ニューヨークの恋人  KATE & LEOPOLD


directed by James Mangold

cast :  Meg Ryan  Hugh Jackman
Liev Schreiber  Breckin Meyer
Natasha Lyonne  Bradley Whitford
Paxton Whitehead  Spalding Gray
Jos Stamberg  Matthew Sussman
Philip Bosco
('02 07 01)



 1876年、2001年マンハッタン。2つの異なる時代が結ばれた瞬間、そこに恋が生まれる・・・

 『ニューヨークの恋人』 は、19世紀の公爵レオポルド(ヒュー・ジャックマン)が突然原題のNYにタイムスリップしてしまい、現代マンハッタンのキャリアウアーマン、ケイト(メグ・ライアン)と恋に落ちるという、メグ・ライアンまたかよ的なラブストーリーである。おしどり夫婦だったデニス・クエイドと離婚し、ラッセル・クロウと不倫騒動なるも、クロウにぽいと捨てられ、当時 「もうロマコメは出ない」 と言っていたメグ。しかし結局、「やっぱりロマコメに食指が動いてしまうの」とは本人の弁。あの顔でメグももう40歳。ある意味正しい選択だ・・・・・が、前半、仕事に恋に疲れ気味のケイトを演じるメグを観ていると、その寂しさっぷりがリアル過ぎて痛々しい。ファンタジックなラブコメものはそろそろ限界なのか・・・。

 このタイムスリップ恋愛、邦題 『ニューヨークの恋人』 では全くわからない。原題もそこらへんを放棄している。というか、ストーリー自体も放棄している。もう時間軸狂いまくりで、つじつま合わせなんかする気ゼロ。あまりに強引であっさりしたラストの後、突然エンドクレジットで流れるスティングの主題歌。あらら。スティングの歌声が映画の中で一番雰囲気出てるよー(笑) それに、タイムスリップを絡めることによるスピード感もなし。結局、メグ・ライアンちっくな夢のようなおとぎ話恋愛を大胆にも(無謀にも?)現実世界に持ってきただけの映画だ。これなら、レオポルドは1976年から来なくてもいいだろーに。時代遅れの現代のヨーロッパ貴族だったとしても話は進んでしまうぞ。

 ヒュー・ジャックマンの名が知れるようになったのは 『X−メン』 だ。ジャックマンは、Xメンの一人であるウルヴァリンを荒々しく演じたが、今回はそれとは180度違ったレオポルド役を丁寧に演じている。18世紀の公爵は、女性に礼儀を尽くし、恋に落ちた相手には恋文を書き、誠意を持って気持ちを伝える。その誠実さにケイトも惹かれていくわけだが、レオポルドのセリフは一歩間違ったらクサクサになりそうなものばっかりである。というか、現代の男が言ったら、むしろ笑いを取ってるくらいに思われそうなくらい真っ直ぐ。けど、18世紀の公爵にしてみればそれが当然なのであって、作られた誠意あるセリフではなく、心から誠意のあるセリフなのだ(現代の男が言うとしたら作られてる感がたっぷりになるでしょ)。だから観ていて違和感がない。ケイトが恋に落ちるのもわかる気がする。そして、それを嫌味なく、さり気なくこなすジャクマンの魅力。女性にだけでなく、友人にも親切で、好きな相手に気持ちを伝える手ほどきまでしてくれる。このシーンの微笑ましさ! こんな男、現代にいたらモテモテだろうなぁ、と思ったが、よく考えれば18世紀でもモテモテだったのだ(良い相手が見つからなかっただけ)。いつの時代も、男は相手に誠実であるべき、ってことか。

 そっか。ラブコメじゃなくて、そんな映画だと思って観ればもうちょい面白かったかも。それなら、別にメグじゃなくてもいいぞ。しつこいようだが、メグらしさが全然活かされてない。次回作はジェーン・カンピオン監督(『ピアノ・レッスン』)の官能スリラー。・・・・・・・・・・・





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