ハリー・ポッター1作目2作目の監督、クリス・コロンバスが世界中でベストセラーのファンタジー小説を映像化ということで、誰がどう見ても2匹目のドジョウ狙いなわけだが、実際にドジョウをゲットできたかどうかは別として、コレ、結構楽しめちゃいました。自分がギリシャ神話好きっていうのもあるし、クリス・コロンバスの安定した(ワンパターンとも言う)映画作りは安心して観ていられるので(驚きや新鮮さがないとも言う)、ストーリーそっちのけでツッコミも入れ放題と、ある意味 「何でもアリ」 なリウッド映画の正しい楽しみ方が久々にできる一本です。
主人公のパーシー・ジャクソンは、ごく普通の落ちこぼれ気味の高校生だが、そんな彼がある日突然 「おまえは神と人間の子(デミゴッド)だ」 と言われる。さぞかしパーシーとしては話についていけないと思うのだが、そんなパーシーと同じ気分を味わわせてくるほど、とにかく話の展開が早くて早くて驚きだ。ハリー・ポッターでは原作のエピソードを忠実に映像化し過ぎて長いと言われたクリス・コロンバスなので、何が何でも2時間以内に話を収めようとしたからか、同じ監督とは思えないほど巻きの演出である。稲妻を盗まれたゼウスは映画が始まって5分でポセイドンの息子(パーシー・ジャクソンね)を犯人だと決めつけるし(そもそも稲妻が盗まれたことを冒頭の一瞬で描いちゃうあたり、話の巻き方もここまで来たか!って感じ)、パーシーは自分がデミゴッドであることを知ってから特殊能力をいとも簡単に身につけるし、稲妻はいとも簡単に見つかるし(ていうかパーシーよ、そこにあったことに何で気がつかないのだ!)、ひたすら必要以上に話がスピーディーに進みまくりで、ここまでディティールをハショっていいのか! というお手本にしてもいいと思う。いや、良くないのかもしれないけど。
何より楽しかったのは、まるでギリシャ神話にオマージュを捧げたような(というかパロディ?)展開を見せる、ロールプレイングゲーム的な後半である。小さい頃から星座が好きだったので、星座に関するギリシャ神話は色々と知っていたのだが、その神話に登場するメドゥーサやヒドラの姿、ヘルメスの靴なんかをスクリーンで拝める日が来るとはね。思わず嬉しくなってしまいました。まだまだギリシャ神話のネタはいっぱいあるし、原作は2作目3作目と続くらしいので、是非とも続編を作ってほしいのだが、実際のところあまりヒットしてないみたいだし、そもそも冷静に観たら全然面白くない話なので難しいかなぁ。それに、こういうファンタジー・アドベンチャーもの、スピルバーグはもう撮らないのかなぁ。
ちなみにユマ・サーマンがメドゥーサを演じるということですごく楽しみだったのだが、確かにユマにメドゥーサは似合ってるけど、映画の中では完全に浮いていた。ちょっと残念。退治されてもユマの顔がちょくちょく登場するアイディアは面白かったけど。逆にシーン・スティーラーだったのがロザリオ・ドーソン。出番が少ないのが残念で、もっと登場シーン増やしてほしかったなー
|