ピーター・パン PETER PAN


directed by P. J. Hogan

cast :  Jeremy Sumpter  Jason Isaacs
Rachel Hurd-Wood  Olivia Williams
Lynn Redgrave  Richard Briers
Harry Newell  Freddie Popplewell
Ludivine Sagnier  Theodore Chester
Rupert Simonian  George MacKay
Harry Eden  Patrick Gooch
('04 05 03)



 ピーター・パンの映画と言えば、スピルバーグの 『フック』 が大好きなので、どうしても比べてしまう。そして、仕方ないとはいえやっぱり似ているんだが、監督の狙いは根本的に違うようだ。ファンタジーやアクションで人を童心に帰らせることが得意なスピルバーグが 「いつまでも子供でいたい」 想いを投影したように、ラブコメが得意なP・J・ホーガンは、「初恋っていいなぁ」 的な視点で監督している(はず)。うん。自分の得意分野を分かっている、正しい見せ方だ。

 ということで、おなじみのピーター・パンのストーリーを踏襲しながら、「初めて出逢う永遠の恋」 というコピーから想像できるように、ピーターとウェンディーの恋がフィーチャーされる。実際、宣伝文句で謳われるほどにラブストーリーが全面に出ているわけではないけれど、森の中でピーターとウェンディが踊るシーンは十分にロマンティックだ。決して大人になんてならないから、「愛なんで僕にはない」 と言いながら、ウェンディーへの気持ちに内心まごまごしているピーター。好きな女の子だからどうしても素直になれなかったりと、よくあるシーンだけど、うまく描いてる。そして、ウェンディーにキスをされて顔を赤らて喜びながら、俄然パワーがみなぎってフックなんか目じゃなくなるピーター。ここらへんが、恋する男の子の単純明快なカワイさっていうか、強さっていうか、初々しさ爆発で、監督が一番描きたかったシーンだと思う。こっちも観てて微笑ましく思えてきたし。

 そういう意味で、ピーターを演じるジェレミー・サンプターは、ビジュアル的にも演技的にも合格点だ。普通にかわいくて小橋賢児にそっくりだが、オーディションの時、部屋に入ってきた時点でこの子だと確信したと言う監督。キャスティング、大成功である。後は、顔が崩れないまま成長することを願うばかりだ。問題なのはウェンディー。一体、このウェンディーのどこがよくて恋に落ちるのだピーター! ジーナ・デイヴィスといい勝負な大きさの口に、致命的な出っ歯。全くもってピーターと不釣合いである。ウェンデイーが出てくるたびに階段を一段踏み外したようなズッコケ感があるのだ。ここさえクリアしてれば、見ていてもっと楽しくなったはずなんだけど。それとも、『ミュリエルの結婚』 のP・J・ホーガンが監督だから、ちょっと不細工なくらいの女の子の恋が狙いなのか? 探せば、もっとカワイイ子なんていくらでもいただろうに。

 ティンカーベルを演じるのは、フランソワ・オゾンのお気に入り女優、リュディヴィーニ・サニエ。セリフ一つもなくて、顔のパーツをひたすらよく動かしてる。頑張ってるし、悪くないんだけど、今までで一番カワイくなく映ってる。アップになるたびになんかツラくて。つくづく女優の輝いてない映画だ。一番良かったのはウェンディーのお母さんのオリヴィア・ウィリアムズ(『シックス・センス』 の奥さん)かな。って、出番少ないってば。





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