ピンポン  PING PONG


監督   曽利文彦

脚本   宮藤官九郎

出演   窪塚洋介  ARATA  サム・リー
中村獅童  大倉孝二  竹中直人
夏木マリ  荒川良々  近藤公園
平野貴大  末満健一  翁華栄
守山歩  西原亮  鈴木清貴
('02 10 09)



 俺って、気分イイ時に「いぇーい」って言っちゃうんだよね。何か無意識に口から出てくんの。人といる時でも、一人でいる時でも「いぇーい」って。銀座テアトルシネマで 『ピンポン』 を観て、面白いーと思いながら建物出て信号渡ったところで、つぶやいてた俺。「いぇーい」と。その時気づいたのだ。「面白い」 じゃなくて、サイコーだったんじゃん。カラダはわかってたんだけど、そん時初めて頭がそれに追いついたっていうか。一人で銀座歩いてんのに、珍しくハイテンションだった(笑)。

 こういう映画って、俺にとっては正直文章で書くのはツライもんがあります。なんつーか、口調とか手とか声色とか、もう、そこらへん全部で楽しさを伝えたくなっちゃって。つまんなかった人は何とでも言っちゃってください。誰も高校生に見えないとか、何でペコ飛べちゃうのさーとか、後半ペコとスマイルは何で会わないのーとか、全体的にムリないかーとか。俺はそういうことが全然気になんない程入っちゃったんだよね。俺がサイコーだって思ったんだから、それでヨシ。それ以上のことでもそれ以下のことでもなくって、俺が楽しんだ。小難しい思考回路を並べて楽しいって言えるよりも、まさに「体感」する映画の楽しみ。それが俺にとって重要なのよー。(何書いてんだ?俺は)

 卓球モノっていうか、青春モノっていうか、友情モノだよね、コレ。と言ってもベタベタした友情じゃなくて。原作読んでないからわかんないんだけど、ちょっと青春スポ根系のノリをとってる映画は、大分漫画と違うんじゃないかな、雰囲気。友人曰く、原作は静止画だからこそ成り立つ世界らしい。ま、それはそれでいいとして、「卓球でこの星の一等賞になりたい」ペコ(窪塚洋介)と、「卓球なんで死ぬまでの暇つぶし」なスマイル(ARATA)。この二人の関係が好きなの。ペコは卓球も性格も型破りで、卓球には自信満々(負けると必ず泣いちゃうところがカワイイ)。そして、小学生の頃にペコに教えられて卓球を始めたスマイル(笑わないから仇名がスマイル)。才能あるけど覇気がなく、ペコ相手に適当に打ってる毎日。そして、ペコはスマイルのヒーローだ。

 窪塚洋介は、この人テレビより映画の方が映えるね。最初の登場でのセリフ回しとか、あー、やっぱクドイーと思って観てたんだけど、いつの間にか違和感なくなってくる。こういうタイプは、真っ暗な映画館でスクリーンにどっぷり浸かりながら観ないと引きずりこまれない。テレビだと鼻についちゃうと思う。ARATAはもう最高。ついでにルービックキューブもベリーグッド(バタフライ・ジョー風)。んだが、日本映画っていうとどーしてこう、必ずワキで竹中直人になるかなぁ。確かに上手いし、イイ味出してるんだけど、安易に使い過ぎ。夏木マリは湯婆の時と声が一緒だった(笑)。

 映画の最後まで、スマイルはペコに何も言わない。いや、口を聞かないってことじゃなくて、自分にとってのペコがどんな存在なのかを言わないのね。けど、二人は卓球でそれを分かっちゃう。大事なことを言わないでも、お互いのことがちゃんと分かるワケ。二人が試合前に交わすセリフ。それまで完璧に映画に入りこんでたからだろうけど、俺、こういうの大好きなのだー。そしてそこに至るまでの高揚感! CGも上手く使って(監督は 『タイタニック』 のVFXを担当)お見事なのです。イイ! いいよ卓球!

 ここまで書いといて何ですが、大倉孝治(アクマ)と中村獅童(ドラゴン)が高校生ってのは本当にムリがあった。二人ともイイ役者なんだけど、とてもインターハイには見えなかった。ペコとスマイルがいる片瀬高校卓球部のキャプテン大田を演じる荒川良々(よしよし)は超注目。『パルコ フィクション』 にも警備員役で出てた。ADSLのCMで、トイレの場所聞かれると止まっちゃう警察官の人。すごくオカシイ間の取り方。何者!? と思ったら、劇団「大人計画」の一員であった。脚本の宮藤官九郎が所属する劇団。そして、何と偶然にも、明日(10/16)大人計画の舞台を観に行くことになった!残念なことに荒川良々は出てないらしいけど、乞う御期待!





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