヒットに気を良くしたジェリー・ブラッカイマーが、調子に乗って続編を、しかも３作目までゴーサインを出しちゃった 『パイレーツ・オブ・カリビアン』。この人なら柳の下のどじょうを何匹でも狙うから、ボックスオフィスが許す限りまだまだ続編作る気満々だろうね。けど、１作目に比べると２作目は段違いにつまらない。続編映画はますます仕掛けが大仕掛けになって、その分大味にもなるというパターンを見事に踏襲している。それでいて、２作目を観ちゃうと３作目を観ないと気がすまなくなるという、商売の上手さ。えげつなさ。その商売に利用されてるジョニー・デップが、何だかカワイそう。演じてる本人たちはノリノリだろうけど、３作目まで作ってくれて本当に嬉しいのは、スター街道も演技力も先が見えなくなってきたオーランド・ブルームくらいでしょう。

　致命的なのは、海賊映画と銘打ってるのに、面白いのが全部地上でのアクションシーンということ。確かに序盤と中盤の地上でのアクションでは笑えるし、エキサイティングでもあるのだが（脚本のおかげというより、デップのおかげという話もある）、海の上のシーンとなると途端にドカーン、ボカーンの連発になって、つまらなくなるのだ。アイディア不足なのがバレバレです。こんなんで３作目まで作っちゃって大丈夫なんだろうかと、いらぬ心配までしてしまうが、３作目ではあのお方の姿が再び拝めたり、なぜかチョウ・ユンファなんていうキャスティングもされてたりして、違う意味で楽しみではある。この奇怪な扮装のメンツの中に、チョウ・ユンファのマジメ顔というミスマッチ具合が、想像するだけで可笑しいような変なような。それともユンファも特殊メイクで変身するのかな。それも観てみたいなー

　キャストの中で１作目と２作目の間で一番出世したキーラ・ナイトレイは、１作目以上の勝ち気っぷりを見せて、今回はアクションもこなします。一方、１作目と２作目の間に主演映画をいくつかこなしたものの、演技力のなさを見せつけるだけに終わってしまったオーランド・ブルームは、１作目以上に頼りなく見えた。このシリーズが完結した後の彼の俳優人生は大丈夫なんだろうかと、いらぬ心配をしてしまう。3作目以降の仕事、まだ決まってないみたいだしねぇ。