カサノバ CASANOVA

 

directed by Lasse Hallström

cast : Heath Ledger  Sienna Miller

Jeremy Irons  Oliver Platt

Lena Olin  Charlie Cox

Omid Djalili  Helen McCrory

Stephen Greif  Natalie Dormer

('06 06 17)

 

 

 『ギルバート・グレイプ』 や 『サイダーハウス・ルール』 のラッセ・ハルストレム監督が、世紀の貴公子カサノバの話を撮る。どう考えてもハルストレム監督向きの題材じゃぁない。しかも、予告編で観たカサノバ役のヒース・レジャーが全然プレイボーイに見えない。下手とかじゃなくて、決定的に色気に欠けてるのだ。世の中の女をこぞって夢中にさせるだけの色気と危なさがなくて、こんなもんで世紀のプレイボーイ?

 

 と思って観たら、カサノバが一人の女性フランチェスカと会って真実の愛に目覚めるという、なんだかカサノバじゃなくてもいいようなストーリーだった。そもそも相手役のシェナ・ミラーが全く魅力的じゃないんだけど、それは後で書くとして、例えばカサノバとフランチェスカの恋の駆け引きみたいなのを期待していくと、そんな代物ではなく、基本的にコメディ・タッチな展開に。恋愛の達人なのに、そんなことで相手の気を引くの? くどいようだけど、それならカサノバじゃなくて、そこらのちょっとモテる男を主人公にしたって変わんないじゃん。そして、最後には取ってつけたかのような大立ち回り大会。この映画はカサノバの名前を借りたドタバタ・コメディです。ラッセ・ハルストレム、どうしてこんな安い映画を作るようになっちゃったんだ。

 

 ワキを固めるベテラン組は余裕の演技で、監督夫人のレナ・オリンとオリバー・プラットの2人は観てて楽しいし、ジェレミー・アイアンズは、こういう役をマジメに演じれば演じるほど笑えてくる。ヒースも、演じてる役がカサノバじゃないと思って見れば、ラブコメの主人公を軽いタッチで演じてて悪くない。問題はシェナ・ミラーである。

 

 シェナ・ミラーって、何でこんなに需要があるんだろうか。プライベートでも映画の中でも安っぽさが抜けなくて、演技力があるわけでもないし、華も全くない。ジュード・ロウが元愛妻のサディ・フロストを捨ててシェナに走ったりしなければ、こんなに注目されなかったと思うんだけど、大体ジュードも何でこんな女に夢中になったりするかな。本作でも、一人で表情を強張らせてガードの固い女のフリをしているが、表面的にも内面的にも美しさを感じさせず、どーしてこんな女のためにヒースは苦労するかなぁと、そこが最大の疑問だった。しかし、次回作の 『FACTORY GIRL』 では批評家絶賛でオスカー候補になるかもしれないとか。頼むから、「演技できないと思ってた女優がそれなりに演技できると分かるとノミネート」 っていうパターン、やめてくれー