アイ、ロボット I, ROBOT


directed by Alex Proyas

cast :  Will Smith  Bridget Moynahan
Alan Tudyk  James Cromwell
Bruce Greenwood  Adrian L. Richard
Chi McBride  Fiona Hogan
Shia LaBeouf
('04 09 19)



 ロボットがゴミを捨て、ロボットが犬の散歩をし、忘れ物をすればロボットが届けてくれる。ロボットが人間の生活に浸透し、その一部となった2035年、シカゴ。新たな次世代ロボット、NS−5が発売される前日に、ロボット・テクノロジーの創設者にして、ロボット3原則の提唱者、ラニング博士が自殺した。彼の遺志で呼び出されたのは、ロボットにトラウマを持つスプナー刑事(ウィル・スミス)。彼の部屋にいたNS−5型ロボットのサニーはラニングの死に関わっているのか。ラニングの死は本当に自殺なのか。

 という話の中身は(小難しく考えようと思えば考えられるけど)大したことないし、謎解きもイマイチなんだが、ストーリーの中でのサニーの位置づけが上手いので(都合がいいとも取れる)、話には意外に飽きない。正直、アクションには途中まで不満が残ったのだが、それでも、予告編のクライマックスのシーンが前半でほぼ出尽くしていて期待が持てる。デジャブのようなラストを迎える心配はないわけだ。そうこうしてるうちに、スミスの車をロボットの群れが襲うシーンに、おぉっ。ロボット怖ぇ〜。そして映画も終盤で、前半の思わぬ伏線が効果を発揮する。そこからラストに向けてのシークェンスに、大満足! 舞台となる空間の構成を活かしたアクションに、『ヴァン・ヘルシング』 でもそうだったが、最近じゃぁ人間同士の闘いだけでは飽き足らないのか、ロボット VS ロボットという、いかにもヴァーチャルなシーンも楽しめる。そして、ツボを抑えた王道を行くクライマックス。こういうベタなの久しぶりー。やられたー

 ロボットの造形が、今までになく妙に人間的で怖い。話の鍵となるロボット、サニーは、実際に一人の俳優(アラン・テュディック)が演じて、それをCGで取り込むという、『ロード・オブ・ザ・リング』 のゴラムと同じパターンだ。おかげでゴラムは人間的な命が吹き込まれたが、サニーの場合は逆に俳優の演技を過剰に取り入れずに、人間を真似る機械っぽさがよく出ている。そのロボットさ加減がリアルで、かえってゾクッとする。先にも書いた、前半の伏線が活きてくるシーンの面白さは、サニーの表情のロボットっぽさ+人間っぽさの妙ゆえだと思う。後、ロボットが大群でビルに登ったり襲ってくるシーンは、人間っていうより生き物っぽいというか、昆虫が群れをなして襲ってくるみたいで、やけに不気味。こうなってくるとロボット映画じゃないね。構図だけなら、この後に見た 『バイオハザードII アポカリプス』 と一緒だ。

 コンスタントに年に1本、確実に話題作に出演しているウィル・スミスだが、こういうスリラーものは意外にも2本目。確かにスミスと言えば、出世作が出世作だからか、調子のいい絶好調野郎のイメージが強いが、シリアスなキャラクターもソツなくこなせている。『アリ』 ではオスカー候補にもなって、今回もほぼ1枚看板だし、気がつけば随分芸域の広いスターになったもんだ。主人公の添え物的ヒロインが板についてきたブリジッド・モナイハンは、今回も見せ場あまりなし。ブルース・グリーンウッドの顔は見るからに悪役っぽくてすごい。ジェームズ・クロムウェル、もう貫禄ですね。





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