アイアンマン IRON MAN

 

directed by Jon Favreau

cast : Robert Downey Jr.  Jeff Bridges

Gwyneth Paltrow  Terrence Howard

Leslie Bibb  Shaun Toub

Faran Tahir  Clark Gregg

Paul Bettany  Samuel L. Jackson

('08 10 13)

 

 

 最近ブームのマーヴェル・コミック原作のアメコミ映画と言えば、そのブームの先駆けだった 『スパイダーマン』 のように、主人公がヒーローたる自分の存在意義に悩むのが定番だ。今年公開された 『ダークナイト』 や 『インクレディブル・ハルク』 でも、クリスチャン・ベールやエドワード・ノートンが 「俺って何者?」 と悩みまくっていた。けどアイアンマンは違うのだ。そんな内面での自分探しでうじうじ悩んだりせずに、世のため人のためと迷わずパワードスーツを身につけて悪者を倒しに空を飛ぶ。なんたって、自分で無敵のパワードスーツを造って自分からスーパーパワーを持つロボットになるんだもの。この爽快感は今までになかったアメコミ映画のパターンだなー。

 

 アイアンマンことトニー・スタークの本業は、巨大軍事企業スターク社の社長にしてアイディアマン。アフガニスタンでテロ組織に拉致された彼が、その頭脳を活かして脱出するために作った人工心臓とロボットスーツがアイアンマンの原型なのだが、そのスーツを作っていく過程や、脱出に成功してアメリカに戻った彼がスーツを改良していく作業を観ているのが楽しかった。映画の半分くらいがそれに費やされてるんだけど、テクノロジーを駆使してるのに手作り感があり、アイアンマンが生まれていく過程を一から見てるみたいでワクワクするのだ。そして完成型の赤いスーツのアイアンマンが初めて戦場に登場した時のカッコよさと言ったら! スーパーヒーローはやっぱりこうでないと。やっぱりカッコよくないと。

 

 トニー・スタークを演じるロバート・ダウニー・ジュニアは、アイアンマンになる前のヘラヘラした女遊び好きの社長姿も彼らしくてハマっていたけど、後半、自らの責任に目覚めて怒りに震える姿は全然違うオーラになっていて、さすが幅の広い役者だなぁと感心した。秘書役とのグウィネス・パルトロウとの掛け合いではウブな男心も見せたりして、こういう演技派の人が遊び心のあるアメコミ映画に出てくれるっていうのは本当に心強いね。同じく心強いのが、トニーの腹心を演じるジェフ・ブリッジスだ。頭を丸めて悪役感たっぷりの演技はもはや貫録の域。その迫力に、またもやカッコいいの一言だ。悪役はやっぱりこうでないと。こんな演技派2人が、アメコミ原作の娯楽映画で対決するという構図が贅沢というか、たまらないというか。早くも続編製作が決定してるようなので、また続編で誰が悪役に扮するかが楽しみです。