リトル・ミス・サンシャイン LITTLE MISS SUNSHINE

 

directed by Jonathan Dayton & Valerie Faris

cast : Abigail Breslin  Greg Kinnear

Toni Collette  Paul Dano

Steve Carell  Alan Arkin

Jill Talley  Justin Shilton

Beth Grant  Paul Newsome

Lauren Shiohama  Matt Winston

('07 01 06)

 

 

 ちょっと変わり者のキャラクターが登場する家族モノって最近流行りなんだろうか。最近では 『サムサッカー』 や 『イカとクジラ』 という映画が公開されたけど(どちらも観てない)、その手の映画の中には、強烈なキャラクター達にストーリーが負けちゃってて、あまり面白くないのもあるから、実はちょっと警戒してしまう。そして、その手の映画の 『リトル・ミス・サンシャイン』 はやたらと前評判が高い。サンダンスでスタンディング・オーベーションだとか、今度のアカデミー賞の作品賞有力候補だとか。そういうのを聞くと、まぁまぁ面白かったぐらいだと白けちゃったりするから、ますます観るのが億劫になってしまう。しかも上映してるのが渋谷シネクイント。混んでたら立ち見もアリの劇場だ。映画好きなら必ず足を運ぶだろうから、何分前に並ばないといけないのか分かったもんじゃない。と思っていたら、指定席制の舞浜イクスピアリでもやっていることを発見したので、意を決して(←大袈裟)観に行ってきた。みなさんも、『リトル・ミス・サンシャイン』 を観に行くならイクスピアリがいいと思います。

 

 前置きが長くなったが、これが面白くて。キャラクターのズレ具合が演じる俳優にマッチして、みんな実際にいたらイヤでしょうがないヤツらだろうに、ちゃんと憎めないキャラクターになってるのだ。それは、登場人物紹介的な最初の数分だけでも明らか。そもそも、ゲイで恋人に振られて自殺未遂した伯父さんが一番まともに見えちゃう、この一家。演じるスティーブ・カレルも個性的な役者なのに、それに負けない他のキャストの 「普通のおかしさ」 がいい。両親を演じるグレッグ・キニアやトニ・コレットの絶妙な味つけは勿論だが、一番好きだったのが、喋らないでいちいちボールペンで会話する兄のドウェイン(ポール・ダノ、ナイス!)と、ちょいデブでミスコンを目指す、全然美少女じゃない妹オリーブ(オスカー候補になってもおかしくないカワイさ満点のアビゲイル・ブレスリン)の2人。この2人を観てると和むっていうか、応援しちゃうっていうか、何かいいんだよねー。実際、『リトル・ミス・サンシャイン』 の中の好きなシーンは、大体この兄妹のシーンだ(例えば下の写真のシーン)。あまりに不完全な大人たちを家族に持ってる子供も、大変だよねぇ。

 

 そんなダメ家族の再生を描きながら、人生の 「負け組」 の挫折を爽やかな後味で描き、かつ彼ら全員にちゃんとスポットを当てる脚本もまた上手い。セリフもいいし、小ネタが効いたり、ツッコミどころもあったりして、この個性的なキャラクターにピッタリの話だ。あまり事細かに書くとネタバレになっちゃうのだが、特に車の使い方、やるなー。こうするだけで車一つがキャラクターになっちゃうし、家族の話の作り方が全然変わってくるもんね。

 

 映画の終盤に登場する、オリーブが挑戦する少女版ミスコンが 「リトス・ミス・サンシャイン」 なのだが、それにエントリーしてる“ジョンベネ“的な女の子たちが、妙にリアルにミスコンっぽくて、面白いような怖いような。ああいうのを見てると、子供は子供らしいのが一番ですな。