007/カジノ・ロワイヤル CASINO ROYALE

 

directed by Martin Campbell

cast : Daniel Craig  Eva Green

Mads Mikkelsen  Judi Dench

Jeffrey Wright  Giancarlo Giannini

Jesper Christensen  Simon Abkarian

Ivana Milicevic  Caterina Murino

Sebastien Foucan  Isaach De Bankolé

('06 12 03)

 

 

 ピアース・ブロスナンからボンド役を引き継いだダニエル・クレイグは、公開されるまでは007ファンからブーイングの嵐だったが、いざ公開されると絶賛の嵐だった。以前トム・クルーズが 『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』 で主役を演じると発表された時、原作者のアン・ライスが 「原作のイメージと違う」 と批判し続けたのに、公開されるや 「トムが素晴らしい」 と新聞か何かにコメントを出したのと似ている。それ自体、既に宣伝の一貫なんじゃないかという気がしてしまうが、実際にダニエル・クレイグは良かった。これだけの重圧とバッシングの中、よくぞここまでやったという感じだ。

 

 今回は007の醍醐味、スパイの小道具とかがあまり活躍しないのだが、原作シリーズ1作目の 『カジノ・ロワイヤル』 はジェームス・ボンドが007になるまでの物語ということで、ある意味、これまでのイメージのボンドじゃなくてもいいわけだ。それって007映画じゃないじゃんと言ってしまえばそれまでなんだけど、単純にアクションがキマってるアクション映画を観るのは楽しいわけで。話によると、今回はVFXをほとんど使わなかったというが、確かに生身のカラダは違うなぁと思える、会心のアクションだ。その意味で、本作ではクレイグの体のキレが物を言います。激しいアクションシーンではカラダ張ってます!てのが全身から伝わってくるし、普通に歩いてる姿もキマってて、ちょっとマンガ路線だったピアース・ブロスナンのボンド(それも悪くなかったが)とは全く違う、生身のスパイ的なボンド像を作り出しているのだ。銃を構えても、鉄骨の上を走ってても、暴走するトラックにしがみついてても、そしてポーカーで真剣勝負をしてても、とにかくキマってます。サマになります。そしてラストでは例の決めゼリフ。次回作も続投ということで、今度はどんなボンドを演じてくれるのか楽しみだ。

 

 アクションシーンで一番興奮したのが、しょっぱなの工事現場鉄骨アクションシーン。おいおい、追われる方は何でそんなとこに逃げるんだというツッコミも適度に入れられつつ、これぞ本物のアクションと堂々と言えるシーンの連続で、いきなりアドレナリンが大放出だ。その後はボンドの運命の女とのロマンス、ある意味アクションシーンよりドキドキするポーカーシーンなどなど、色んなストーリーが絡んでくるのだが、単純にアクションだけなら、この鉄骨アクションが一番。ここ数年ではベストのアクションシーンだね。キャスティングでは、悪役のマッズ・ミケルセンはハマってたし、エヴァ・グリーンの欧州の女性ならではの艶やかな美しさは本当にため息が出そうだった。ジェフリー・ライトは、出番が少なくてちょっと残念。

 

 それからもう一つ、スパイ映画で楽しいのは世界各国でのロケ。今回もバハマ、モンテネグロ、ヴェニスと、目にも美しい観光地の擬似観光が体験できます。いやー、早くヴェニスにも行きたいし、モンテネグロもにも是非一度は行ってみたいなー