ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛

THE CHRONICLES OF NARNIA : Prince Caspian

 

directed by Andrew Adamson

cast : William Moseley  Skandar Keynes

Anna Popplewell  Georgie Henley

Ben Barnes  Sergio Castellitto

Peter Dinklage  Vincent Grass

Damián Alcázar  Pierfrancesco Favino

('08 07 13)

 

 

 1作目が全然面白くなかったので2作目を観る予定はなかったナルニア・シリーズ。たまたま何か観ようと思って映画を探したら上映時間5分前だったという理由で観に行ったのだが、前作に比べると全然楽しめた。前作より複雑な人間関係、見せ場たっぷりの壮大なアクションと、見所満載だ。1作目を観たことがあるのでナルニア国物語の無理な設定につまづくことなく、すんなりとおとぎ話の世界に入れたから楽しめたというのもあるかも。前作から引き続き登場するペベンシー4兄妹だが、1年間現実のイギリスで暮らしてたのに何で剣や弓が達者なままなんだ? などの細かい疑問はスルーして、ありのままのストーリーを受け入れれば何でも楽しめるのだ。って、段々投げやりな感想になってきたが。

 

 前作では百獣の王、アスラン(ライオン)が吠えると木々や水が動き出して攻撃するのをチープなCGで見せられ、白けた目で観ていたのだが、前作から1300年後、ナルニア人が人間(テルマール人)たちに迫害されて森でひっそりと暮らしているという本作では木々たちは心を閉ざしてしまし、動いたりも話したりもしないという設定だ。そうなると前作とは反対に、森が動き出すのを早く観たくなってしまうというこの不思議な心理。アスランが登場したらきっと動き出すんだろうけど、アスランの登場を途中で匂わせながらも登場まではやたらと引っぱるもんだから、いやがおうにも大自然が猛威を振るうクライマックスへの期待が高まるわけだ。そしてそこまでのアクションシーンも前作と比べて格段に面白い。夜の城へ空から忍び込んで戦いを仕掛けるシーンでは緊迫感があるし、ペベンシー兄妹の長男ピーターとカスピアン王子の伯父との決闘では生身のアクション、そして大軍同士がぶつかり合う最後の戦闘シーンではVFXの迫力を味わえて、手を変え品を変え興奮させてくれた。

 

 1作目がつまらなかったのは動物チーム v.s. 魔女チームという構図が単純過ぎたというのもあるが、今回はナルニア人とテルマール人の戦いという構図の中に主役のカスピアン王子とその伯父を中心にした王位継承問題が絡み合い、更に伯父に仕える臣下達の間の謀略や裏切りがあったりして、話が人間臭くなってくるのが面白い。4兄妹の長男ピーターとカスピアン王子の間にはリーダーとしてのライバル心が生まれたり、二人がそれぞれの思惑を抱えて心の闇へ足を踏み出そうとしたりして(今やオスカー女優のティルダ・スウィントンが前作に引き続きちょっとだけ登場)、4兄妹やカスピアン王子の成長物語でもあるのだ。個人的には前作で白い魔女に言いくるめられていた弟のエドマンドが、さりげなく兄思いの一面を見せてイイ味を出しているのが微笑ましかった。

 

 本作でも喋る動物たちがいっぱい出てくるが、その中の一人(一匹?)、小さな騎士のネズミの登場シーンが、 『シュレック2』 に出てくる長靴を履いた猫そっくりなのが可笑しくって(『シュレック2』 は本作と同じアンドリュー・アダムソン監督)。監督の確信犯かどうかは分からないけど、こういう遊び心、好きだなー