モナリザ・スマイル MONA LISA SMILE


directed by Mike Newell

cast :  Julia Roberts  Kirsten Dunst
Julia Stiles  Maggie Gyllenhaal
Ginnifer Goodwin  Dominic West
Juliet Stevenson  Marcia Gay Harden
John Slattery  Marian Seldes
Donna Mitchell  Terence Rigby
('04 08 29)



 ジュリアも最早、女版トム・クルーズになってきた。どの映画でも、大口を開けてガハハ笑いをするジュリアでいられる。やっぱりスターはこうあるものなのね。

 1953年、米国一保守的と言われた名門女子大学のウェルズリー。そこにやってきたのは、UCLAを出たばかりのリベラルな女性美術史教師キャサリン、という役を演じるジュリア・ロバーツだ。優秀だけどクセモノ揃いの生徒達を相手に、オリジナルなスタイルで授業を始めるジュリア。次第にジュリアを敬愛する生徒も出てくれば、そのリベラルな姿勢に反感を持つ生徒もいて、お決まりのように理事会連中も良くない顔を見せる。“良き妻”育成学校に段々愛想を尽かし始めたジュリアは、生徒の前でも同僚の前でも、ところ構わず叫び始めます。ここで、いつものジュリア‘エリンブロコビッチ’ロバーツを拝めるワケだ。と同時に、生徒とジュリアの交流が描かれていた前半から一転して、ジュリア中心の映画に方向転換。繊細な演出と、俳優から絶妙な演技を引き出すことができるマイク・ニューウェル監督(次回作はハリー・ポッターの最新作)でも、ジュリアの大口にはかなわないのでした。さっすがジュリア。

 生徒達を演じるのは、カースティン・ダンスト、マギー・ギレンホール、ジュリア・スタイルズと、今が旬の若手大集合だ。ギレンホールの出世作 『セクレタリー』 は観てないのだが、現代にも通じる、ちょっとクセのある役を個性的かつリアルに演じていた。評価的には一番遅れを取っている(と思われる)スタイルズも、メキメキと頭角を現している。成績優秀で、フィアンセもいて、性格もいいジョーン役を、イヤミにならずに、地に足の着いた演技で見せている。逆に、やけにわかりやすくイヤミな女を演じるダンストは、上手いだけに見事にヤな女になりきっててかわいそう。ジュリアの保守的なルームメイト役のマーシャ・ゲイ・ハーデンも、やけにコミカルな役回り(と体型)で気の毒だ。まぁ彼女達は概して問題ないんだけど、どーしてもジュリアと別世界の演技に見えてしまう。そりゃジュリアはスターだから、当然っちゃぁ当然なんですけどね。

 「ジュリア・ロバーツ版 『いまを生きる』」 なんてどこかに書いてあったが、『いまを生きる』 とは違って、最後に学校側はジュリアが残ることを認める。が、それにはいくつかの条件があった。その条件をどうしても飲めないジュリアは、反抗しまくってたベティ(カースティン・ダンスト)にさえ尊敬されながら、ウェズリーを去る。自らの信条を貫くヒロインとしては妥当な選択かもしれないが、そんな構図をジュリアが演じると、ただのワガママに見えてしまうところがイタイ。自分の主義を曲げないことと自分勝手は紙一重ということがよーくわかります。確かに、ジュリアが 『いまを生きる』 をやったらこうなるな、と、妙に納得してしまうのであった。劇中で、ジュリアが恋愛関係になる同僚の教師が、「君は素晴らしいが、自分の価値観を人に押し付ける」 とジュリアに言うシーンがある。何を今さら。だってジュリアだもの。図々しいくらい押しつけがましい演技がウリなんだから。そう思ってみると、ジュリアを 『エリン・ブロコビッチ』 に起用してオスカーを獲らせたソダーバーグって、俳優の使い方が上手いなぁと再認識するのでした。あんなピッタンコの役、もう一生回って来ないんじゃない?





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