ギャラクシー・クエスト

　こんなに面白いのに、渋谷だけで単館上映なんてもったいない！『ギャラクシー・クエスト』は愛すべき素晴らしい映画です。観てない人は絶対に観るべし！

　人気ＴＶシリーズの『ギャラクシー・クエスト』のキャストたちが、本物の宇宙人に本物の宇宙船隊員だと勘違いされて、宇宙に行って悪者を倒せっていう、なんかハナシだけだとすんげーバカに聞こえるかもしれない。いや、実際バカなんですけど。だけど、おバカなギャラクシー・クエストの乗組員たちが真剣になって仲間を助けようと必死になる姿は、そんじょそこらの感動路線アクション映画なんかより全然泣けてくる。そしてＴＶシリーズのギャラクシー・クエストの大ファン（マニアとも言う）な少年たちの目の輝きと言ったら！彼らも、ピンチに陥ったギャラクエの乗組員を救うために、もう必死だ。必死だけど自分たちが彼らを助けてるっていう実感が、もうたまらなくって、何がなんだか、とにかくどうにも止まらない状態。わかるなぁ、そういうの。登場人物たちが真剣なのがすっごいおかしいのに、そのおかしさをすっごくまじめに称えあげてる、つまり彼らを愛してる優しい視点が『ギャラクシー・クエスト』のいいところなんです。

　そして彼らを演じる俳優たちの素晴らしさだ。役者のプライドと意地の塊だったのが、それを捨ててトカゲ・ヘッドになりきって体当たりで戦ってみちゃったりするアラン・リックマンをはじめ、乗組員たちが役へなりきっていく姿には感動すらしてしまう。みんなイキイキとしてくるんだもん。シガニーなんか、命令を繰り返すだけのお色気女優（胸にシリコン!）を喜々として演じてて（シガニーが「この脚本家は殺してやる！」と叫ぶシーンは最高におかしい）、みんな、自分の役柄をすごく愛してやまないんだろうな、きっと。こういう映画に出演するってだけで、彼らの俳優としての良さがわかるってもんだ。シガニー、やっぱり懐の広さが違います。

　他にも、ギャラクエマニア少年たちの輝かしい顔は勿論で、助けを求めてくるサーミアン星人たちのマニアぶりも涙もの。なんてったって、彼らの星では『ギャラクシー・クエスト』が歴史的ドキュメンタリーなんである。彼らはギャラクエを研究しまくって、全く同じ宇宙船を作ってしまっているのだ。そしてギャラクエの乗組員たちを最後まで信じて尊敬している。その信念の大きさにもやっぱり感動！
　それでいて脚本も良く出来てるから、笑えて感動する、すごくハッピーな映画だ。ラストの爽快感もたまりません。そうそう。このＢ級っぽさ（スター・トレックだ！）を演出する見事なＳＦＸも必見。久しぶりに映画を「楽しんだ」って感覚だった。うぅ、もう一回観たくなってきたぁっ。