ソウ SAW


directed by James Wan

cast :  Leigh Whannell  Cary Elwes
Danny Glover  Ken Leung
Dina Meyer  Mike Butters
Paul Gutrecht  Michael Emerson
Makenzie Vega  Monica Potter
('04 10 30)



 老朽化したバスルーム。目覚めると、鎖で足をつながれていた面識のない二人の男。二人の間には銃で自殺した男の死体。二人のポケットに入っていたカセットテープには、犯人からのメッセージが入っていた。相手を6時間以内に殺したら、おまえを助けてやる。犯人が仕掛けたゲームから、二人は逃げられるのか、それとも二人とも逃げられないのか。

 ノコギリ("saw")を持って鎖を切ろうとしている一人に、もう一人が、「鎖を切るんじゃない。足を切るんだ」 というセリフがかなり強烈な予告編だったが、そのセリフに象徴されるように、前半に出てくる犯人のこれまでの手口がいくつかが、エグイというか何というか、やめてー、って感じである。大脳に直接刺激してくるような怖さで、レクター博士より趣味悪そう。そんな調子で最後まで行ったらヤだなぁと思っていたら、中盤から、段々まともなスリラー・アクションになっていった。しかも、そんなに演出が破綻してなくて、結構面白い。これが監督・脚本デビューという若干26歳のジェームズ・ワンとリー・ワンネル(兼、主演)だが、若手の長編第1作にしては、こぎれいにまとまってる感ありで、もっとブッ飛んでいいかとも思うんだが、逆に言えばちゃんとした演出が出来てるってことなんでしょうね。

 そして、次第に映画のテンションが上がってラストも近くなってくると、うぉーっ、ってなってくる。この勢い、好きだなー。んでもって、ラストの明かし方もちゃんとしてるのだ。んなバカな! と思うかもしれないけど、観てる瞬間はやられちゃいました。そうだよね。意味もなくそんな設定にするわけないもんねぇ。ちょっと考えればわかるんだけどさ。うん。やられました。犯人がかぶってる腹話術の人形のお面も、不気味でナイスだ(ここらへんに二人の趣味が出てそう)。次回作も楽しみ。企画にあがってるという 『ソウ2』 はあまり観たくないけど。

 主演の二人はなかなか真に迫ってた。最初はかなり冷静だったのに、最後の方で発狂していくケーリー・エルヴェスは結構見ものだ。ラストのリー・ワンネルの表情も忘れがたい。その表情に、この映画はかかってたと思うのよね。二人とも、ホラー俳優として一級の演技だ。犯人を追う刑事には、『リーサル・ウェポン』 のダニー・グローバー。すいません、エンドクレジットまで気づきませんでした。顔、全然覚えてなかったってことか・・・(汗)

 ネタバレになっちゃうので全然内容を書けないが、こういうサスペンスやスリラーがうまく行くには、小道具が効いてるってのが重要だと思う。今回効いていたのは、テープレコーダー。コレがなかったらラストの演出は全然違うものになってただろうね。この監督・脚本コンビが次回作でどう出るか、ちょっと楽しみ。







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