ダーク・ウォーター DARK WATER


directed by Walter Salles

cast :  Jennifer Conelly  John C. Reilly
Pete Postlethwaite  Tim Roth
Dougray Scott  Ariel Gade
Camryn Manheim  Perla Haney-Jardine
('05 11 19)


 鈴木光司原作、中田秀夫監督という、『リング』 を産み出した日本のホラー映画界最強のコンビの作品、『仄暗い水の底から』 のリメイクである。監督が 『モーターサイクス・ダイアリーズ』 のウォルター・サレスというのが意外な人選だったが、ただのホラーに終わらない、ちゃんとしたドラマとして成立させていて、これが正解だった。

 離婚した夫との親権争いに疲れているっていうのに、引っ越した先で水漏れに悩まされたり、上の階に住んでいた女の子の幽霊を見たりする主人公を演じるのは、ジェニファー・コネリー。情緒不安定な役ならお任せのコネリーが恐怖体験に苛まれるんだから、スクリーム女優と違って説得力は抜群だ。だが、それだけじゃない。コネリーは、娘を守ろうとする母親の繊細さ、強さを演じて、ただのホラー映画にはしたくなかったサレス監督の期待に見事応えている。自分が母親に捨てられたからこそ、自分の娘は守りたい。彼女の演技力があってこそ、最後の恐怖のクライマックスでさえもドラマになった。オスカー女優の看板も伊達じゃない。コネリーの娘を演じる子役もなかなか上手くて、この母娘のドラマが映画の核にちゃんとなっているのだ。

 ワキを固めるメンツには、ジョン・C・ライリー、ピート・ポスルスウェイト(久々)、ティム・ロスと、手堅い名脇役が揃っていて、観てて安心だが、彼らより更に演技になっているのが、舞台となるルーズベルト島だ。ニューヨークから地下鉄で数分のその島が、雨に濡れた陰鬱な雲で覆われた姿は、それだけで不気味で、絵になっている。この映画にこれ以上ないナイスなロケ地。ベニチオ・デル・トロがオスカーを受賞した時の 「映画はロケ地で決まる」 という、若干意味不明なスピーチはこういうことか?





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