奇跡のシンフォニー AUGUSTH RUSH

 

directed by Kirsten Sheridan

cast : Freddie Highmore  Keri Russell

Jonathan Rhys Meyers  Terrence Howard

Robin Williams  William Sadler

Mykelti Williamson  Leon Thomas III

('08 07 06)

 

 

 子供が主役の感動ドラマ、それも音楽が人を結びつけるというストーリーだったら、例え作られた話でも心地よく感動できるだろうと思っていたのが、全然ダメだった。良かったのは主役のフレディ・ハイモア君ぐらいで、彼が出てこないシーンはことごとく白けてしまった自分。

 

 将来を期待された女流チェリスト(K・ラッセル)と、ライブハウスで演奏するバンドのヴォーカル(J・R・マイヤーズ)。出会うはずのない2人が惹かれあうところが物語の発端だが、まずは最初に出会った2人が月夜のアパートの屋上で交わす会話がクサ過ぎで現実感ナシ。更に、この一夜限りで引き離された2人がその出会いを10年経っても引きずっているというところに 「ちょっと待った!」 コールをかけたくなる。そこまでの出会いだったことがそもそも最初に描かれていないので、いつまでも何やってんだーの感が強いんである。途中でK・ラッセルが父親から死産と聞かされていた子供が生きていたことを知らされると、いてもたってもいられなくなって子供を探そうとするのはまだ分かるのだが、そのタイミングがまたよくできていて、感動のクライマックスに話が向かうのが見え見え。そういう作られた脚本にハマる面白さもあるのだが、監督のカースティン・シェリダンの登場人物の細やかな感情を出そうとする丁寧な演出は、この都合が良過ぎる脚本にはミスマッチだ。いっそのこと、お涙頂戴の演出が得意なクリス・コロンバスがメガホンを取った方が面白かったかもしれない。

 

 そんな2人のストーリーと平行して、2人の子供で孤児として育てられた少年(F・ハイモア)が両親を探しながら音楽の才能を開花させていくという話が語られるのだが、こっちの方はハイモア君の好演もあって悪くない。心の中に常に音楽が流れているものの一度も楽器を演奏したことがない彼が、初めてギターに触れ、直感に導かれるように自然と音楽を奏でていく楽しそうな姿は観ているこちらもワクワクしてくる。だが、彼の才能に目をつけるストリート・ミュージシャンを演じるロビン・ウィリアムズがクドイ演技で登場すると、途端に話が胡散臭くなるのだ。何の内面演技もなく大仰なだけで、これもまた繊細な監督の演出に全然そぐわない。物語の後半で突然再び登場した時は、ホントやめてくれー状態だった。

 

 そんなウィリアムズの演技と同じくらいウザかったのが、始終流れているBGM。音楽が物語のテーマというのはよく分かるのだが、だからと言って映画がBGMで飽和しているのはどうかと思うのだ。せっかくの丁寧な演出もうるさいBGMで台無しで、感動するはずのラストのコンサートシーンでの音楽までクドく聴こえてしまった。おかげで最後まで白けたままでした。