ファインディング・ニモ FINDING NEMO


directed by Andrew Stanton & Lee Unkrich

voice :  Albert Brooks  Ellen DeGeneres
Alexander Gould  Willem Dafoe
Brad Garrett  Allison Janney
Austin Pendleton  Stephen Root
Vicki Lewis  Joe Ranft
Geoffrey Rush  Elizabeth Perkins
Nicholas Bird
('03 12 30)



 ピクサーの前作、『モンスターズ・インク』にはイマイチのりきれなかった僕なので、今回の『ファインディング・ニモ』には多少疑心暗鬼で臨んでいたのだが、今回は心配無用。そんなに大きな感動とか余韻が残るわけではないが、海の世界(とニモが捕まった水槽の世界)を堪能しながら一緒に冒険してる気分になって楽しんでました。(言い過ぎかな)

 主人公はカクレクマミノの親子。あの、イソギンチャクの中にいるちっちゃな魚だ。あの魚が大海原を冒険しようっていうんだから、そいつはすごいアドベンチャー・ストーリー。母親を亡くした息子のニモを男手(?)一つで育ててきた心配性の父親マーリンは、好奇心いっぱいの年頃のニモが危険いっぱいの海でどんな目に遭うのか気が気でない。そしてマーリンの心配をよそに無茶しでかしたニモは、人間のダイバーに捕らえられて狭い水槽の中に入れられてしまう。さぁ、息子を取り戻すためのモーリンの冒険が始まる!

 まず、純粋に海の世界をこんなアニメーションで見せてくれることが嬉しい。冒頭、水中をイソギンチャクの触手がユラユラゆれるのを観ているだけで、既に心は海の中。また、海という、生態系がいくつもある舞台を十分に活かしたバラエティーに富んだキャラクター達の愛らしさも楽しいし、何より、彼らが登場する一つ一つのエピソードが全然飽きないのだ。ピクサーと言えば短編アニメで実績をあげてきたというだけあって、短いエピソードの見せ方が上手い。ニモが捉えられた水槽という狭い空間でさえも、こんなにアドベンチャラスなものになるなんて!

 『モンスターズ・インク』や『シュレック』でも思ったように、ここまで技術的に見事になってくると、実写映画と同じか、もしくはそれ以上のストーリー、演技、演出を期待してしまうのだが、今回もその点ではちょっと惜しい。もうちょっと脚本に一ひねり欲しいかなー、なんてついつい欲が出てしまう。魚や鳥たちの、さらにはにっくき人間たちの演技は完璧なんだけどね。ただ、『モンスター〜』と一味違うのが、マーリンのキャラクターだ。心配性で、わかっていてもついつい過保護になってしまう父親。こういう父親、人間でもいるし、そういう親心ってあるよね。んでマーリンの声をアルバート・ブルックスがやってるもんだから、あー、わかるなーみたいな。そういう点、魚が主人公でも上手く擬人化出来ていて、大人でも楽しめるようになってると思う。後、音楽をトーマス・ニューマン(『アメリカン・ビューティー』)に変えたのも正解。

 ところで、『ファインディング・ニモ』を既に観たアナタ。一番お気に入りのキャラは何ですか?僕は迷わずヒトデとカモメ・・・・・なんだけど、シルエット・クイズの魚たちも捨てがたいなぁ。ちなみに、ドリーみたいなメメントな旅仲間がいたら僕ならきっと邪魔で邪魔で見捨ててしまうでしょう。







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