ハンニバル HANNIBAL


directed by Ridley Scott

cast :  Anthony Hopkins  Julianne Moore
Gary Oldman  Ray Liotta
Giancarlo Giannini  Frankie Faison
Ennio Coltorti  Francesca Neri
Bruno Lazzaretti
('01 04 20)



警告!

ネタバレしないように書いてますが、
観てない人は観てから読んだ方がいいかも。




 グロい!グロ過ぎる!これに尽きるでしょ、この映画は。そしてタイトルからも分かる通り、今回はひたすらレクター!レクター!

 前作『羊たちの沈黙』で看守の顔を食いちぎって逃げた、映画史上最も知的な殺人鬼ハンニバル・レクター(ご存知アンソニー・ホプキンス)。ここ数年は人も殺さず隠遁生活を送っていたレクター博士だが、そんなある日、クラリス(大好きジュリアン・ムーア)がヘマをやらかしてピーンチ!てなことを知った博士は、いてもたってもいられなくてクラリスに手紙を出す。ひょっとしたらクラリスはまだ自分の担当かもしれない。だったらいいなっ。手紙を受け取ったクラリスも俄然アクティブになり、昔の思い出(面会のビデオやらカセットやら)に浸ったりして、二人がデキてると周りが思うのも無理はない。折りしも、賞金狙いでレクターを捕らえようとしたイタリアの刑事(ジャンカルロ・ジャンニーニ)が博士に近づいてきた。食指が動き出す博士。さぁ、『ハンニバル』の見せ場はココから!

 つまり、レクター博士がどうやって気に食わない人間を手にかけていくか? 物語はこれを軸に進んでいくのだ。これはスゴイ。観てない人のためにあんま書かないけど、ちょっと趣味が良すぎます、レクター博士。でもちょっと待てよ。オペラとダンテとホプキンスの知的さにごまかされてるけど、これじゃぁただのホラー映画じゃないか?リドリー・スコットもエライ映画撮ったなぁ。

 というわけで始終ホプキンスの狂いっぷりに圧倒される2時間ちょいの間、クラリス役のジュリアン・ムーアにたいした出番はなかった。唯一、晩餐会で黒のドレスに着替えていたのが見せ場くらいで、しかも、出番が少ない上に、ほとんど余裕がなさそう。決して知的な女性を演じられない女優ではないのに、行動に全く知性が感じられないのはなぜー。とても優秀なFBI捜査官にも見えず、彼女らしさが全然活かされないし、影も薄い。何か損した気分・・・。だけどレクター博士的には、久しぶりに会ってみたらクラリスが色気タップリになってたんで興奮したんでしょうか。気絶してるのをいいことに思わずセクシーなドレスを着せちゃうのでした。そうかぁ。そんなにクラリスのことが好きですかぁ。

 それにしてもゲイリー・オールドマンだ。レクター博士に言われて自分で顔の皮を剥いで犬に食わせた大富豪役なので、すんごい特殊メイク。識別できるの声だけ。彼がキャストに加えられていることは極秘で撮影が進められるはずだったが、プロデューサーが製作記者会見でいきなりバラしちゃってオールドマンが怒ったという話だけど、言ってくれなきゃオールドマンだなんてわかりませんぜ。面影一つも残ってないもん。しかも、これまた映画史上に残る最悪な最期を迎えたりして、ちょっとあのシーンはビジュアル的にヤバかったです。

 結局、観終わった後に残るのは画面上のグロさで、心理的な恐怖を味わうことはない。リドリー・スコット監督の映像テクは健在で、ホプキンスも余裕で上手いけど、何だか表面的なものに騙された気分だ。でも、やっぱりレクター博士の殺し方には目を見張っちゃうね。それをまんま映像化したってだけで、ひたすら感服。だって、フィレンツェはサンマルク広場のシーンと、【~―(・・)―~】の大群、そして例の晩餐のシーンは絶対脳裏に焼きついて離れなだそうだもん。





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