感染


監督 : 落合 正幸

出演 :  佐藤 浩市  高嶋 政伸  南 果歩
木村 多江  真木 よう子  星野 真理
佐野 史郎  羽田 美智子  草村 礼子
モロ 師岡  山崎 樹範
('04 10 10)


予言


監督 : 鶴田 法男

出演 :  三上 博史  酒井 法子  井上 花菜
吉行 和子  山本 圭  堀北 真希
小野 真弓  鶴水 瑠衣
('04 10 10)



ネタバレの宝庫です
本気で怖がりたい人は観る前に読まない方がよいかと。


 『呪怨』 や 『リング2』 がオリジナルの監督の手でハリウッドでリメイクされたり、『仄暗い水の底から』 がジェニファー・コネリー主演でリメイクされたりと、日本のホラーの勢いが更に加速してるこの御時世。その流れに乗らんと、Jホラーシアターなんて銘打って、6本もホラー映画を作ってしまおうという企画の第1弾である。それよりも、残りの4本の企画がちゃんと立っているのかどうか心配。

 『感染』 は、経営難のために注射用のシリンジまでも底を突き始めているという、医療従事者としては 「んなバカな!」 なツッコミをせずにはいられない病院を舞台に、伝染経路も何もわからない謎の病原体による感染を描くホラーだ。と書くと、結構まともな話に思えるが、実はそうでもない。病原体に感染すると緑の血が流れたり、死んだと思ったら肉体が蘇ったり、ちょっとスプラッタ入ってます。舞台が舞台なので、針とか血管とかよく出てくるし。

 そんなスプラッタ映画に全力で挑む演技陣が、もー素晴らしくって。星野真理の、ダメダメ新人ナースから、恐怖の針刺しナースへの変身は見事だし(写真↓)、草村礼子の静かな不気味さはさすが。まさか、高嶋政伸が白目のコンタクトレンズして緑の流血沙汰になるとはね。そして、その頂点に立つのは文句ナシで南果歩だ! しょっぱなからくたびれた婦長役がやたら似合ってたが(おばさん役やるようになったのね・・・)、中盤からどんどんすごいことになってきます。あわれ謎の病原体に感染した南果歩、針がいっぱい入ってるゴミ箱に手を突っ込んで血を流したかと思えば、今度は器具と一緒に熱湯で両手を煮沸消毒(ナースステーションで煮沸消毒なんかするかい!)。感染したと分かるとビニール袋でベッドをくるまれ(そんなんで予防できるか!)、いつの間にか暗闇の病室で復活し、しまいにゃぁ、そこで出てくるか南果歩! みたいな。いやー、あっぱれ。今年のホラークィーンは満場一致で南果歩だね。そこまでやらせた監督と、そこまでやったアナタ、二人ともエライ!

 謎の病原体に感染した患者が運ばれてくると同時に、病室で急変が起こるという設定が、話を長くしていると同時に、それなりに単調な話にならないようにもしている。この急変時の医師や看護師の対応は、比較的グッドであった。婦長の南果歩が、チューブに酸素をつながないで一生懸命バッギングしてるのには驚いたが、心室細動になると除細動(電気ショック)という流れはお見事(2回目の放電の前にパッドを体から離さないと、なお良い)。そんな救急の現場で起こるのは、医療事故のお手本のような、塩化カルシウムと塩化カリウムの打ち間違い。あぁ! その色はカリウムだよ! そんな適当な指示で注射しちゃダメだよ! と、佐藤浩市より先にドキドキしてしまった。医療従事者としては、ここのシーンが見てて一番ハラハラして怖かったです。

 『予言』 のことを書く紙面がなくなっちゃいましたが、あんまり面白くなかったな。下手にドラマ的要素を盛り込んじゃったもんだから、話の収拾がつかなくなっちゃって。三上博史と酒井法子がラブシーンやり始めた時は、どーしよーかと思いましたね。酒井法子は 『呪怨2』 に続いて、今回もダメでした。リアルな役やらせると、どーもハナにつく。小野真弓とコンビ組んでると 『恋のから騒ぎ ドラマスペシャル』 を思い出しちゃうし、そっちの方が面白かったし。三上博史の過剰演技は笑えました。もう、しょっぱなから。それが観たくて行ったんだけどね。





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