シュレック  SHREK


directed by Andrew Adamson, Vicky Jenson

voice :  Mike Myers  Eddie Murphy
Cameron Diaz  John Lithgow
Vincent Cassel
('02 01 10)



 前代未聞、カンヌ映画祭のオープニングをアニメ映画が飾り、お堅い批評家達を爆笑させたという『シュレック』。外見の醜い緑のモンスター、シュレックが、セコくて小さいフォークアート卿の命令で、おしゃべりでお調子者のロバ(ドンキー)と一緒に、ドラゴンで守られた城に幽閉されたフィオナ姫を助け出す。けど、シュレックは道中でフィオナ姫と恋に落ちてしまい、さぁ一体どうなる、このフェアリー・テイル。

 いや、フェアリー・テイルか?これは。ディズニーを辞めてドリームワークスに引き抜かれたジェフェリー・カッチェンバーグが、ここぞとばかりに繰り広げるアンチ・ディズニーキャラ達の楽しさ。主役4人の、アニメ映画にしては破天荒なキャラクター。そのキャラクターと声の配役のハマリ具合。軽く挿入されるミュージカルシーン。うん。楽しい楽しい。ていうか、シュレックとドンキーの会話ってよく聞きゃ子供向け映画のセリフじゃないもんね。おとぎ話とはちょっと違う気がする。

 というのも、シュレックとフィオナ姫の想いがすれ違うシーンがあるが、このシーン、アニメじゃなくてまるでロマコメを観てるような演出なのよ。フィオナ姫をメグ・ライアンとかにしてもピッタリくるような感じ。シュレックをヒュー・グラントにしてもピッタリくるような感じ、ここらへんに大胆さを感じたね。フィオナ姫を城から救い出すシーンとか、ヘタなアクション映画よりずっと面白いし、つまりは実写と同じ感覚でストーリーを作っているんじゃないかな。だからキャラクターも人間臭さが出てくる。けどそうなると、アニメ感覚を抜け出したキャラクター達と、ディズニーほどではないにしろ、やはりシンプルな話がマッチしないっていうか、ここまでやったんならもっと遊んじゃってよ、と思ってしまう。これって酷な要求? なんか物足りないんだよねー。ちょこちょこっとパロディがきいてたり、茶目っ気があったりするのはイイ線いってるんだけど、クライマックスの展開もわかりやすくて、「アニメ映画でこれだけハジけるとは」と思う程度になってしまう。アニメの域を越えてないんだな、やっぱり(当り前っちゃ当り前か)。惜しいっ。もう一息だと思うんだけど。

 主題歌は久石譲ちっくで、『千と千尋の神隠し』のラストシーンを思わせるシーンもある(かなりこじつけだけど)。どっちが面白かったかって・・・・路線が違うから比べてもしょーがないか。にしても、僕は『ダイナソー』は観なかったんだけど、火とか水のアニメーションがすごいね。ドラゴンの吐く炎や、コップにつぐ牛乳のリアルさ。それに比べると人間のアニメーションが物足りないのは仕方ないのかなぁ。リアル過ぎて『ファイナル・ファンタジー』化されたらイヤだけど、やっぱり人間は生の俳優の方がいい。ここまで技術が進んだのなら、生の俳優とは違ったアニメの人間のキャラクターの面白さ、リアルさを産みだすのが、これからのアニメの高い壁になるのでは。うーん。そう考えると宮崎駿の方がいいや。あ、だからシュレックの表情はすごくいいんだよね。ドンキーも。『シュレック2』でパワーアップしてることを期待しよっと。





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