シークレット・ウィンドウ SECRET WINDOW


directed by David Koepp

cast :  Johnny Depp  John Turturro
Maria Bello  Timothy Hutton
Charles S. Dutton  Len Cariou
('04 10 30)



 小説家、モート・レイニーを一人の男が訪ねてくる。「俺の小説を盗んだ」。男はそう言って、手に持っていた原稿を置いていった。その日から、男はレイニーのまわりに現れて、彼の生活を壊していく。男の狙いは? 本当にレイニーは男の小説を盗用したのか?

 というサスペンスなプロットだが、これまた、映画も前半でオチが読めちゃうのよね。しかも、そんなんで大丈夫なのかなー、っていうオチなんだけど、全然大丈夫じゃないの。全然盛り上がらないの。コレ、ずーっと真面目に観てた人がいたら怒んないかな。まぁ、原作がスティーブン・キングだからね。まともなオチのわけがないし、彼のサスペンス小説の映像化の成功例の少なさが物語るように、これだけ映画化されてるのに、これだけ映画化が難しい作家も珍しいんだから。ちなみに、ブライアン・シンガーが監督した 『ゴールデンボーイ』 は成功例の一つです。オススメ。

 そうなると 『シークレット・ウィンドウ』 の見所はズバリ、ジョニー・デップに尽きる。『パイレーツ・オブ・カリビアン』 に続く、風変わりでエキセントリックな役柄をさりげなく演じていて、ほとんど出ずっぱりのデップを観るだけでこの映画は楽しめるのだ。映画の大半が、脱色してボサボサの髪に、だらしない悪趣味な寝巻という出で立ちなのに、デップが演じると、さまになるどころか、カッコよくすら見える。さすがだね。欲を言えば、普通の男を、とても普通なのに魅力的に演じるのがデップらしいところなので、そろそろエキセントリックじゃないデップも観たいなー。次回作の 『ネバーランド』 では、ピーター・パンの作者、J・M・バリーを演じるということで、そっちが楽しみだ。

 しょーもない話っちゃぁそれまでだが、それでも前半がちゃんとサスペンスになってるのは、デップの相手に、ジョン・タトゥーロという怪物俳優を迎えているからだ。彼ほど芸風が広いカメレオン俳優もそうそういないが、彼ほど無表情でやられると怖い人もそうそういない。登場シーンだけで見事だ。なんで今までオスカー候補になってないかな。『バートン・フィンク』 とか 『クイズ・ショウ』 なんて、文句ナシだったのに。オスカーと言えば、デップの別居中の妻(マリア・ベロ、『コヨーテ・アグリー』 組にしては悪くない)の恋人を演じるティモシー・ハットンの扱いにビックリ。仮にもオスカー俳優なのに、こんなんでいいの? ラストの出番のなさには笑っちゃったよ。せっかく走ってきたのに、アップすらないのよー、アップすら。何のために走ったのよー





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