フェノミナン PHENOMENON


directed by Jon Turteltaub

cast :  Jon Travolta  Kyra Sedgwick
Forest Whitaker  Robert Duvall
David Gallagher  Elisabeth Nunziato
Jeffrey DeMunn  Brent Spiner
('01 10 12)



この文章は『フェノミナン』のネタバレの恐れあり!



 こんなにあったかい映画は久しぶりでした。メルヘンチックと言ってしまうと語が悪いかもしれないが、一種のおとぎばなしみたいな、なんだか安らぐお話です。ストーリーがよく出来ていて、まあ、そういう点では"作り話"というのを否めないが、それにしても泣かせてくれた。有名な、「僕が死ぬまで愛してくれる?」「いいえ、私が死ぬまでよ」のセリフは、実は涙の序章にすぎず、本番はそれからなのだ。トラボルタ演じるジョージが死んでから1年後、親友ネイト(F・ウィッテカー)の畑は、ジョージがアドバイスしたとおり、一面トウモロコシでいっぱいになる。いつまでも続くトウモロコシ畑。それだけでも涙が止まらないのに、最後はジョージのバースデー・パーティーだ。ジョージの想いが通じたレイス(K・セジウィック)の息子アル(D・ギャラガー、かわいい!)は、ジョージの医師ドック(R・デュヴォール)とチェス。あふれんばかりの涙を止めることの出来ない僕でした。

 突然夜中に閃光を見たかと思うと、急に頭がよくなり、念力は身につくわ、行方不明の子を探し当てるわ、その子の痛みが体に乗り移るわ、と、かなり強引な設定ではあるのだが、なんだか、それも医学的に説明してしまって、おひょー、の感あり。でも、まあ映画ですから。気持ち良く感動できるのなら、それに超したことはないです。

 キャストの魅力は語らずにはいられない。復活トラボルタは、ふくれた顔の輪郭が、優しくて一途で不器用な男にうまくプラスしていて、『フェイス/オフ』とは別人。いい俳優だ。M・ファイファーとG・クローズ(『危険な関係』コンビ)を足して2で割ったような顔(誉め言葉です)のK・セジウィックは、笑顔がステキ。トラボルタも彼女の笑顔に癒されて、髪を切ってあげるシーンでは、二人の幸せな顔が、アーロン・ネヴィル featuring ロビー・ロバートスンの"Crazy Love"をBGMにして・・・・・・・・。あー、言葉に出来ない。F・ウィッテカーも、優しさあふれる顔と演技で、好演。モ―ガン"いいひと"フリーマンとはわけが違う、人間味あふれる暖かさを感じさせてくれた。R・デュヴォールにいたっては、さすが名優である。様々な力が身につき、人々から敬遠されはじめるジョージを見守る主治医。その目は、彼への愛情でいっぱいだ。バーで叫ぶ彼の姿には、激情してもジョージへの愛があふれている。「まるで息子を失うようだ。」と言ったドック。彼らの間にあるものは充分に伝わってきた。

 この映画で流す涙は、悲しい涙ではなく、感動の涙だ。純粋なラブ・ストーリーにヒューマン・ドラマ。監督ジョン・タートゥルトーブの、人を暖かく見る目は健在だった。





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