モンスターズ・インク MONSTERS, INC.


directed by Peter Doctor

voice :  John Goodman  Billy Crystal
Mary Gibbs  Steve Buscemi
James Coburn  Jennifer Tilly
Bob Peterson  John Rattzenberger
Frank Oz
('02 03 29)



 「モンスターは人間の子供を愛してはいけない」 モンスター・ルール第3条
                        (『モンスターズ・インク』の宣伝コピー)

 そんなの一度も出てこねーぞ。

 『モンスターズ・インク』がもし実写だったら?きっと脚本が陳腐で観てられなかっただろうなー。そう。この映画はCGアニメだから成り立っている作品で、結局その技術をウリにしているだけにしか思えない。

 モンスターズ・インクの社員モンスターのサリーとマイクは、会社の成績トップコンビだ。何の成績かというと、人間の子供を怖がらせて、その悲鳴をどれだけ集められたか。モンスターの社会では人間の子供の叫び声が電力となるのである。そして、モンスターは人間の子供に触れられてはいけない。なぜならモンスターにとって子供は汚染物質だからだ。そんなモンスター界に小さな女の子、ブーが入り込んでしまい、さぁ大変。2人は彼女を人間界に戻してやろうと悪戦苦闘・・・

 はい。もう話が読めましたね。単純です。そりゃそうだ。ディズニーだもんな。そもそも僕は、『モンスターズ・インク』のようなCGアニメを観てると、製作者側の技術の凄さだけを見せつけられてる気がしてくる。どうでしょう、今やここまで技術は進歩してるんですよ、みたいな。確かに、これ実写なみ、いやそれ以上だ、と思うシーンは多々あるし、サリーのライトブルーの毛に、その表情や仕草はまるでホンモノ。顔が一つ目のマイクでさえ、これだけ多彩な表情をするんだからたいしたもんだ(偉そう)。確かに楽しい。笑える(ちょっとだけ)。

 けど、それプラス、想像力をかきたてられるような映像があったり、キャラクターの感情を伝える脚本が『モンスターズ・インク』にはなくて、シンプルな構図のストーリーに、わかりやすい行動パターンの登場人物達。結局、キャラクターの行動がお子様の観客向けに作られてるので、すんばらしい技術についていくだけのオリジナリティがないの。そこらへん、一ひねりあった『シュレック』と違う。

 別にダメダメってわけじゃない。例えばモンスターの細かい設定は可笑しいし、サリーとマイクの掛け合いも、ビリー・クリスタル、ジョン・グッドマンという強力な声優によって味が出ている。物語の終盤でブーを人間界に返そうとする時、ちょっとした一連のアクションシーンが出てくるんだけど、ここがハイライト。遊び心のある設定のもと、唯一画面に釘付けになった。

 と難クセつけてますが、こういうの好きな人もいるんだろうな。羨ましいです。純粋な目で映画を観れるのは。何かもう、色々気になっちゃって。ラストも許せないし。ふあーぁ。





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