母親を亡くした後にやってきた17人のナニー(乳母)を、悪戯三昧でお手上げにして辞めさせてきた7人の子供たち。そんな彼らに頭を悩ます父親(C・ファース)の前に現れたのは、魔法の杖を一突きするだけで子供たちをしつけることができる、ナニー・マクフィーだった・・・・
というファンタジーで、タイトルトールのマクフィーを演じるのはエマ・トンプソン。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 で変装とファンタジーづいたのか、またまた変なメイクで魔法を使ったりして、なんだか楽しそう。しかも、『いつか晴れた日に』 以来の自分の脚本で、さぞかしノリノリだったに違いない。実際、トンプソン程の大女優(ということになってるはず)がこういう役を演じるのは、観てる方も結構楽しい。余裕のある大女優の強みでしょうか。
原作は60年代に書かれたイギリスの絵本で、それに惚れ込んだトンプソンが、自ら脚本を書いて映画化させたわけだが、例えアカデミー脚色賞を受賞したトンプソンが脚本を書いていても、やっぱり話は子供向けだ(それに、今回はトンプソンの脚本が上手いとも言い難い)。『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』 みたいな毒もないし。けど、マクフィーが供たちをしつけるのに魔法を使うのは、いかにもファンタジーで楽しいし、トンプソンやコリン・ファース、イメルダ・スタウントン、ケリー・マクドナルドといった演技派たちがこういうファンタジーに出てるってのも嬉しい。『ラブ・アクチュアリー』 で恋する少年をカワイく演じたトーマス・サングスターも好演してるし、他の子供たちも何気に芸達者だ。ケーキの投げ合いはドタバタ過ぎて白けてしまったが、それまでの原色をたくさん使った楽しい映像から一転したトーンのラストは、ファンタジーならではの映像の楽しさ。こういうの好きだなー。
ただし、最後でトンプソンが素顔になる展開は、さすがに唐突。特殊メイクで隠れた素顔を最後まで出さないではいられなかったのか、突然バッチリメイクの女優顔でスクリーンに出てくる。ヤボなツッコミとは無縁で過ごしていた1時間半から一転して、おいおい、どうしてだよとツッコミの嵐だ。ばあや体型も、なぜかスリムボディになって、しかもバックは純白のホワイト。脚本兼主演女優の特権なんでしょうけど、さすがに計算高さがハナにつきます。どうせなら最後まで特殊メイクで通さんかい。
嬉しかったのは、遊び心いっぱいのエンド・タイトルだ。観てからのお楽しみって感じなんだけど、『恋は邪魔者』 とか 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』 みたいなやつね。最近こういうの観てなくて、ちょっとウキウキしちゃいました。そう言えば、『レモニー・スニケットの〜』 のエンド・タイトルもこんなんだったな。やっぱり、ファンタジーは遊び心がちょっとあると違うね。
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