呪怨


監督 : 清水 崇

出演 :  奥菜 恵  伊藤 美咲  上原 美佐
市川 由衣  津田 寛治  柴田 かよこ
菊利 友佳子  松田 珠里  田中 要次
森下 能幸  榊 英雄  松山 鷹志
尾関 優哉  藤 貴子  石倉 力
磯村 千花子  本田 大輔  井上 博一
藤井 亜紀
('03 04 05)



 「呪怨」 とは、強い怨念を抱いたまま死んだモノの呪い。それに触れたモノは命を失い、新たな呪怨が産み出される・・・

 『リング』 などでおなじみの、いわゆる理屈のない恐怖というヤツだ。何が何だかわからないけど、呪怨のうずまく家に関わった人々が、突然現れる白塗りの子供と女に叫び、おののく。ひたすらコレ! ひたすらコレなんだけど、その怖がらせ方が上手くって、例えばとんでもない格好で階段を這いながら降りてくる血まみれ女を目の当たりにするのも怖いが、それよりも、ふっと何かが横を通り過ぎたような気がする瞬間。それが観ていてコワイ。スクリーンを白い子供が横切ったり、エレベーターのシーンや、ドアに子供がちらっと映ってるシーンなんか、うぉっと思いつつも、ウマイ! と唸る。いやー、僕らも何かヘンな空気を感じる時って、実は彼らがいるのかも。観た後、一人で夜のエレベーター乗れなくなりそう。こう、瞬間的じゃなくて、ぞわっと来るコワさなんだよね。なんかクセになりそう。もっと怖がらせて!みたいな(笑)

 呪怨におののく登場人物が何人かいて、それぞれのエピソードが別々に語られるのだが、ただ適当に話しを並べてるんじゃなくて、その構成も上手いし、余計な説明的セリフもなし。うまくエピソードをつなぎ合わせて、さりげないところでこちらに情報を与えてくれるのがイイ。怖がる人たちも皆、怖がりながらも観てるこっちも怖がらせてくれる。なかでも奥菜恵の上手さ! 今までテレビで観て一度も彼女がイイと思ったことはなかったが、初めて上手いと思った。この人、やっぱり映画や舞台向きだね。テレビだとクドくってクドくって。それに、やっぱりホラーは女優。男がやっても、勿論上手ければいいんだが、あまり説得力がない。おまえ、男のクセに何やったんだよとツッコみそう。って、自分が白塗りの女と子供を目の前にしたら一目散に逃げるんだろうが。

 残念なのは、本編のクライマックスのほとんどが予告編に使われてしまってること。それって一番やっちゃいけないことの一つなんだけどなー。けど、一度観ててもやっぱりコワイって、やっぱり小手先じゃなくて 「映画」 としてじっくり怖さを見せてくれるからだと思う。この夏には 『呪怨2』 が公開されて、ハリウッドでは清水崇監督本人によるリメイクが決定(製作はサム・ライミ!)。どっちも楽しみ。特にハリウッドで本人がリメイクっていうのは、不安でもあるし、期待も大きい。果たしてキャストは誰になるのか? 新人か? それとも実力派若手か? 脚本はどこが変わるのか? またハリウッドの新作に、一つ楽しみが増えた。嬉しいことだよね、これって。





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