ベティ・サイズモア NURSE BETTY


directed by Neil LaBute

cast :  Renee Zellweger  Greg Kinnear
Morgan Freeman  Chris Rock
Aaron Eckhart  Tia Texada
Crispin Glover  Pruitt Taylor Vince
Allison Janney  Kathleen Wilhoite
Elizabeth Mitchell  Susan Barnes
('01 05 27)



 レニー・ゼルウィガーがいい。彼女が演じるのはタイトルロールのベティ・サイズモア。ベティは昼メロドラマの主人公デヴィッド(グレッグ・キニア)に夢中!彼の役柄は心臓外科医だ。夢見る彼女は看護婦資格を得るために学校に通いたい。だけど横暴な夫は浮気はするし、そんなものは許しちゃくれない。そんな夫が殺された!その現場を目撃したベティは、現実逃避から自分はデヴィッドの婚約者だと思い込み、いざ昼メロの舞台のロスへ看護婦姿で旅立っちゃう。そう。私は看護婦ベティ。そして夫を殺した2人組(モーガン・フリーマンとクリス・ロック)が彼女を追い追い、ベティの勘違い珍道中が始まります!

 ということで、ゼルウィガーの勘違い振りが発揮される中盤が最高におかしい。そしてまた、ゼルウィガーが最高にカワイイ。本気で自分が婚約者だと信じてデヴィッド役のジョージに迫るあたり、爆笑モノなのに微笑ましいんだな。この前WOWOWで『母の眠り』をやっていて、ゼルウィガーの演技をちらっと観ていたのだが(前劇場で観たからね)、この時は末期癌に冒されていく母親(メリル・ストリープ)を見守りながら、母親の生き方に共感していく娘の姿を、ストリープに負けないくらいリアルに演じていた。それと比べると180度の転換!けど、彼女ってコメディセンスあると思う。ドタバタには絶対ならない、カワイイ系のコメディが似合ってる。それに、あのしわくちゃな顔で笑われるとなぜかホッとしてしまう。それでいて不思議と説得力のある演技。本作でゼルウィガーはゴールデングローブ賞のコメディ部門主演女優賞をゲット。次回作も大好評のコメディ『ブリジット・ジョーンズの日記』で、今度はヒュー・グラントとコリン・ファースを相手にシングルのOLを演じてるとか。

 おっと。この映画、カンヌで脚本賞を受賞してます。確かに、勘違いコメディがベースなのに、気づけばベティの自分探しの旅になり、自信を取り戻すラストは心地よい。役者もコメディにノリノリ。ほとんど一人二役のグレッグ・キニアやら、意外に悪役、しかも勘違いな悪役にモーガン・フリーマン。フリーマンみたいな、出てきただけで「あ、この役はいい人だ」って思わせちゃう人って苦手なんだけど、今回は引退間近な殺し屋なのにすっとぼけじじいを演じてて、なかなか面白い(ただし、最後はやっぱりフリーマン節全開です)。だけど、フリーマンとクリス・ロックの掛け合いは、ちょっとズレた感じを狙って滑っちゃった的な間の悪さがある。
 そうそう。これを観た時は4,5人の外人達が前の方の席を陣取って観ていたが、笑い所が明らかに日本人達と違うところが何ヶ所もあった。うーん。悔しい。それでもこの映画はブラック・コメディとしてもドラマとしても「買い」です。ちょっと非日常の世界で笑ってみたい方、オススメ。





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