バンディッツ  BANDITS


directed by Barry Levinson

cast :  Bruce Willis  Billy Bob Thornton
Cate Blanchett  Troy Garity
Brian F. O'Byrne  Stacey Travis
Bobby Slayton  January Jones
Azura Skye  Anthony Burch
Peggy Miley
('02 01 15)



 "Sleepover Bandits"(お泊り強盗)。世間からそう呼ばれる3人の正体は、刑務所から脱出したジョー(B・ウィリス)とテリー(B・B・ソーントン)、そして道中で出会った人妻ケイト(C・ブランシェット)。彼らは銀行強盗の前日から支店長の家に泊まって支店長を誘拐し、翌朝一緒に出勤、誰も傷つけずに見事現金を頂いていくのだ。段々有名になっていった彼らは、しまいにゃぁ誘拐しようと訪ねた支店長宅で支店長の奥さんに「待ってたのよ!」とか言われる始末。こうしてお泊り強盗を繰り返す3人は、道中三角関係となり、ジョーとテリーの間には微妙なズレが入ってくる・・・

 ジョーが行動派の女好きと来れば、テリーは心気症に恐怖症だらけの神経質野郎。ソーントンがエキセントリックと言わないまでも、くすくすって感じでおかしいのさ。笑顔が怖いのに可笑しいの。日テレのファイヤー福沢を少々不気味にした感じ。背も小さいけど、人間も小さくなっちゃってて楽しい。そして、型破りな主婦のケイト演じるC・ブランシェットのくたびれた色気! 彼女が登場するシーンでは、冷蔵庫の中を覗く彼女に冷蔵庫のグリーンランプが光り、顔に緑の光があたるというシーンだ。ブランシェットの顔って、美人とは言い難いのに、なぜか惹きつけられる。口元だろうか。両目の位置だろうか。とにかく、グリーンランプで浮き立つブランシェットの顔の綺麗さと言ったら。『ジュラシック・パーク3』のプテラノドン・シルエットと並んで、ベスト登場シーンを捧げたい。それに、お決まりの変装ブランシェットは一見の価値あり。やっぱり変装が似合う女優ってきれいだしカッコイイっす。今度はパンツルックで、ちょっとイッちゃってるバリバリのキャリアウーマンとかやってほしい。

 あまり評判のいい映画ではない様子。分かる気がする。冒頭、刑務所からジョーとテリーが脱出して、初めて銀行を襲うまでのテンポはいいが、そこからがちと緩い。期待していたブランシェットもソーントンも、飛びぬけてスゴイ演技をするわけではないし、話に皮肉が効いているわけでもない。だが、観ていくうちに、なんでかわかんないけど気づくとその緩さに身を任せてて、何だか心地よくハマる世界。これって監督バリー・レヴィンソンの確信犯的演出かな。よく考えれば、お泊り強盗ってクールでも何でもないし、そもそもこの3人、行動がスピード派じゃないし、キレモノでもないわけ。周りにいなさそうでいるタイプの人間ね。「普通」ってやつから、角度にして13°くらいズレてる人。そんなキャラを、主演3人は奇をてらった演技をしないで見せてくれて、だから上手く緩めのテンポにはまるんじゃないかな。バランスが上手く取れてる映画なんだと思う。それも一番安定しやすいところじゃなくて、微妙にとれてるバランスね。後少しどっちかに動いただけで崩れてしまうバランス。そんな流れでなだれ込むクライマックスは、『スティング』まではいかないけど、その痛快さにニヤリ( ̄ー ̄)としてイイ気分。こんな映画もかえって新鮮でいいもんです。

 ブルース・ウィリスも本気でアクションから卒業するつもりなのかなぁ。『マーキュリー・ライジング』『ジャッカル』『アルマゲドン』以降の彼の作品は、どれも王道ではない、ちょっとヒネりのあるドラマが多い。作品選びが上手いと思う。次回作はグレゴリー・ホブリット監督(『真実の行方』『オーロラの彼方に』)の戦争ドラマだ。けど、やっぱりたまには男気ある派手なアクションもやってほしいと思うのは僕だけでしょうか。ていうか『ダイ・ハード4』観たい〜。





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