ミニミニ大作戦 THE ITALIAN JOB


directed by F. Gary Gray

cast :  Mark Wahlberg  Charlize Theron
Donald Sutherland  Jason Statham
Seth Green  Mos Def
Edward Norton
('03 06 22)



 一見、よくこんな邦題をこんな時代につけたなと思うが、これは1969年にマイケル・ケイン主演が主演した 『ミニミニ大作戦』 のリメイク。とは言っても、キャラクターの名前とミニ・クーパーという設定だけを拝借しただけで、ストーリーはオリジナルという本作。そして今回主役を演じるのはマーク・ウォールバーグである。金の延べ棒を華麗な手段で盗み出す窃盗集団のリーダーを演じるには、華も余裕もないウォールバーグ。始終いっぱいいっぱいで、彼が 「想像力豊か」 だとか、「カリスマ性がある」 だとか言われるたびに、こっちが階段を何段も踏み外した気分になるウォールバーグ。登場シーンでこれほど胸の躍らない主役もそうそういないだろー。

 ウォールバーグと一緒に延べ棒を盗み出すのは、『裏切り者』 仲間のシャリーズ・セロンに、ジェイソン・ステーサム(『スナッチ』)、セス・グリーン(『ラットレース』)、モス・デフだ。そこにエドワード・ノートンが敵役で絡み、ノートンはまたしてもクドさ若干アリだが、なかなかのメンツが揃っている。みんなでウォールバーグをサポートしてあげちゃってる状態だ。実際、ウォールバーグの役柄が何か役に立っているかっていうと、そんなこともないのがポイント。よくみんな、こんな頼りないリーダーの言うこと聞くよなー、なんて思うのであった。

 監督が傑作サスペンス、 『交渉人』 のF・ゲイリー・グレイなんだが、今回は前半がかなり緩い。比較的どうでもいい伏線や、感情吐露に付き合わされる。が、ミニ・クーパーが登場してからはぐいっと面白くなった。特に延べ棒を盗み出す下りの、泥棒映画独特のスリルとドキドキ、そして溢れる疾走感には思わず笑みを浮かべてしまうのである。もう、この映画の魅力はそこに尽きる! 荒唐無稽な強盗手段も許してしまうノリの良さ。ここまでやっちゃえば、こっちも色々忘れて楽しめるというものだ。そしてここでもミニ・クーパーを自在に運転するウォールバーグに違和感を覚えるワタシ。シャリーズ・セロンはこんなにカッコよくハマってるというのに、この拭いきれないドン臭さは一体なんなのか。なんだか 『ボーン・アイデンティティー』 のマット・デイモンを思い出してしまった。仮にデイモンとウォールバーグが組んでアクションなんかやろうものなら・・・・・・・・ というか、この映画の主役がウォールバーグじゃなければ・・・・・・





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