わくわくするような映画を観た後ってミョーにハイテンションになったりしない?有楽町で観たんだけどさ。観終った後に銀座の街を歩いてたら、俺もビルの壁を手でよじ登ってみてー、とか、腕から糸出して飛んでみてーなんて思ったりして。指をあの形にしてシュッ、とやってみたり(俺ってバカ・・・)。
ピーター・パーカーことスパイダーマンにトビー・マグアイア。パーカーが想いを寄せるメリージェーン(MJ)にキルスティン・ダンスト。スパイダーマンの最大の敵、グリーンゴブリンにウィレム・デフォー。この主演3人で客を呼ぼうとしたのがスゴイ。3人とも皆上手いが、大作を飾るには基本的に地味なお方ばっかりである(デフォーはそうでもないか)。基本的にキャストで映画を観る僕としては嬉しいことこの上ないのだが、それでも製作発表時にはトビマがアクションと聞いて絶句した記憶が。しかも、またウィレム・デフォーが悪役かい、みたいな。その心配は結局のところ全部スッキリ取り除かれたわけですが、それにしてもデフォー様。一体どうしたんでしょう。『処刑人』といい、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』といい、このグリーン・ゴブリンといい絶好調である。あの漫画のような爬虫類顔をここまで活かされると、もう彼の前に敵はいないんじゃないかと思えてきた。ゴブリンのコスチューム、っていうか、あのマスクはバッチリ顎が突き出ている。きっとデフォー様の顎のためのデザインに違いない。マスクをかぶっていてもデフォー様の顔が容易に想像できるデザイン。あのアゴの出具合がエイリアンを思わせて、気色悪さ抜群です。
映画の『スパイダーマン』は『バットマン』(但しティム・バートンが監督した最初の2作)に似てると思う。まず音楽がダニー・エルフマンだ。いやおうなしにも近い雰囲気になる。勿論、どちらもアニメが原作のヒーローもの。そのヒーローは、正義がどうとかいう理由ではなく、彼が直面した悲しみへの葛藤から生まれてくる。『スパイダーマン』ではそこらへんのところが描かれているので、ただのドンチャン映画になっていない。そういう意味で主人公にトビマっていうのは大納得。一見コミックアクション映画のヒーローを演じているように見えるが、なんてことはない。トビマ十八番の悩める青年役なのである。やっぱり上手い。そして何と言っても素晴らしいビジュアル!ピーターがスパイターマンとなって初めて悪人相手に戦う時、ビルからビルへと飛んでいく、このエキサイティング感!だからアニメの映画化はたまらないんだ〜(←無類の『バットマン・リターンズ』ファン)。
こういう類の映画の例にもれず、ツッコミ所は満載。いくらでもツッコんでやって下さい。んで、その後に「ま、漫画だから」と言って笑ってやって下さい。どうにもこうにも可笑しいのは、トビマ扮するピーターは、街中でゴブリンが現れると当然スパイダーマンに変身するわけだが、どこでどうやって着替えるかと言うと、何と服を脱ぐだけ、なのだ。脱ぐとその下にはあのコスチュームが!まるで下着のごとく常に身につけている。いつでも変身できるようにってことなんだろーが、それじゃ窮屈だろー。てか、その前にいざとなった時に正体がバレバレじゃないかー。MJもかなりクセ者だ。スパイダーマンに何度も助けられているが、この女なら一人でも何とかなるんじゃないか疑惑が発生するシーンが1ヶ所ある。『タイタニック』のローズを思い起こさせる腕の力。やっぱり女は腕力ってことなんでしょうか。
他にももっともっとツッコんでおきたいんだが、まぁこれくらいに・・・・いんや。もう1コだけツッコませてもらおう。ゴブリンの正体は、ピーターの親友ハリー(ジェームズ・フランコ)の父親、ノーマンだ。
この爬虫類顔からこの正統派美青年顔は絶対生まれないだろーに。
ピーターの叔母さん役にローズマリー・ハリスってのが嬉しかった。昨年度ベスト10入りの『シャンプー台のむこうに』で素敵なヘアスタイルを疲労してくれた盲目のおばあちゃんである。名演。ちなみに一緒に観た友人は、「なんじゃこりゃー」と観終わった後に笑っていた(呆れていたとも言う)。